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公明党議員が追及された「生活保護ドロボー」
「福祉の党」は総力で疑惑否定

(「週刊ポスト」2004年10月22日付)

宮城県多賀城市で、市議会議員とその親族が市から裁判で訴えられるという騒動が起こっている。訴訟の理由は「不正に受け取った生活保護費を返しなさい」という前代未聞の醜聞だ。

不正受給〃 の疑惑を持たれているのは、公明党の根本朝栄市議の義母である。現在、80代半ばの彼女は1989年9月、隣の塩竃市から引っ越してきた。塩竃市でも生活保護費をもらっていたが、多賀城市でも「一人暮らしで、病弱である」という理由で支給されることになった。

疑惑が発覚するきっかけとなったのは、昨年7月、共産党の藤原益栄市議にかかってきた一本の電話だった。

「近所に、生活保護を受けている女性がいるが、住んでいるはずのアパートの部屋に、夜間、明かりが点いているのを見たことがない。その女性は、ほとんど近くの娘夫婦の家で一緒に暮らしている。娘の夫は市議会議員だ。議員が親族にいると、生活保護が受けられるのか」

藤原市議は同年8月初旬、そのアパートを訪ねてみた。部屋はロフト付きのワンルームで、広さは10畳ほどだった。ロフト部がベッドで、高齢だった根本議員の義母が住むのに適した部屋とはいえなかった。風呂付きで、家賃は月額3万9000円と聞かされた。

この問題は同年9月18日、市議会決算委員会で取り上げられ、すでに当事者への生活保護が同年6月30日で打ち切られていたことが判明する。保健福祉部長は、打ち切りの理由として「部屋での生活実態がない」と答えている。担当者が、1年問の水道や電気の使用量を調べた結果、一般的な一人暮らしのrか月分にも満たなかったのだ。

その後、同市は今年4月、根本市議や親族に対して99年5月か03年6月までの支給分の40%、約487万円の返還命令を出した。納付期限は今年5月31日だったが、根本市議側は命令を不服として返さなかった。

藤原市議はこういう。

「市は、税や健保の滞納などには厳しく対処してきた一方、不正に支出された公金の回収には熱心ではなかった。根本氏の開き直りともとれる態度を見逃せば、不正はますます増える危険があった」

市議会は、今年9月30日、返還請求訴訟を起こすことを賛成多数で可決した。全議員22名のうち反対したのは公明党議員2名だけだった。それを受けて、市は現在、返還を求める訴訟を準備している。

根本議員を直撃すると、憤概してこう反論した。

「不正受給で返還命令を受けたが、不正をしたことはない。返す理由がないので、返さないということだ。ベットがロフトにある部屋は老人に不向きではないかというが、そんなこと関係ない。それぞれの家庭には事情がある。細かいことを話すつもりけないが、当時、養母を自宅に引き取れるような家庭事情ではなかった。義母は、生活保護を受けていたとき、確かに一人暮らしをしていた」

不正はしていないと主張する根本市議は、市議会の議決を不服として、今月4日、返還命令の取り消しを求める訴えを起こしている。徹底抗戦の構えだ。

しかしながら、根本市議ほ、昨年9月、問題が市議会で取り上げられたとき、藤原市議に「2年分ぐらい返す用意がある。この件、穏便に済ませてもらえないか」と持ちかけた。その経緯は根本市議自身が、昨年12月の市叢会で認めている。それが突然、全面抗戦に転じたのは”誰のアドバイス”だったのか。

「生活保護に不正は付きもの」

 公明党は、これまで”福祉の党”を看板にして、選挙のたびに児童手当などの”バラ撒き”を公約にしてきた。その上国民には不評の年金改正を「与党としての最大の実績」と自画自賛している。

それだけに、所属議員の親族が”生活保養ドロボー”だったとなると、党の信頼が地に堕ちる。だからこそ市議会の採決に際しては、2人の所属議員が足並みを構えて反対した。

根本市議ほ「今後の対応については東京の公明党本部に聞いてほしい。私の回答は、党本部と一緒だ」と、この問題がすでに党の取り扱い事項になっていることを強調した。

党の広報部ほ、こう回答した。

「本人は一切の不正受給はないと断言しています。党ぐるみで疑惑を隠蔽”しているとの指摘は当たりません。問題の解決は裁判の場に移りましたが、党としても事実関係を調査中です」

”福祉の党≠ニいいながら、問題の重大性がまるでわかっていない。今回の騒動は、一議員の個人的なスキャンダルにとどまらず、福祉行政の構造的な問篤をはらんでいる。

ある地方自治体議員は、「生活保護に議員の口利きなど不正は付きものだ。多賀城市の件は氷山の一角にすぎない」と指摘する。不正受給は詐欺罪になるが、現実には政治家の不当な行政への介入により、全国の自治体で不正が幅広く行なわれているのが実態だ。まして騙し取られているのが国民の血税である以上、単に受給者のモラルや行政の怠慢などで済ませられる問題でほない。

公明党が”福祉の党〃を名乗るのなら、児童手当の奮発など税金をバラ撒く仕組みだけでなく、税金が本当に必要な使われ方をしているのか、それをチェックする仕組みに取り組むべきではないのか。

生活保護費の4分の3を負担している厚生労働省も不正受給”対策には及び腰だ。同省の社会・援護局保護課保護係の清水修係長は、不正受給の防止策について、こう答えた。

「不正受給があった場合、国が直接個人へ請求することほできないので、都道府県を通じて各自治体を指導している。多賀城市の問題は、不正があったのなら全額返還してもらうのは当然だが、今は推移を見守っていきたい」

まさか前大臣が公明党出身だったからではあるまいが、こちらも議員の口利き問題をわかっていて、だから触りたくない”というのなら、騙しし取る側と詐微罪の共同正犯になることを肝に銘じるべきだ。

厚生労働省の『社会福祉行政業務報告』によると、生活保護を受けた世帯は03年度、約94万だった。11年連続の増加で、前年度より7万世苛も増え、過去最多を更新している。不正受給も急増しており、昨年度で9264件、58億5400円にのぼる。

根本議員の問題は、国の福祉政策を牛耳る厚労省と公明党の改革姿勢″を見極める試金石といえる。

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