Make your own free website on Tripod.com

解剖 チャイナスクール(3)

(産経新聞朝刊 2002/05/21)

【政治家の影】橋本派と利害が一致

中国・瀋陽の亡命者連行事件の直前に、阿南惟茂駐中国大使が「(不審者は)追い返せ」と発言していた問題で、野党だけでなく与党内からも阿南氏への批判が高まる中で、自民党橋本派は異なった対応をみせた。

「阿南大使は当然言うべきことを言っただけだ」

親中派の代表格とされる同派の橋本龍太郎元首相と野中広務元幹事長は、大使発言が大きく問題化した十五日の派閥会合では、そろって擁護論を展開した。

阿南氏はチャイナスクールの中でも、親中国色が濃いとされ、阿南氏の駐中国大使への抜擢(ばってき)に「橋本派幹部の強い推薦があった」(政府筋)ことは半ば公然と語られているのだ。

野中氏は十七日も、阿南氏の進退を問う声に対し、「中国で信頼されている人物であり(進退問題が出てくるのは)残念だ」と反論した。

日中国交正常化を成し遂げた故・田中角栄元首相の流れをくむ橋本派が、中国との密接な関係を保とうとする姿勢は、他派閥に比べて際立っている。

今年の日中国交正常化三十周年に合わせて国会議員で結成された「日中国交回復三十周年を成功・発展させる議員の会」も、橋本氏が会長、野中氏が会長代行と橋本派がトップを務める。当然、対中外交を担うチャイナスクールとの関係も濃密だ。

昨年四月、台湾前総統の李登輝氏の訪日問題の際には、中国の反発を恐れ、訪日阻止を目指した当時の槙田邦彦アジア大洋州局長が、自民党本部の野中氏の部屋を訪ねる姿が何度も目撃された。

これとは逆に、訪日実現の方向で動いた森派幹部は「槙田氏の背後には橋本派がいたんだろうが、官僚としてはやりすぎだった」と振り返る。

外務省で英米畑を歩いてきた元大使の一人は「チャイナスクールは何かにつけて橋本派の意向を受けて動く。国益のためというより、橋本派のために仕事をしているような感じがした」と語る。

チャイナスクールにとって、自民党の最大派閥が後ろ盾であることは、対中外交上の力となるだけでなく、外務省内での発言力強化にもつながる。

欧州系スクールの中堅キャリアは「何でも言うことを聞く中国大使やアジア大洋州局長の存在は、政治家にとって非常に重要だろう。巨額のODA(政府開発援助)があるからではないか」との見方を示す。

橋本派にとっても、ODAの額が年間千六百億円を超え、日本外交の重要な柱である対中外交に影響力を持つことは魅力だ。

チャイナスクールは中国だけでなく、北朝鮮などアジア近隣諸国との外交政策を担当するケースが多いことから「チャイナスクールをおさえればアジア外交全体に影響力を行使できる」(外務省筋)という面もある。

小泉政権の誕生などで橋本派の自民党内における求心力が低下すると、公明、保守両党を巻き込みながら対中外交での影響力を維持しようという面もうかがえる。ただ、若い世代の政治家には「中国に特別の思い入れを持つ人は少ない」(自民党中堅)のが実情で、「自民党の伝統的な親中派は、議員辞職した加藤紘一元幹事長の世代まで」と言われる。

チャイナスクールが力の源泉としてきた橋本派など政界の親中派勢力に衰退の兆しがみられる中、与野党の中からは、亡命者連行事件を機に「外務省チャイナスクールの改革」を求める声 が出てきた。(外務省問題取材班)

Copyright(C)2002- 「日本専門」情報機関(日本の情報の収集と保存)