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三十番神

吉川弘文館発行「古事類苑」

〔諸神記 下〕一七種番神

△第一 天地擁護三十番神(番二也、並也、双也、両也)

東方八神

第一歳星神  此曰木祖句々廼馳
第二角宿神  此曰草祖野槌
第三亢宿神  此曰小鳥神
第四弖宿神  此曰大鳥神 (弖の文字は氏冠+一)
第五房宿神  此曰神雷神
第六心宿神  此曰神風神
第七尾宿神  此曰飛鳥神
第八箕宿神  此曰浮船神

北宮八神

第一辰星神  此曰川神
第二斗宿神  此曰下津神
第三牛宿神  此曰大和山神
第四女宿神  此曰磐根神
第五虚宿神  此曰万雄神
第六危宿神  此曰海原神
第七室宿神  此曰忌部神
第八壁宿神  此曰斎幡多尾神

西宮八神

第一太白神  此曰金祖神
第二奎宿神  此曰沢辺水神
第三婁宿神  此曰鳥野多神
第四胃宿神  此曰滝祭神
第五昴宿神  此曰勝雄神
第六畢宿神  此曰浦上神
第七觜宿神  此曰酒守神
第八参宿神  此曰時守神

南方八神

第一營惑星神 此曰火神 (營の文字は、呂の代わりに火)
第二井宿神  此曰井筒守神
第三鬼宿神  此曰彦魂主神
第四柳宿神  此曰道祖児玉神
第五星宿神  此曰澄水吉見神
第六張宿神  此曰片山野神
第七翼宿神  此曰神高見神
第八軫宿神  此曰時主天児神

右深秘家伝之訣也、容易不可伝云々、

△第二 内侍所三十番神(番与前同)

第一離火神  此曰手比留尊
第二大日靈神 (靈の文字は,巫の代わりに女)
第三日前尊
第四国懸尊
第五坤地神  此曰国津母命
第六伊弉冉命
第七天香久山尊
第八三輪高見尊
第九兌沢尊  此曰少女神
第十宇多鬼尊
第十一押山雄取子尊
第十二鳥篭尊
第十三乾天尊 此曰天津祖尊
第十四伊弉諾尊
第十五佐種原尊
第十六心太尊
第十七坎水神 此曰河主神
第十八国常立尊  
第十九国狭槌神
第廿豊斟渟尊
第廿一艮山尊 此曰山主尊
第廿二泥土煮尊
第廿三大戸道尊
第廿四素戔嗚尊
第廿五震雷尊 此曰雷主尊
第廿六天津彦彦火瓊瓊杵尊
第廿七彦火火出見尊
第廿八盧(盧扁+鳥)鳥((玄+玄)の冠+鳥)草葺不合尊
第廿九巽風神 此曰神風尊
第卅沙土煮神
第卅一大苫辺尊
第卅二惶根尊

以上所奉勧請内侍所者三十番神也、上古不秘之自延喜聖代以来、平人不伝授之、神儒之家訣、勿令他視之、勿慎怠云云、

△第三 王城守護三十番神(番与上同)

左青龍八神

第一寅神
第二甲神
第三日神
第四卯神
第五乙神
第六辰神
第七雷神
第八風神

以上ノ八神ヲバ将軍塚内ニ封之テ、自東朱雀至町而、九町之内ヲ擁護之、

前朱雀八神

第一巳神
第二丙神
第三火神
第四午神
第五丁神
第六河伯神
第七己神
第八地神

以上八神ヲバ男山清水ノ(清上恐脱石字)畔ニ封之テ、自九条至五条坊門、而十九町
 之内ヲ擁護之、

右白虎八神

第一申神
第二庚神
第三月神
第四酉神
第五辛神
第六太白神
第七沢神
第八天神

以上八神ヲバ高雄麓鳴滝川辺ニ封之テ、自西朱雀至西洞院、而九町之内ヲ擁護之、

後玄武八神

第一玄神
第二壬神
第三水神
第四子神
第五癸神
第六海神
第七龍神
第八山神

以上ノ八神ョバ糺森辺ニ封之テ、自一条至綾小路、而廿町之内ヲ擁護之、

△第四 吾国守護三十番神(番与上不同、唯如字用之、聊有口訣)

第一天神与地神
第二日高与太元
第三陰神与陽神
第四内宮源与外宮宗
第五狭槌与豊斟渟
第六泥土煮与沙土煮
第七大戸道与大苫辺
第八面足与惶根
第九忍穂耳与瓊瓊杵
第十火火出見与葺不合
第十一伊弉諾与伊弉冉
第十二日前与国懸
第十三淡路胞与淡路洲
第十四伊予二名与筑紫洲
第十五隠岐洲与佐渡洲
第十六越洲与大洲
第十七対馬与壱岐島
第十八潮沫与水沫
第十九海原与野原
第二十川神与山神
第廿一野槌与句々廼馳
第廿二脚摩乳与手摩乳
第廿三思兼与手力雄
第廿四照日与月夜
第廿五杵築与八重垣
第廿六児屋根与天種子
第廿七天御蔭与日御蔭
第廿八織津与秋津
第廿九気吹戸与速佐須良
第卅夜司与昼司

高天原ニ其誓曰、他国ヨリ吾国ト、他人ヨリ吾人ト、故天長ク地久ク、君楽人安、異賊襲来之恐モ無ク、雑々罪事咎祟モ無、祝々他人不伝云々、

第五 禁闕守護三十番神

初十日伊勢国 伊勢
十一日山城国男山 石清水
十二日山城国下上 賀茂
十三日同国 松尾
十四日山城国 大原野
十五日大和 春日
十六日山城 平野
十七日近江 大比叡
十八日近江 小比叡
十九日近江 聖真子
二十日近江 客人
廿一日近江 八王子
廿二日山城 稲荷
廿三日摂津 住吉
廿四日山城 祇園
廿五日山城 赤山
廿六日近江 健部
廿七日近江 三上
廿八日近江 兵主
廿九日近江 苗荷
卅日備中 吉備津

初一日尾張 熱田
初二日信濃 諏訪上下
初三日摂津 広田
初四日越前 気比
初五日近江 気多
初六日常陸 鹿島
初七日山城 北野
初八日山城 大原江文
初九日山城 貴布禰

(第五 三十番神、又拾芥抄諸社部ニ見ユ、標シテ三十神名と云フ)

閏月、備之前中後之三吉備津、一旬充守護之、但補毎年六日之闕云爾、当日当番中、 当神不企参詣、神不在焉也、是故強不秘之云々、此外番神有二種、一曰、伝教大師与桓武皇帝、草創日枝山之時、誓約于神、而逐日令鎮府五神守護所依経云爾、因之号為法華三十番神、番者直日番也、二曰、慈覚大師於楞厳峰杉洞、如法経始行之時、毎日有化現之瑞、号又曰番神云々、

△第六 法華守護三十番神

大比叡(毎月自朔日至六日守護之)
小比叡(自七日至十二日守護之)
聖真子(自十三日至十八日守護之)
客人(自十九日至廿四日守護之)
八王子(自廿五日至晦日守護之)

右件五神、山門鎮護霊神也、因茲令五神守護此経云々、閏月者為諸末社之役云、

△第七 如法経守護三十番神

初一日伊勢
初二日石清水
初三日賀茂
初四日松尾
初五日平野
初六日稲荷
初七日春日
初八日大比叡
初九日小比叡
初十日聖真子
十一日客人
十二日八王子
十三日大原野
十四日大神
十五日石上
十六日大倭
十七日広瀬
十八日龍田
十九日住吉
廿日鹿島
廿一日赤山
廿二日健部
廿三日三上
廿四日兵主
廿五日苗荷
廿六日吉備津
廿七日熱田
廿八日諏訪
廿九日広田
卅日気比

凡人以禁闕守護番神為法華守護、又以法華守護為如法経守護、此段曽无蹤跡、抑慈覚 大師者、貞観六年甲申正月十四日入滅、是後経数年垂跡神多、 如此番神中於祇園社者、貞観十八年丙申始勧請之、北野天神者、延喜三年癸亥二月廿五日、於太宰府薨、慈覚大師入寂之後経四十年也、然天暦元年丁未六月九日、影向於右近馬場、是故改建祠堂於彼地、奉授神号、謂北野天満天神、貞観六年以降経八十余年星霜者也、自彼分此、自此分彼、証迹知之、慎而莫怠矣、口訣亦多(以上全文又見諸社根元記)

〔類聚名物考 神祇十〕三十番神

近代法華宗日蓮の派にて此名見ゆ、もとは比叡山如法経の守護神の三十番神を私に我物として、日本国の諸神、法華をもて勧請せざるは、悉く天上したまふなど日蓮の書に有よし、禁断日蓮義十巻に云、日蓮の時代に三十番神を勧請したる事はなし、今も関東の日蓮宗の寺には多分番神を勧請せず、京都に於て日蓮滅後に、日蓮党談合して三十番神を立と見えたり、いはんや如法経と云は、慈覚大師の御所行なり、然るに日蓮深く慈覚大師を誹謗し、然も如法経守護の番神を取て己が宗の鎮守とする事、豈盗たるにあらずやとも見えたり、又案に今此番神問答といふ書を得て見るに、卜部兼倶以下日蓮宗の僧徒との問答あり、委しくは事長ければ此に記さず、其書を見て知べし、

〔保元物語 一〕新院御謀反露顕并調伏附内府実能意見事

吾国辺地粟散ノ界トイヘドモ、神国タルニ依テ、総ジテ七千余座の神、殊ニハ三十番神朝家ヲ守リ奉リ給フ、

〔戴恩記〕菅丞相(道真公)

百千の雷となり、(中略)御殿さくるばかりになりさがりし時、御門(醍醐帝)大にさわがせたまひ、今日の番神は、いかなる神にておはするぞと、貞信公(藤原忠平)にとはせたまへば、御はかしのつかがしらに白狐の現じたまふを見て、御心安くおぼしめされぬ、稲荷の大明神の御番にておはすと答へたまひければ、程なく神もなりやませたまひ、雨もはれ侍しとなり、

至文堂発行「神道美術」

〈三十番神〉

三十番神の思想は早く、平安時代の初め、円仁エンニン(慈覚大師)が叡山横川の老杉の洞穴ホラアナに籠もり、一字三礼イチジサンライの儀礼を以って、法華経を書写したことに端を発する。法華経の功徳クドクについては「授持ジュシ・読誦ドクジュ・解説ゲセツ・書写」などと云い、法華経の経典を人に授与すること、所持すること、読誦すること、解説すること、書写すること、何れを行っても同様に有り難い仏典の功徳を受けることが出来ると説くことに基づいて、円仁は法華経八卷、開結カイケツ二卷、合わせて七万字を超える経典を書写することを始めた。円仁のこの写経は前後三カ年程を要しており、完成した経典は根本如法経コンポンニョホウキョウと称し、これを安置する小堂を根本如法堂と称した。円仁はこの堂の法華経を守護するために、日本国中の主要な神々三十神を勧請して祀ったが、一カ月三十日を交替で守護の任に就くように定めて、これを「三十番神」と称した。当番で守り番をする神様と云う意味で、今も横川如法堂の傍らにこの小祠がある。

中世以降は番神の思想はそのまま日蓮宗に引き継がれ、法華経信仰の流布と共に広く民衆的な信仰の世界に生き続けるようになった。三十番神の名称と当番の日、神像の姿を併せて表示すると次のようである。

一日   熱田大明神    衣冠
 二日   諏訪大明神    狩人姿
 三日   広田大明神    黒束帯
 四日   気比大明神    衣冠
 五日   気多大明神    黒束帯
 六日   鹿島大明神    神将姿
 七日   北野天神     衣冠
 八日   江文エフミ大明神   唐服(女神)
 九日   貴船大明神    鬼神形
 十日   伊勢大明神    黒束帯

十一日  八幡大菩薩    僧形
 十二日  賀茂大明神    黒束帯
 十三日  松尾マツノオ大明神  黒衣冠
 十四日  大原野明神    唐服(女神二人併座)
 十五日  春日大明神    鹿座
 十六日  平野大明神    黒束帯
 十七日  大比叡オオビエ大明神 僧形
 十八日  小比叡オビエ大明神 白狩衣
 十九日  聖真子ショウシンジ宮  僧形
 二十日  客人マロウド宮    唐服(女神)

二十一日 八王子大明神   黒束帯
 二十二日 稲荷大明神    唐服(女神)
 二十三日 住吉大明神    白衣老形
 二十四日 祇園大明神    神将形
 二十五日 赤山セキザン大明神  黒束帯
 二十六日 建部タケベ大明神  黒束帯
 二十七日 三上ミカミ大明神   黒束帯
 二十八日 兵主ヒョウズ大明神  随身形
 二十九日 苗鹿ノウカ大明神   唐服(女神)
 三十日  吉備キビ大明神   黒束帯

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