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米機密文書詳報4

(産経新聞朝刊 2002年5月2日)

日米70年安保と佐藤訪米

▽六八年四月、在日米軍第七〇四情報部隊所属、デビッド・トヤマ特務員報告書

(米側情報源の)RU12宅に六七年十月十五日、チェン・ナンハンが現れた。チェンは東京周辺で活動する中国スパイ網「チェン・グループ」のリーダーと見なされる男だが、佐藤栄作首相の訪米の狙いを探るようRU12に依頼した。RU12はその後、チェンらが作成した手書きの中国本国送付報告書コピーを入手した。概要は次の通り。

「日米安保改定は東アジア反共同盟の結成を目的としている。

同盟とは単に軍事的な意味でなく経済、政治、文化に至るものだ。

同盟結成の時期を考慮するうえで(安保改定の)七〇年が重要になるが、この年は中国が核兵器を作戦配備するのと重なる。最新の三木武夫外相訪米に関する情報入手で、今回の訪米では沖縄返還を強く打ち出さないことがわかったが、日本は明確な返還タイムテーブルを持っていないようにみえる。

だが、同盟準備のために日本が軍事力増強を図るとみられ、中期的には日本こそがアジアにおける共産圏諸国への対抗バランスの役割を果たす。そうした役割を果たせるようになるまで米国は沖縄を手放さない」

また、羽田国際空港における日米安保反対デモについて、「日本共産党と対立する三派全学連は日本での革命を指導する可能性があるのにそのことがまだ十分に分析されていない。

この学生組織は革命を起こす唯一の組織という意味で無視してはならない」と評価した。

一週間後の二十三日、チェンはさらに次のように分析した。

「米国がこの時期に弾道弾迎撃ミサイル(ABM)設置を発表したことはとりあえずは中国と戦わないことを意味する。それはベトナム戦の終局も意味する。つまり米国がアジアから撤退することだ。

しかし、(撤退前に)米国は日本の軍事力を強めようとするだろうし、他の反共諸国の力も強めようとするだろう。従って佐藤訪米で日本は沖縄返還の見返りに軍事力を強める。大統領選を意識してジョンソン大統領がベトナム和平に動きだしており、沖縄返還問題に対する日本の感情を考えれば、この分析はさらに補強される」

この分析の情報源としてチェンは日本外務省内部の人物を示唆した。

佐藤首相訪米当日の十一月十二日、チェンは情報を中国に送付したとRU12に語った。その情報の趣旨は次の通り。

一、ベトナム戦に日本は自衛隊を送らない。代わりに南ベトナム政府への経済援助を行う。援助は東南アジア地域援助の一環として行う。

二、日米安保改定に日本は応じるが、同時に軍備増強にも応じる。核兵器持ち込みも受けいれる。

三、東アジア反共同盟が結成されれば、日本は参加する。

四、日本は沖縄および小笠原諸島の返還を要求し、米側は行政権委譲を明確にするが、日程は未定。経済問題では日本が貿易の最恵国待遇などを米国に求める。

チェンはこのほかベトナム戦での核使用の可能性を探るようRU12に指示する一方で中国の核開発について「急速に進んでおり、六八年終わりまでにアジア全域を覆う地域を核攻撃できる能力を備える。

その中に日本、台湾、フィリピン、ロシア、ベトナムが含まれる。六九年後半にはたぶん米本土も攻撃可能になるだろう。中国の核開発は文化大革命に全く影響を受けていない」と述べた。  

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