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在日朝鮮人への嫌がらせ多発 歴史的視点欠く報道にも責任

(聖教新聞 2002年10月8日)

連載「ニュースの眼」

落合克志記者

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が日本人拉致を認めた9月17日以降、各地で在日朝鮮人学生に対する暴行や嫌がらせが相次いだ。在日朝鮮人総連合会の中央本部教育局によれば、10月7日現在、暴行・暴行未遂27件、暴言、脅迫・無言電話やEメールなどによる嫌がらせが290件発生。

報道されたものに限っても宮城、東京、神奈川、新潟、長野、愛知、大阪、兵庫など広範囲にわたっており、女子生徒が狙われている。拉致被害者の家族からも「到底許せない。日本人として恥ずかしい」と憤りの声が上がった。

神奈川朝鮮初中高級学校では、小学生の女子児童が登校中、バスの中で「朝鮮人だろ」と男性に足をけられたという。学校にも「死ね」「北朝鮮へ帰れ」などという脅迫や無言電話が30〜40件あった。

一方で、事態を憂えた日本人からは「在日の方々が被害に遭うのは筋違い」「負けないで」などと励ますメールも届けられた。メールを交換する中で日本の植民地支配について学び、「新しい日朝関係を築くためには、北朝鮮だけでなくお互いに考えなければいけない」と認識を新たにした青年もいるという。

「マスコミがもっと真剣に報道していれば」との拉致被害者の家族の言葉には、自責の念を禁じ得ない。だが、その反動と国民感情が相まった北朝鮮“断罪一辺倒”の報道に呼応して多発する在日朝鮮人への嫌がらせには、米同時テロ直後のイスラム教徒への迫害と同じ危険性を感じる。

拉致事件は徹底的に解明し、二度と起こさせてはならない。だが、被害者側の心痛を知ればこそ、時代は異なっていたとはいえ、日本の強制連行という「拉致」からも目をそらしてはなるまい。そもそも、南北はなぜ分断され、拉致事件はなぜ起きたのか。こうした歴史的視点や未来への展望を欠いた報道が続く限り、日朝関係に新たな進展はないだろう。

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