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参院選にらみ与党内で思惑交錯、揺れる年金改革法案

(朝日新聞:04/03/02 12:58)

今国会の重要法案のひとつである年金改革関連法案の扱いを巡って、与党内で今国会での成立を先送りするのか、あくまで成立をめざすのかの意見が交錯している。国民の負担増につながる内容で野党から批判を受けるのは必至とみて、「継続審議でいい」と7月の参院選以降への「先送り論」がじわじわと広がっている。一方で、法案の先送り自体が批判を受けるとして「強行採決でも今国会成立を」との強硬論も根強い。

●混乱を象徴

「制度に対する信頼性からも、審議が始まる前から先送りなど好ましいことではない」

自民党の中川秀直国対委員長は1日の記者会見でこう嘆いた。国会の司令塔がわざわざ言及せざるを得ないほど、党内では「先送り論」が広がっている。

「徹底的に法案に反対した。私は根本的に議論すべきだと主張してきた」。先月20日、東京都内で開かれた年金問題のシンポジウムで、厚労省の年金改革案を手厳しく批判したのは、昨年まで小泉内閣の財務相だった塩川正十郎氏。その言葉が自民党内の空気を象徴している。

今回の年金法案を巡っては、給付水準の「5割維持」の議論が先行して年金保険料の引き上げが決まったことに、財界などに不満がある。自民党内で「抜本改革とは言えない。消費税の引き上げを含めた改革論議に踏み込むべきだ」との声がくすぶるのもそのためだ。

さらに、法案の取りまとめが、自民党の厚生族と公明党主導で進んだことへの反発もある。最近、自民党幹部と会った公明党幹部の一人は、「『参院選が終わった後の方が、選挙が関係なくなるので本質の議論ができるじゃないか』と言われた」とため息をつく

●損得勘定も

ただ、年金改革を党の看板としてきた公明党には、簡単にはのめない話だ。昨年の総選挙で具体策をマニフェスト(政権公約)に掲げたため、「先送りになると公約違反と言われかねない」(幹部)事情もある

26日に開かれた同党幹部会では、「今国会の成立に向けて強い姿勢で臨む」ことを確認。公明党幹部の一人は「今国会で成立させるよう自民党側に働きかけている」と明かす。

一方で、年金問題は小泉改革の柱の一つでもあり、先送りは政権批判につながりかねない。「先送りした方が選挙でマイナスだ。強行採決でも、今国会でやった方がいい」(自民党閣僚経験者)との意見もくすぶる。

与党側は「民主党も対案を出して議論すべきだ」として、当面は法案修正などで民主党の出方を探る構え。民主党の野田佳彦国対委員長も「(民主党は)反対だけの政党ではない。どんどんこちらから提言をする」(22日の記者会見)との姿勢をとっている。

ただ、最終的に民主党が対決姿勢を強めた場合に年金法案で強行採決となると、道路公団改革や有事関連法案など他の重要法案の審議にも影響しかねない。公明党内からも「法案成立にこだわりすぎて、うちだけが泥をかぶるのもどうか」(同党幹部)との慎重論がもれる。

●政治が左右

これまでも年金制度改革法案は、国政選挙など政治情勢に揺さぶられる歴史を繰り返してきた。最近の国会審議をみても、89年以来、複数の国会にまたがって成立にこぎつけるのが常だ。

89年改正は、60歳(女性は56歳)だった厚生年金の支給開始年齢を65歳に段階的に引き上げることが焦点になった。世論の反発を受けるなどして、年齢の引き上げはせず、保険料率の上げ幅の圧縮や年金給付の増額だけにとどまった。

99年の前回改正は、翌年まで審議がずれこんだ。焦点となったのは基礎年金の国庫負担割合の引き上げ。当時、自民党と連立を組んでいた小沢一郎党首率いる自由党が、消費税を財源とする基礎年金の「税方式化」にこだわり、法案の国会提出が会期末になる異例の事態に。結局、財源問題は決着が先送りされた。

こうした「歴史」に厚労省幹部は危機感を強める。「前回は提出が会期末、前々回は政権交代という異常事態だった。今回は審議時間はたっぷりある」と議員らへの説得に回っている。

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