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キッシンジャー−周恩来会談(1971年10月22日北京)議事録和訳2

(Document 13 (PDF; 1.43MB))

問題の1971年10月22日北京で行われたキッシンジャー−周恩来会談の議事録は、

Memcon, Kissinger and Zhou, "Korea, Japan, South Asia, Soviet Union, Arms Control," 22 October 1971, 4:15 -8:28 p.m. Top Secret/Sensitive/Exclusively Eyes Only

Source: Nixon Presidential Materials Project, National Security Council Files, box 1034, Polo II - HAK China Trip October 1971 Transcript of Meetings

にあります。 この19ページから28ページに掛けて、日本に関する当時の両者の見解が意見交換されています。

キ博士:日本人は、自分たちが文化的に均質性が高いゆえに、他の国民の考え方に対して無神経です。この日本の特異性が、彼らと交渉しなければならないすべての者に特別の負担を負わしていると言えます。あなたがたも我々もその被害者です。私はこれまでずっと、そして今もこう思っています。日本と協力関係を築くことができて、彼らが多くの政策資源を振り向けて我々が好む政策を実行してくれると考えている米国人は、極端にナイーブな人間だろうということです。
私は、経済発展が重要な問題を生み出すという首相閣下の見解に同意いたします。そして、日本的な経済発展手法が日本民族の気質を示しているという首相閣下の見解にも部分的に同意します。何故ならば、彼らの経済発展手法は周辺国を自分たちの政策に従わせる目的を持っているからです。ですから、私は日本に対して何の幻想も抱いていません。
他方、別の展望をもって、逆の手法を通じて日本を自分たちの政策に従わせることができると信じている国々も同様に幻滅するだろうと考えています。例を挙げれば、私がこの考えに行き着く前に、現状の日本は誰をも惹き付けるものを持っていると考えていました。特に中華人民共和国に対して、また、同様にソ連に対してもです。ところが、我々の7月の会談によって、日本はその進むべき方向を不確実なものにされてしまいました。ですから、その結果ソ連が、日本の方針を変えるように働き掛けるべく特別な努力を払うようになったということをお伝えしたわけです。それは、中華人民共和国が日本の方針を変えさせようとするかもしれない、という動きが一部で見られたことに対する対抗措置でしょう。例えば、人民日報の9月18日付け社説において、「米国は日本をいつ裏切るかもしれない」という警告を日本に対して発しています。これは私の率直な意見ですが、このような競い合いは、日本のナショナリズムを呼び起こすだけだと思います。他方、そのことで、従来の政策を支持してきた勢力にはずみを与えてしまうかもしれません。しかし、長期的には、日本が太平洋地域における勢力均衡(バランス・オブ・パワー)の1プレイヤーとなるように仕向けることになるでしょう。
このような視点から、日本に対して中立を求める首相閣下の声明に対してコメントさせていただきたいと思います。この1億2千万の人口を持つ世界第三の工業国家に対して、「中立」がいかなる意味を持つかを理解するのは難しいと思います。歴史的には、「中立」には2通りの意味しかありません。ベルギーのように周辺諸国から安全を保障されている「中立」か、スイスやスウェーデンのように自らの軍事力で自衛する前提で中立宣言をした「中立」のいずれかです。中立宣言し自らの軍事力で自衛しようという国は、必ず強大な陸軍を保有しています。スイスとスウェーデンは、国の規模から見た場合、他のどの欧州諸国よりも強大な軍事力を持っています。
自力で自国を防衛するようになった日本は、すべての周辺国にとって敵対的な脅威となるでしょう。何故なら、今よりも強大な軍事力を持つようになるからです。ですから、現在の日米同盟関係は、日本を抑え付ける力として現実的に機能しているわけです。もし我々がシニカルな政策を望むとしたら、日本を自由に解き放ってやり、自分の足で立つように仕向けるべきでしょう。そうすれば、極東世界では日本と中国との緊張関係が非常に高まりますので、我々は両者の間に入らなければなりません。そのようなことは非常に近視眼的なことです。あなたがたも我々も犠牲者になってしまいます。
ですから、我々が日本について理解し合うとともに、日本に対して双方とも抑制的になることが重要になります。日本が太平洋における米国の政策の従順な実施者たり得ると信じている米国人はナイーブです。日本人は自らの目的を持っており、それはワシントンではなく東京で決定されます。1945年にそれまでと別の歴史が始まったなどというのは、人々によって作られた幻想です。と同時に、日本を米国に敵対させようと画策する他の人々のやり方も危険です。何故ならば、このような両極端の政策のいずれもが、日本を買いかぶっている傾向があるからです。
ここで、米国の政策についてこれまでに私が述べたことを、別の文脈で具体的に繰り返させてください。第一に、日本の核武装については、責任のない米政府高官が何を発言しようとも、我々は反対しています。加えて、日本はこれまでこの件で一切発言しないという姿勢を貫いています。
第二に、我々は、日本の通常兵器による軍備が、4つの島を防衛するのに適当なレベルに制限され、それ以上の軍備が行われないことが望ましいと考えています。
別の会議で申し上げたように、我々は、日本の軍事力が台湾及び朝鮮その他いかなる地域にも展開されることに反対するつもりです。
そして、我々は、日本が経済発展を遂げた問題は、日本だけの問題ではなく、全世界に関係する問題だと認識しています。
以上が、米国の原則です。米国はすべての陣営に抑制を求めているとだけ繰り返すのが有効なのかもしれません。
 
周首相:もし日本が核武装するのを望まないと言うのなら、それは、貴国が日本に核の傘を提供しないことを意味すると言うべきではないでしょうか。何故なら、日本は核の傘を使って他国に脅威を与え得るからです。
 
キ博士:日本が脅威を与え得るですって?どうやってですか?
 
周首相:何故ならば、日本は自分が核を保有していると思ってしまうからです。そうやって大国と同盟を結ぶことで、経済的拡張に専念でき、その結果、後から軍事的拡張を図ることができます。
 
キ博士:仮定的な状況について話し合うのは大変難しいのですが、日本の意図によって引き起こされた軍事的対立に対しては、それがいかなるものであっても、米国の核の傘が適用されることに私は強い疑問を持っています。核の傘は第一義的には日本列島に対する核攻撃に対する抑止力として用いられることになっています。そう言えるのは、我々は日本のためよりも自分自身のために核兵器を使用したいと考えているという理由によります。いずれにしても現実の話としてはまずないと思っていますが。しかし、日本がたちどころに核兵器を生産してしまう能力を持っていることもこれまた事実です。
 
周首相:確かに日本はそういう力を持っています。
 
キ博士:もし米国が核の傘の提供をやめれば、日本は自国の原子力平和利用プログラムから十分なプルトニウムを生み出し、簡単に核兵器を作り上げるでしょう。ですから、代替方策としては、望ましからざる日本の原子力プログラムに反対するしかありません。
 
周首相:日本の自衛力を制限する力を貴国は有しているとお考えですか?
 
キ博士:首相閣下、私は自分が確信を持てないことを主張したくありません。閣下がおっしゃった傾向は確かに日本に存在します。私は、日本に「裏切られたからナショナリズムが台頭したのだ」という口実を与えるよりも、現在の日米同盟を通じて日本の自衛力を制限する関係を維持した方がよいと考えています。合衆国が日本のアジア支配を阻止するために第二次世界大戦を戦ったのは、25年後に日本に冒険させるためだったというのでは全く意味がありません。これは私の個人的な考えであり、もとより米政府としてこの疑問を提起するわけではありませんが、首相閣下が指摘されたように、仮に日本が重武装に踏み切ったとすれば、伝統的な米中同盟の復活が現実味を帯びてくるでしょうし、我々は世界が置かれた状況を真剣に話し合うことになることでありましょう。
では、まとめに入りましょう。米国は日本の軍備を4つの島を守るだけのものに制限することにベストを尽くします。もしそれに失敗したら、日本の軍事的拡張を止めるために、他の国々と協力してやれることに取り組むことになるでしょう。
 
周首相:この点については全く理解できません。何故ならば、現在別の大国が日本を味方に付けようと試みており、それにより、日本が経済力を通じてより強大な軍隊を持つことが可能になるからです。ですから、何故、日本人民に平和と中立に従わせるようにするのがよくないのか理解できません。
 
キ博士:私は、日本が平和政策に従うことについては何ら心配していません。私は、日本が中立宣言するということは、日本が重武装するという好ましくない結果につながると考えています。それでも中立と言えば中立かもしれませんが、以前の日本も同じ(重武装中立)だったのではないですか。それに、彼の別の大国は短期的に何かできるかもしれませんが、長期的には野心を成し遂げられないでしょう。隣人たち及び米国を少しいらつかせること以外に、彼の大国は何か提供できるものを持っているのでしょうか。
 
周首相:そうですね。彼の大国は、経済的には日本人の欲求のいくつかを満たせるでしょう。でもそうは満足させられないでしょう。
 
キ博士:私はそうは思いません。
 
周首相:彼の国は日本の要望のうちいくつかのものすら満たすことができないということですか?
 
キ博士:率直に申し上げて疑問です。私は、彼の大国が日本の経済力に接したら、それを持ち去ってしまうと思います。
 
周首相:たぶんこの点については、あなたの理解の方が私の上を行っているかもしれません。
 
キ博士:まず最初に、日本は大規模な日ソ経済協力を行うために、その全体の経済構造を再方向付けしなければならないでしょう。そして、日本のシベリアに対する欲望をそそることはソ連にとって極めて危険なことになるでしょう。
 
周首相:そのとおりです。それが私の言いたかったことです。日本は欲望を研ぎ澄まし、時が経つにつれある種危険性が高まります。日本の独占資本家たちは違うことを考え始めるに違いありません。
 
キ博士:そうです。私の考えでは、双方とも経済協力を演じるでしょうが、結局のところ、どちらもが自らを完全に再方向付けすることはできないでしょう。
 
周首相:そのとおりです。おそらく、ある期間ソ連がこの路線を続けると、より多くのものを失うのはソ連の方でしょう。そのような環境下で、日本に平和・中立政策に従わせることが何故よくないことなのでしょう。これは復讐ではありません。中国が核ミサイル発射実験を行うときはいつも「これらは戦争には使われません」と言っています。ですから日本がその方向(核武装)に彼らの欲望を展開させる理由はありません。あなたのおっしゃることは理解できます。日本は、米国のコントロールなしでは、そこらかしこで手に負えない存在になります。日本の経済力を一定以下にコントロールすることは可能ではありませんか?
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