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キッシンジャー大統領補佐官と周恩来・中国首相の「日本談議」

(毎日新聞2002年7月7日東京朝刊)

「日本をこんなに太らせたのは米国だと言わざるを得ません」「それはそうだが、現実だから仕方ない。どうするかは我々(米中)で決めましょう」――71年秋、ニクソン米大統領訪中の準備で北京を訪ねたキッシンジャー大統領補佐官と周恩来・中国首相がこんな「日本談議」をしていたそうだ。

米シンクタンク「国家安全保障公文書館」が公表した米政府機密文書によれば、焦点は日本の経済繁栄の功罪だった。周首相は「日本は戦後賠償を免れ、他国の戦争で大もうけした。米国が管理しないと何をしでかすかわからない」と日本の暴走を警戒し、キ氏は「中国の視野は世界的だが、日本の視野は狭くて部族的だ」と相づちを打っている。

「日本人は他国に感受性がない。自分のことしか考えず、変わり身が早い。封建制から天皇制に2、3年で変わり、天皇崇拝から民主主義へはたった3カ月だ」(キ氏)。「島国ですからね。とても変わっている」(周氏)。動物園の珍獣見物でもあるまいに、言いたい放題だった。

「中国シンパ」のキ氏はまだしも、日本人から「日本びいき」と慕われた周氏の日本観を生の言葉で読まされると、鼻白む思いはある。反論もしたいが、思い当たることもあるから、やるせない。今年は日中国交30周年。「周さんが陰でそんなことを言っていたのか」とホゾをかむ外務省OBや政治家もいるのではないか。

「よき外交官は国家のために誠実にウソをつく」とは英国の格言だ。表の言動と読み合わせると、両氏はさぞ有能な人材だったに違いない。

日本談議は今読んでもインパクトがあるが、日本の外交は公開に堪え得るのだろうか。情報公開制度の強さと、よき外交官を備えた国家の力量の違いを思い知らされる。

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