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ドラマ『冬のソナタ』ブーム 日韓文化交流の契機に

創価大学教授・田村穣生

(連載コラム「放送メディア月評」11】(2004年5月11日付))

韓国製ドラマ『冬のソナタ』が日本で大人気となり、その主演男優ペ・ヨンジュンの人気がすさまじいほどになっている。特に30歳以上のご婦人方に人気が高いという。先日、ペ・ヨンジュンが来日したさいには「ヨン様」を一目見ようと押しかけたご婦人方で大騒ぎになった。

このドラマはタイプとしてはひと昔ふうの純愛ものだが、男女の愛のひたむきさを真正面から描くドラマは、ここ何年か日本ではほとんど制作されていないのではないかと思う。

映画は、アニメやアクションやコミカルドラマ中心だったし、テレビドラマは、決まりきったタレントだけを起用して“若者おだて”のために作っているようなものばかりだった。一定の生活経験を経た熟年のご婦人方が、今や日本には珍しくなったこのような真面目な純愛ドラマをみて、感動し、自分の若き日の初恋の感慨に浸るのも不思議ではない。

そしてそれは、笑い、有名人、流行の先端、若者、お金、ブランド品、グルメなどに気をとられ過ぎているテレビ的価値基準の再検討を要求するものともいえる。テレビ界も映画界も、自らの貧困な企画発想に対する一つの批判として、真面目に受け止める必要があるだろう。

しかし大人気のもう一つの原因は、主演男優ペ・ヨンジュンのハンサムぶりにあるという。端正で少し甘く、美しい女性と見まがうような口元など、ご婦人方を引きつける魅力に溢れている。それがなければこれほどの人気は出なかっただろうと多くの人が指摘しているのは、適切というべきだろう。

ところで、この『冬のソナタ』と「ヨン様」人気を契機に多くの人が「韓流文化」に関心を持つようになり、ハングルを学んだり、韓国映画に関心を抱くようになったという。そのことは、いいことだと思う。相互理解とはお互いに関心と敬意を持つことからスタートすべきものである。

4月に行われた韓国の国会議員選挙では、当選した議員の7割が新人であり、その6割が反米、反日、親中国意識をもっている、という新聞報道を読んだ。

韓国の人々の心の中に日本に対する厳しい意識があるのにはそれなりの歴史的経緯があるけれども、それを少しでも緩和してもらうためには、政治、経済だけでなく、大衆文化の面でもお互いに敬意を持って交流を深めていくことが必要である。

韓国は日本の大衆文化流入に対する規制を徐々に緩めつつあるが、日本側ももっと韓国文化に対する関心を高めることが望ましい。たとえば映画ファンの間では韓国映画への評価はすでに高いが、普通の人々が、たとえ『冬のソナタ』と「ヨン様」人気がきっかけであるとしても、韓国に対する敬意と関心を持ち、私的な文化交流を実践するようになるのはいいことだ。

そのきっかけを一本のドラマが作ってくれたとすれば、そのようなテレビの力も高く評価しなければなるまい。

(創価大学教授)

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