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063回-衆-文教委員会-20号 1970/05/08

○麻生委員 委員長のお許しをいただきまして、出版行政のあり方につきまして、若干御質問を申し上げたいと思います。

質問に先立ちまして、きょう私がこの質問をする主たる理由をちょっと申し上げておきたいと思いますが、ちょうど本国会が始まりましたときに、予算委員会におきまして、いわゆる言論・出版妨害問題が大きく取り上げられました。私も予算委員の一人として、予算委員会におきましてこの問題を取り上げて政府の考え方をただし、なお参考人の招致の要求もいたしたのでありますけれども、残念ながらその結論としては、今日まで予算委員会で取り上げられた参考人招致ほか何件かの質問者の要求について、ついに国会において正式に取り上げられて審議をする場がなかった。質問者としてははなはだ遺憾に思っておるわけであります。したがいまして、きょうの文教委員会における私の質疑は、予算委員会における私の質問のある意味の延長であり、かつその締めくくりという意味で御質問を申し上げたいと思いますので、大臣におきましても、また関係者におきましても、そういう観点からお答えをお願いをしたい、こういうふうに思います。

初めに大臣、ちょっと確認をしておきたい。私が予算委員会で質問を申し上げましたときのおもな要点は、現実問題として藤原弘達さんの著書である「創価学会を斬る」という本を取り上げまして質問をしたのでありますが、しかし、それとは別に、一般論として一体出版の自由とは何かということについて、総理及び法制局長官の見解を質問をいたしました。これに対しまして総理及び法制局長官は、出版の自由とは本が製品になるだけではなくて、その商品になった本が公正な配給ルートを通じて店頭にまで並べられ、そして国民が自由にそれを選択できる状態までを含むものであるという見解が明らかにされております。この総理及び法制局長官の見解について、文部大臣は同様の見解をお持ちかどうか、初めにちょっとお伺いしておきたいと思います。

○坂田国務大臣 私もそのように考えております。

○麻生委員 第二点は、しからば一体公正な配給ルートというのは、出版業におきましては、出版屋が本を出版し、それが取り次ぎ業を通じて小売り店まで届いていく、このルートをいうわけであります。もしこの配給ルートあるいは流通機構の過程の中で、正当ならざる理由によってこの書物が不当に取り次ぎ業から断わられた場合は、――私は、当時仮説としていろいろな設定をいたしまして、公取委員長に、万が一取り次ぎ業者が相共同してこの本の取り次ぎを不当に断わった場合、あるいはまた本来取り次ぐべき正当な価値のある書物を不当な理由によって断わった場合、これは明らかに憲法の規定する言論・出版の自由の項に違反するかどうか、それからもう一つは、独禁法違反になるおそれがないかどうかという質問をいたしております。これについて法制局長官は、当然広い意味における憲法の言論・出版の自由に抵触するおそれがあるという考えを明らかにしております。また公取委員長は、もしそういう事実があれば、それは明らかに独禁法違反の疑いもある、こういう答弁をしておりますが、この二つの答弁について、文部大臣とそれから公取事務局長の見解をお伺いをしたい。同じような見解をお持ちかどうか、お伺いしておきたいと思います。

○坂田国務大臣 言論・出版の自由を不当に妨害をしたという事実の有無は、これは問題かと思います。でございますけれども、おことばどおりのことであると、私はやはり言論・出版の自由に抵触するおそれがあるというふうにはいえるかと思います。

○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。公正取引委員会としましては、いわゆる公正でかつ自由な競争の維持、促進ということが独禁法のねらいでございまして、そういう見地に立ちまして、先ほど先生おっしゃられました取り次ぎ業者が正当な理由なく、不当な理由で共同して取り次ぎを断わるといった場合に、これがいわゆる公正な競争を阻害するという事実がございますれば、それは独禁法に違反する疑いがあるというふうに私も考えます。

○麻生委員 それからもう一つ。この取り次ぎ業は、いま日販、東販、そのほか数社あるわけでありますが、特にその中で日販、東販の占めるシェアはきわめて大きいものがあることは、公取もよく御存じのとおり。ところで一つの問題点は、この取り次ぎ業者が、自己の意思によって正当ならざる理由で書物の取り次ぎ――この取り次ぎには、二つのケースがあります。それは直接買い取り制度と委託制度でありますが、このいずれの道もふさいでしまった場合に、これはいまあなたが答弁した疑いが出てくる。それからもう一つのケースは、他の業者、つまり同じ業界における他の業者が取り次ぎ業に対して不当に圧力をかける。たとえて言えば、もしA社の出版する出版物を取り次ぎ業が取り扱う場合には、わが社の出版物の取り扱いは取り次ぎ業に対して考慮する、そうしてそういう要請をした出版屋が取り次ぎ業に対して相当の市場を提供しているというような場合、そういう強要もしくは要請と見られる行為をした他の出版社の行為、これはやはり独禁法に触れるおそれがあるかないか、この点をお伺いしておきます。

○吉田(文)政府委員 ただいまの御質問でございますが、Aという出版社がある取り次ぎ店に対して圧力を加え、その取り次ぎ店のシェアがかなりのシェアだった、それでもし自分の競争相手でありますB出版の本を扱うようならば、これは自分としては取引をしないといったようなケースでございますが、これにつきましては、正当な理由があるかどうか、それによって公正な競争が阻害されるかどうかという点は、これは独禁法上の問題でございますが、もしかりにそういう事実があるとすれば、これは不公正な取引方法に該当するおそれがあるというふうに考えます。

○麻生委員 私が予算委員会で質問したのは、いずれもそういう仮定の上に立って、そういう事実があった場合について質問をして、おおむねいま大臣及び公取の事務局長から答弁されたような見解が表明されておるわけであります。そこで私は予算委員会の最後に、「創価学会を斬る」の本を出しまして、これに関して、この書物の取り扱いについていま仮定としてお話をした疑いがある、それが事実であるという疑いがあるという質問をして参考人を呼ぶことを要求したのでありますが、しかし、残念ながら参考人を呼ばれなくて、ついにこの事実関係についての審議の機会がきょうまで与えられなかった。したがって、私はきょうは事実関係をもとにしてその先を質問をしてまいりますので、そういう観点からお答え願いたいと思います。

まず第一は、藤原弘達さんの「創価学会を斬る」が日新報道社から出版をされまして、そして出版をされると同時に、日新報道社は当然のこととして、東販、日販及び栗田その他の取り次ぎ業に対してこの取り次ぎかたを要請しておるわけであります。その場合の一般的見解として、藤原弘達といえば、好ききらいは別として、名の通っている著者であることは間違いないし、日新報道がそれ以前に藤原弘達氏の著書を出版した場合には、取り次ぎ業界がこれを取り扱っているという事実関係がありまして、したがいまして、その第二弾として「創価学会を斬る」の場合も、当然取り次ぎ業としては取り扱うべきが妥当であるという見解に立って、私は質問をするわけであります。ところが、実際問題として、日販は、当初これについて検討したいという意向を表明した。東販も表明した。ところが、数日たってから、同時に両取り次ぎ業者から、遺憾ながらこの取り次ぎは直接取り次ぐことはできない、申し込みがあった場合だけ注文に応じましょう、こういうふうに変わってきた事実が明らかにされております。さらにそのような状態の中で――なお詳しくは私どもが議員集会を開いたときの日新報道の証言内容に明らかにされておるし、その速記録が全部ここにでき上がってきておりますが、私は、きょうはこれを参考として、必要があればこれをもとにしてお尋ねしますけれども、事実関係としてはそうなっておる。その中で、特にいまお手元にお配りをしました資材の中に、東販の仕入係長堀さんという人がおります。これは実在しておるし、私も確認をしております。この堀さんと日新報道の皆川編集長との間に、電話によって一問一答がされておる。これを日新報道社が商売上における記録としてとどめておいたテープが保存されておるわけであります。そのテープの内容から一部を抜粋したのが、いまお手元にお配りをした資料になっておるわけです。ちょっとこの資料をごらんいただきたいのですが、こういうことが取り次ぎ店から言われております。これは堀さんのことばそのままの録音テープのリプリントでありますが、読んでみますと、「その辺のところは勿論あります。ありますけれどもね、」その次に傍線として「私どもとして昨日もおいでになったときお話ししたように、書店さんの方から、学会さんの関係でしょう、お見えになった方からですね、とにかくこれを創価学会を斬るですね、お宅で売るということはこまるので返せというお話があってですね、東販に返すということがヒンパンに起っているんです、」これは何を意味しているかというと、つまりこれは書店から、売ってもらっては困るという学会さん関係の人が来て、返本されてくる、だから東販としてはなはだ困るのだ、取り扱っても意味をなさない、こういう意味の内容だと解されます。こういうことが言われておる。それからなお、ここにありますように、傍線の点だけ続み上げますと、「いまはもう潮さん、聖教さんがほとんど廻ってしまいまして、私どもはあとからまわっているということでして、」こういう文言が入っております。これは何をさすかというと、もうすでにこの「創価学会を斬る」が出版された段階において、潮さん、聖教新聞さんが各書店を回り歩いて、この「創価学会を斬る」という本が送られてきても扱わないように、売らないように、店頭に置かないようにということを先回りされてしまっておりますので、したがって東販があとから送っても意味をなさない、あるいは返されてしまう、こういう意味と解釈されるわけですね。それからその次に、取り次ぎ店のことばの中に「いや逆にね、先方さん」というのは、潮、聖教など学会関係でありますが、「先方さんの方からいわせればですね、お宅さんの方はそんな例は出て来ないだろうというのですが、先方さんの話しですと今後かたっぱしから出て来るという、結局東販さんは送っても(本を書店へ)商売にならないということなんです、」こういうことばがあります。これはその後日新報道の編集長の議員集会における証言によりますと、この内容はこういうことをさすのです。どうしても取り次ぎ業が扱わないので、日新報道は、やむを得ず直接本屋を回り歩いて本の委託をして歩いた。ところが、もうすでにそのときはここにある潮、聖教さんなどの学会関係が先回りしてしまっていて、実際にはむだであろうということを堀さんが言っておるわけですね。したがって、直接日新報道が注文をとって歩いても、それは事実上あなた方が回る以前に聖教や潮出版社が回って、売らないようにという要請が届いているのでむだだろう、こういう意味だ、こういうふうに証言をしております。そして最後に取り次ぎ店の堀さんは、「あの、学会さんの方からね、今後そういう店が増えるであろうという予告もうけている」――そういう店というのは、売らない店であります。自分らがもう回り歩いて売らないように頼んだのであるから、もうこの本は売らない店がますますふえていくであろうという予告、警告も受けている、だから取り扱うなということだ、こういうことになる。これは事実であります。この事実を客観的に、総合的に考えてみますと、要するに一つの事実が浮かび上がります。その事実は、この本が出た、その時点から潮、これは出版業であります。それから聖教新聞、これも新聞社としての出版業、この同業関係の二社が、日新報道の出版物を売らないように言って各書店を回り歩いていたのではないかという疑いが、この会話の中から持たれてくるわけでありますが、疑いを持たざるを得ないという判断について、大臣、あなたこの会話をごらんになって、あなた御自身がそういう疑いをお持ちになりませんか。

○坂田国務大臣 一応この文章を読みますと、いろいろの理解ができると思うのでございますが、ただ、これが単なる商取引の関係においてなのかどうなのかというようなことが、実はよくわからないわけでございます。それから私どもの関係から申しますと、また創価学会が何か組織的に、あるいは何かの意図を持ってそういうことをやられたかどうかというようなことはつまびらかではございませんので、はっきり申し上げられないわけであります。

○麻生委員 公取の事務局長、たとえば他の商品の場合、電気製品の場合、東芝さんが電機を売る各お店を回り歩いて、たとえば他の電機会社の商品を売ってくれるなといって回り歩くこと、それを組織的にやることは許されますか。

○吉田(文)政府委員 一般的に申し上げまして、ほかの商品の場合に、かりに先生おっしゃったように、東芝さんが回って歩いて、おれの競争会社の商品を売るなと言っただけで直ちに独禁法違反になるか、それは具体的ケースで調べてみなければわかりませんが、それについて正当な理由がない、それから競争阻害のおそれがあるということであれば、不公正な取引方法に該当するおそれがあるということでございます。

○麻生委員 事務局長、たとえば東芝さんが組織的に、一部の販売員というのではなくて、東芝さんの社の決定として、東京都下にある電機製品を売る各小売り店を全部回って、もし日立さんの製品を売るなら一切自分のところの取引はさせないといって組織的にやった場合、この場合はどうなんですか。

○吉田(文)政府委員 いまおっしゃったような場合で、しかもそれが取引の条件になるということがはっきりいたしますれば、それは不公正な取引方法の拘束条件づき取引に該当するおそれがあります。

○麻生委員 大臣、いまそれが組織的にやられたかどうかよくわからないと言われるが、営業権ということもあります。しかし、明らかに公取の事務局長が言うように、自由にして公正な競争、これが原則になっておるわけですね。この自由にして公正な競争が阻害されれば、それは当然独禁法違反の疑いが出てくるということはもうすでに答弁されておるのですけれども、そこで私はもう少し突っ込んで御質問をしますけれども、このこと自体、取り次ぎ業として本来こういうことがあったからといって、いまここにあげられておるような理由で、つまりその本を扱ったところでどうせ潮さんや聖教さんが回り歩いて本屋では売れないのであるから、返本されてしまうのであるから、藤原さんの本は取り扱えないといって断わる、それが正常な取り次ぎ業のあり方だと大臣はお思いですか。

○坂田国務大臣 その辺も事実関係がやはり問題になってくるわけなんで、たとえば私が本を書く、そしてこれを出版屋が東販やなんかにお願いをするという場合に、当然私としては売ってもらいたいわけなんだけれども、それを売ってもらえない。だけれども、これは出版の自由に違反するのじゃないかというふうには、直ちにはいえないのじゃないかというふうに思うわけでございます。でございますから、その辺が藤原さん自身としては、もうおれの本は売れるというふうに思っておられるかもしれないけれども、あるいは取り次ぎやその他のところで売れないと思うことも、これはあり得るというわけでございますね。でございますから、やはりそこのところは事実関係が非常にむずかしいとは思いますけれども、しかし、公正な取り扱いをしなければならぬということは、やはりあるべき姿であるというふうに私は思います。

○麻生委員 ここで、問題の焦点が大臣、一つ出てくるのです。営業権、つまり営業の自由ということと、憲法で保障する、先ほど大臣が総理及び法制局長官の答弁のとおりだと言われた言論・出版の自由というものとの兼ね合いというのが、非常に重要な問題になってまいります。しかし、憲法が優先するということは当然です。それは御承認されますか。

○坂田国務大臣 もちろん憲法は優先するわけでございますけれども、事はその言論・出版の自由ということに関しまして第一義的に憲法が求めておりますることは、やはり国家権力がこれを排除するということに重点が置かれておるということは、先生もお聞きになったとおりだと思うわけでございまして、私人関係の問題については、なかなかそこのところがむずかしいわけなのであります。しかしながら、憲法の精神に照らしてどうなのか、当不当ということは言える、好ましいか好ましくないかということは私は言えるし、あるいはそのおそれがあるとかないとかということを言えるのじゃないかというふうに思います。

○麻生委員 この種取り次ぎ業というのは、藤原さんの本を扱って、そのことによって損害を受ける可能性がある場合、これは営業権について相当の主張ができる。しかし、大臣御承知かと思いますが、取り次ぎ業というのは、本を取り次いで返ってくれば返本をする権利を持っております。だから、損害はないんですよ。これはここに取り次ぎ業としての重要なある意味の性格がある。それからもう一つ出版物が店頭に並べられるまでの自由をいうということになりますと、それには二つの方法がある。その一つは、取り次ぎ業を通しで出版物を委託ないしは買い取り。この買い取りか委託かということについての選択権は、あくまで取り次ぎ業にあることは当然だ。これは買い取っても損をすると思えば、買い取らないで委託という形になる。したがって返本できる、こういうことになる。ところが、この場合は委託を断わっているわけですね。委託しても意味がない、堀さんはこう言っている。つまり委託をしても、店頭から返されてくるのだから意味がないからだめだ、こう断わっているんですね。いいですか、ここが非常に重要なところなのです。そうすると、委託の道も閉ざされたということになる。そうすると、この出版屋としては、直接全国の書店に委託して歩く以外には方法がない。これは可能だと思いますか。そういうことはできないですね。現実問題として、一つの出版屋が全国の書店を回り歩いて一軒ずつ五冊ずつ本を持って委託して歩くなどということは、それこそ前近代的な販売方法、とても今日の社会の中では不可能ですね。だから、これも閉ざされる。結局委託も断わられ、直接買い上げも断わられるということになると、もう方法がない。それでは今度直接出版屋への注文方式というのがありますね。たとえば私が小売り店をやっていれば、広告で見たから、取り次ぎに頼んでもないから、したがって直接出版屋から本を取り寄せるというルートが一つあります。ところが、このルートがまた閉ざされたことが、この日新報道の編集長の証言によって、広告業者ほとんど共謀して広告掲載を断わった事実が明らかにされておる。この広告業者というのは、大新聞の広告も含めてであります。一たんは広告の掲載を引き受けてポスターまでつくらせながら、そのでき上がったポスターに難くせをつけて、ついにすべての社が広告掲載を断わった。したがって、この出版屋は、広告を通じて書店に対してこういう本が出ているということを知らしめるルートさえ断ち切られているということになる。そうなると、これは事実上憲法の保障する言論・出版の自由というものは完全に断ち切られる、阻害されるということになります。たとえばあなた御自身がお書きになった本、売れるか売れないかは、それはあなたの判断ではきまらない。しかし、あなたはそれを広告する権利がありますね。その広告が、すべての新聞社からあなたのお書きになった本の広告を断わられた場合、あなたはそれはしようがないとお思いになりますか。広告料を出すんですよ、あなた自身が。

○坂田国務大臣 広告料を出すのだったら、その新聞社がそれを引き受けてくれるのが当然と思うわけでございます。それはそうだと思います。しかし、私の書いたのが、私は売れると思って、たとえば一万部刷ることをお願いする。ところが、こんなに刷ったって、それはとても千も売れませんよ、こう言われたときに、私としていや売れるよということを言えるかどうかということで、まあそれならば二千部くらいにお願いしますというようなことになってしまう。そうすると、それを一万部売らなければならない、あるいは載せなかった、引き受けなかったからといって、直ちに憲法違反ということにはならないんじゃないかというふうに私は思います。

○麻生委員 そのあとのことはいいんですよ。私が聞いたのは、大臣御自身が本をお書きになって、大臣御自身が正当な広告料を払って広告会社に委託をする、何社かに。そうして初めは引き受けておいて、ポスターができた段階で全部各社が共同に断わってきたという場合、これもやむを得ないとお考えかどうかということを聞いている。あなたはやむを得ないとは考えられないですね。ということは、要するにきわめて非常識な手段を広告会社はとったということになる。つまりあなたの本が売れるか売れないかの判断は、これは主観的な問題。しかし、少なくともあなた自身の本が(「広告倫理規程違反だ」と呼ぶ者あり)そのとおりだよ。完全に違反になるわけですよ。これはいま申し上げたように、それと同じような意味で取り次ぎ業というものの公的性格があるわけです。これはいま藤原弘達の本だけをとっておりますが、こういう妨害は、他にもこういう不当な取り扱いを受けている本があるんですよ。そして、見てください、ちまたには裸体写真、ヌード写真の本が充満しているでしょう。そうすると、取り次ぎ業の公的性格というのが、普通の営業とは違うところは、憲法で保障している出版の自由というものの流通機構としての公的性格がある。単なる普通の商品の流通を取り扱っているんじゃないです。したがって、そこに当然委託という制度も設けられている。損はしないようになっている。返ってきたものは、返品すれば手数料だけは取れるという仕組みになっておるのですよ。そこに取り次ぎ業の公的性格があるんですよ。あなたの本が売れるか売れないかの判断は、折衝過程であるでしょう。取り次ぎ業のほうから、一万部は無理でしょう、二千部ならお引き受けしましょう、これは当然でしょう。しかし、それが全部シャットアウトされるとなった場合、あなた自身はそれもやむを得ないとお考えですか。

○坂田国務大臣 これはやはり人おのおのによって違うので、一万くらい売れるだろうと思って出版して、これは千くらいしか売れないと言われたら、やめてしまうという人もおるだろうし、やめない場合もあるだろうということだろうと思うんです。

○麻生委員 やめる場合もあるが、やめない場合もあるということを聞いているんじゃない。あなた御自身全部シャットアウトされる、委託も断わられる、つまり取り次ぎを断わられるという場合、あなたはそれをしょうがないと思って出版をやめられる、それはあなたの御意思です。やめてしまったら、それは終わりです。ところが、この場合はやめないから、こういう電話のやりとりが何回となく繰り返されておるわけですね。だから、やめる意思はないとすれば、当然取り次ぎ業は公的性格の上に立って、そこまで折衝しても出された本に対しては、委託なら委託の形で各全国書店に対して取り次ぎの有無を聞く義務が当然生まれてくる。これが公的性格です。私はそう判断する。これはどうですか。

○安達政府委員 出版物の取り次ぎ方法につきましては、先ほど先生の御指摘のように、買い切りの場合、それから委託販売の場合、それから注文扱いの場合、この三つの方法があるわけでございます。したがいまして、いまの場合におきましてどのような取り扱いにするかということは、それぞれの営業の問題として取り次ぎの判断、書店の判断等で行なわれるわけでございますので、そういう面におきまして、委託しないで注文扱いというようなことも可能でございまして、現に「創価学会を斬る」は、注文扱いで一番大きな取り次ぎ店では二十二万部取り扱っておるというようなこともございます。こういう点は、全般的に先生の御指摘のような問題もございますけれども、いま取り次ぎ自体が出版の自由を阻害しておるというようなことまでは、まだなかなか言い切れないんじゃないかというように思います。

○麻生委員 二十二万部売れたというのは、いまの時点ですよ。よけいな答弁しなさんな。私が言っているのは、十一月時点のことですよ。これはもう常識です。いまの時点においては、「創価学会を斬る」は百万部近くいっていますよ。だから、藤原さんは笑いがとまらないです。日新報道もそうですよ。いまの時点のことを言っているんじゃないんだ。これが出版された時点のことを私は言っている。いいですか、撤回しておいてください。そんなことを聞いていないのですよ。こっちが指定もしないのにあなたがのこのこ出てきて、よけいな答弁をしないでくださいよ。

○安達政府委員 私は、三つの方法があるということを申し上げたわけでございます。いまの二十二万部というのは、昨年の十二月からの話でございます。十一月時点では、その点はそういうことはありません。

○麻生委員 私が聞いているのは、出版された時点のことを聞いているんだから……。その後のことなどは、いま申し上げたように、二十二万部どころじゃない。もっと売れているのだ。いまはどこの取り次ぎ業でも堂々と取り扱っていますよ、もうかるから。大臣、私が言っているのは、出版された時点のことを言っているのです。その観点に立って質問しているわけです。いま大臣が言われましたように、一つは広告の問題、もう一つは取り次ぎ業が不当な理由で断わった場合、これは何といっても独禁法違反の疑いが出てくることだけは、まぬがれないと思います。

そこで私は、もう少しこの事実関係を突っ込みたいと思うのですが、ここで東販の堀さんとの間にやりとりされた事実を裏づけする資料をいまお配りしてございます。それは「別紙アンケート調査報告」というのをごらんいただきたい。この調査は、東京都下にあります約千軒の本屋さんに対して、私のところから出したアンケートに対する回答でありますが、このアンケートを行ないましたのは、ここにあるように四月二十二日であります。差し出しは、私の政治研究所の名称を正式に使いまして、差し出し人としては私の名前を使って出したものであります。その千ほど出しました中で、古本屋さんがありますから、これを除外しますと、実数約八百と推定されますが、その八百の書籍小売り店の中から、五月四日現在で百九十三件返答が来ておるわけであります。このアンケートの内容は、この資料には書いてございませんが、こういうことでございます。「昨年十一月より十二月末までの間、藤原弘達著「創価学会を斬る」の取次店への注文及び店頭販売の過程の中で、次のような妨害の事実の有無についてお伺いします。」こういう文面であります。そして、「取次店へ注文した場合、取次店から、品切れ等の理由で、取次をことわられた事実があったかどうか。」これが一つ。それから第二は、「書物販売中、取次店から、返本をせまられた事実があったかどうか。」第三は、「書物販売について、創価学会員、もしくは、それに類する人から、販売中止を強要された事実があったかどうか。」この三点について質問をした調査票を送りつけました。それに対して返事が来ておりますが、その返事の内容がこの資料の中に記されておる。この中で、いま申し上げた五月四日現在で返事が来た数が百九十三件、それから記名をして返事をくれたものが百二十六店、それから匿名で返事をくれたものが六十七店あります。その報告内容は、問一について、つまり取り次ぎ業から断わられた、注文ですよ、注文をして断わられたという事実について、「あった」という返事が八十三件、約四三%という高率を示しております。

〔委員長退席、河野(洋)委員長代理着席〕

これはいずれも注文をしたが、注文を取り次ぎ先に断わられた、こういう事実が出ております。それから、問二については、「あった」の返事のあったものは三件であります。この三件は、いずれも一回は送りつけられたけれども、すぐ返本をせよと言われて返したというのであります。この返本をせよと迫った取り次ぎ業は、日販であります。それから問三について、「あった」という返事があったもの、これが七十件、約三十六%。なお、この中で、強要ではないが要請を受けたもの、これが三〇%ですから、それを加えますと、つまり強要もしくは要請を受けたといって返事をくれたものが、六六%にのぼるという回答が出ております。ここの注にありますように、強要もしくは要請があったと答えたもののうち、しかもどういう人から要請を受けたという名前を列記して返事をくれたもの、またその回ってきた人の名刺を添えて、こういう人が来たといってきたもの、その名前は二つの出版社であります。それは潮出版社と聖教新聞社、あとは学会員、こういうふうになっておるわけですね。それがほとんどであります。それから、名前があがっておりますもの、こういう人が来たといって、この注の中に、特にこの問題についての御意見、御注文があったら書き添えてくれというところに書き添えてございます。潮出版社の営業部長、これは実在する方であります。聖教新聞社出版局海外書籍部主任加藤安久氏、これは明確に名前をあげてきております。それから聖教新聞出版部営業部長、これは肩書きだけあげてきております。それから聖教新聞社編集部次長、これも実在の人であります。それから聖教新聞社業務総局普及部、これは北原勝次、この人の名刺が送られてきております。こういう人が、この六六%にわたる書店を歩いている事実を明らかにされておる。しかも、この中の意見書によると、いろいろな種類があります。たとえば、藤原弘達さんの本がありますかと聞かれた、ありますと言うと、見せてくださいと言われた。それが十部、二十部とあると、まとめて買いましょうと言われたという返事が来ておるのもあります。もう一つは、二、三部あると言うと、それは本屋の片すみのほうに目立たないように置いてくださいと頼まれました、こういうことも出てきております。それから、もう一つ、非常に重要なことは、もしあなたの本屋でこの本を売るなら、以後聖教新聞及び潮出版社の出版物の取り扱いはあなたの本屋にはさせないようになるかもしれないから、そのつもりでいていただきたい、こういう要請をされた、強要をされたということも、この中に明らかにされております。

これはすべてアンケートの調査でありまして、ここに全部その資料がございます。これは捏造されたものではなくて、全部、書店名も入っておるものもあります。匿名のものもございます。ということの事実関係から判断をいたしますと、潮出版社、聖教新聞社の営業部長といえば、これは出版社の責任者であります。この責任者が組織的に東京都下の六六%近くにわたる書店を回り歩いて、藤原さんの本が事実上売られないように強要もしくは要請をして歩いた。しかも、なおかつその背景には、執拗に、商売にならないほど何べんとなく書店をたずねてくるので、ついやむを得ず目立たないようにしなければならなかったということを書いて、名前まで列記して、いつでも国会の証言に立ちますと言ってきている人も中に含まれております。

きて、こうなってまいりますと、先ほど大臣が言われたように、これは一部の人、特定の人がこの藤原さんの本を売らないようにしてくれと言ったということは、事実上においてくつがえされざるを得ない。しかも、潮出版社、聖教新聞社というのは、出版業であります。これは同業であります。この同業が、組織的に書店を回り歩いて他の出版屋の出版物を事実上売らないようにせしめた事実は、このアンケートの調査の結果でも明らかだと私は判断します。これでも大臣は、なお、それは明らかでない、個別的なことだとお考えになりますか。

○坂田国務大臣 きょう初めてこのアンケートを見せていただいたわけでございます。しかもこれは麻生さんの政治研究所で発表されておる。直ちにこれについてどうだこうだということは、私としては申し上げかねるわけでございます。

○麻生委員 それでは大臣、一時間くらい時間を上げますから、これを全部お読みになりますか。私を疑うというなら、ここに全部書店名が明記してございます。ごらんになりますか。私、きょうは休憩してもいいです。私のやったことが信用ならないとおっしゃるなら、これを全部ごらんをいただきたい。

○坂田国務大臣 私は、それを見るとか見ないとかではなくて、先生がお出しになったというところを問題にしておるわけでございまして、先生のお出しになった結果を疑っておるわけではございません。

○麻生委員 私が出したから問題だ、こう言われるのですね。では、私が出さなかったら、こんな結果の返答はこないかもしれない、こういうことですか。

○坂田国務大臣 それはアンケートの出し方の問題もございましょうし、あるいは出す人によって違うと私は思います。また、あるいはそれが一致するかもしれませんし、その辺はやってみないとわかりません。

○麻生委員 それじゃ大臣、やってみますか、正式に文教委員会として。

○坂田国務大臣 私としては、文教委員会でやられることについては、何とも申し上げようがないわけであります。

○麻生委員 まあけっこうです。それは政治的な、私の名前が出ておるから、多分に返答するほうもそういう意味合いをかねて内容があるというふうにも解される疑いがある、こういうことだろうと思います。それはやはりアンケートというものは、いろいろな角度がありますから、公明党の人がおやりになれば、これはまた別な調査結果が出てくるかもしれませんからね。それは私は強要しません。しかし、少なくともこれだけの人が返答を寄せて、しかもここにある店数、これは事実ですよ。記名されております。ここに返事をよこさない人、これはまだ調査の対象になってない。わかりませんね。つまり返事をくれてない。しかし、返事をくれた人は、事実です。「なかった」という返事も、この中には相当入っています。だから、その中のパーセンテージは、これはやはり私としては、一つの傾向としては承認せざるを得ない。つまり、なかったということは言えない。

そこで私は、実は文教委員会の理事会では、そのことを確かめるために、いま私が申し上げた、潮出版社の営業部長、聖教新聞社の営業部長、それからここに名前のあがっている加藤安久、北原勝次等々を参考人でお呼びいただければ、これは明らかにされる、回ったか回らないか。こういうふうに名刺が来ておるのでありますから、これはもう否定できないでしょう。名刺が送ってきてあるのであります。これはどうですか。

○坂田国務大臣 まあ、麻生さんのところでそのように来ておるとすれば、その名刺が来ておることは事実だと思いますが……。

○麻生委員 私は、これ以上この問題では言いません。ただ私は、ここで大臣に考えていただきたいし、公取の事務局長にも、それから通産省からも来ておりますが、考えてもらいたいことは、この出版妨害に当たるかどうか。たとえば大臣が本を書いた、私の批評がしてある、その批評が私に好ましくないという場合に、私はあなたに対して、この本を出さないでくれと言う権利はありますよ。だから、私は、出版される過程までの中で、これはいろいろ問題があるでしょうけれども、その本が出版されないように、いろいろな手だてを尽くす権利は、これは私はあると思う。裁判においても、黙秘権がある。自己に不利益になる証言はしないで済む。これは私はあると思う。だから、その点については、私はいろいろな見解が成り立つと思う。しかし、一たび出版されたものは、やはり公正な流通機構の上に立って扱われることが保障されなければ、今後われわれはめったに本は書けない。また特に文筆をもって立つ人人は、たとえば自民党の攻撃をする――いまはありませんよ。しかし、その自民党を批判をした書物が、不当に取り次ぎ業からも締め出され、広告からも締め出されるという扱いを今後受ける可能性があるとすれば、これはやはり重大な問題だと考えないわけにはいかないのです。だから、私は、きょうこの問題だけを追及するというつもりはないのです。もうこれは世人の上で、ここにありますように、おおむね出版妨害の事実はあったと思うというのがほとんどですよ。しかし、これは、法廷で争うべき筋のものでないと私は思う。私がきょうこういうものをまで持ち出して質問をしておるのは、どうしても今後、かりに何人といえども法に触れる著書以外のものはやはり安心して出版できる、こういうルールが確立きれなければ、われわれの周囲にはどんなに自由があっても、一番大事なところで言論・出版の統制という懸念が生まれてくる可能性があります。そういう観点から、私は今後二度と起こらないようにという意味でこの調査もしてみたわけです。

そこで私は、公取にお伺いしたい。いまの出版物の流通機構のあり方、これは現在の時点においては、取り次ぎ業を通る以外に現実問題としてはないのです。私は、取り次ぎ業に対しても、この問題については無理からぬ点があると思うのです。たとえば潮出版社が東販に持っているシェアは、相当の額にのぼっております。だから、東販がこの藤原弘達の本を集め、何がしかの利益を得ても、一方において潮出版社からの利益が全部パアになるということなら、商売は成り立たない。だから、むしろ東販は被害者である。日販も被害者である。だから結局、かんべんしてくれ、こういう電話を出版屋にせざるを得ない。しかし、いかに東販、日販が被害者的な立場にあるとはいえ、出版した出版屋の立場に立てば、ここを遮断されたら、もはや本は書店に並ぶことができない、広告を遮断されたら、もはや宣伝することもできない、というこの現在の書籍の流通機構のあり方、これを当然妥当なことであると公取はいまでも考えておりますか。

○吉田(文)政府委員 御質問のありました流通機構のあり方、いまおっしゃったような内容のものが現在もあるとすれば、それは決して妥当なものではないというふうに考えております。ただ、それが具体的にどういう違反になるかということは、具体的事実に即して調べなければわかりませんけれども、私は少なくとも経済的面におきまして、独占禁止法のたてまえから見て、妥当なものではなかろうかというふうに考えております。

○麻生委員 事務局長、それはそれでいいんです。私がいま質問しましたことは、いまのままのこの本の流通機構のあり方だけにすべての出版物をゆだねておいていいかどうか。この流通機構、これは日販、東販が六割のシェアを持っていますね。だから、ここを断わられれば、事実上本は下部には流れない。同時に、本屋も直接注文したいけれども、取り次ぎ業に気がねして直接出版屋に注文することができないような状態になっておる。だから、直接注文するにしても、取り次ぎを通して注文しなければならないような仕組みになっている。こうなってくると、市場の六割を占有している東販、日販の意向次第によって出版物が出されたり、またシャットアウトされたりする危険性が、今後とも残されてくる。その一つの例が、たまたまこの「創価学会を斬る」であったということなんですが、私が聞いているのは、このままの流通機構の状態でいいかどうか。流通機構のあり方について、公取としても通産省としても――これは通産省のほうも答弁をしていただきたい。これをもう少し何らか近代的なものに改善をしていく意図があるかないかについて、特に公取と通産省の意見を私はお伺いしたい。

○吉田(文)政府委員 いま御質問のありました東販、日販が、現在六〇%以上、かなり大きなシェアを占めているわけであります。ですから、出版社としてはそこを通さなければ、ここに断わられればほとんど出版ができないような状態ということ自体を独禁法上どうかということでございますが、独占禁止法としましては、これが寡占になるかどうか検討してみないとわかりませんけれども、独占禁止法の目的は、自由でかつ公正な競争の維持、促進ということでございまして、独占という状態を他の事業者を支配したり排除したりということによってつくり出すということは、その行為でもってこれは私的独占はいけないということで押えられるわけでございますが、もうすでにでき上がったこういう体制に対して、独禁法が直ちにこういうあり方自体が違反であるというふうにきめつけることはできないと思うのです。ただ、こういう非常に力を持っております東阪、日販が、不公正な取引方法を用いて、その力を利用して――今回の場合は東販、日販が主体であるかどうか、これは疑問でございますけれども、かりにそういたしまして、だれかある特定の出版会社の出版を拒否するというような事態がございますれば、これは独禁法で規制できると思うわけです。流通機構のあり方については、これはいろいろ問題があると思いますけれども、公正取引委員会の立場というのはそういう立場でございます。

○麻生委員 事務局長、私はいま名前まであげているわけです。潮出版社、聖教新聞社、そしてあなたが初めに答弁したように、それが不当に各店頭を回り歩いて他社のものを売らないようにさせるということは、いずれにしても好ましくない。だから私は、公取委員会で一度潮出版社と聖教新聞社と、それから東販、日販の関係者をお招きをいただいて事情を聴取していただいた上で、こういうふうに事実回っている人がいるんですから、もしそれが事実だとすれば、今後そういうことはなるべく行なわないような配慮を私は公取委員会としては加えていただきたい。あなた御答弁できますか。善処していただきたい。

○吉田(文)政府委員 公正取引委員会は、かりに違反の事実があるといたしますと、現にそういう状態が行なわれておりますれば、これは違反被疑事件として立件をいたしまして調査をして、必要な措置をする、こういうことになるわけでございます。すでに終わった過去の行為については、違反被疑事件としての調査は、ちょっと困難であろうかと思います。

○麻生委員 私の言っているのは、事務局長、いま独禁法に照らしてやれと言っているのじゃないのです。私もそのことは知っております。しかし、こういう事実が過去にあったかどうか、国会でこれだけ質問きれているのですから、事情を聴取をされて、もしあったという場合には、今後こういうことを行なわないように自重を求めていただきたいという要望を申し上げている。これは公取委員長と御相談をして善処していただきたい。もう一度御答弁願います。

○吉田(文)政府委員 それでは、委員長と相談いたしまして、御要望に沿うようにいたします。

○麻生委員 最後に通産省、先ほどの質問に答えてください。

○小山説明員 お答え申し上げます。現在の出版物の流通機構が現状のままでいいかどうかという御質問でございますが、出版物は、先ほどからいろいろ御議論がございますように、単なる商品ではございませんので、流通機構のあり方そのものについても、行政官庁がなまじ関与するということは、いろいろむずかしい点があるわけであります。ただ率直に申しまして、二つ問題が起こっております。一つは、最近出版物が非常に多くなってまいりました。それを販売する末端の小売り店というものは、規模が従来どおりで、洪水する出版物を十分並べ切れない。そういう意味で、物理的に消費者に十分円滑に行き渡る組織がまだ十分でき上がってないという点が一つございます。それからもう一つは、資本の自由化がだんだん進んでまいりまして、当然出版なりその卸機能に当たる取り次ぎ、小売りというものも、問題が出てきております。外資、特にアメリカでは、大体出版会社が直接消費者から予約注文をとって売っているというようなケースがいろいろございますが、そういう新しいやり方が、日本にもだんだん出てまいりました。現に、最近では経済雑誌の関係で、ある新聞社が外資と提携いたしまして、予約販売をやる。それからまた百科辞典等でも、日本で印刷をしまして訪問販売をする。従来の日本の出版社、取り次ぎ、小売りという経路にない、新しい動きがいろいろ出てまいっております。従来東販、日販と申しますか、取り次ぎが非常に大きな機能を発揮している。これは一方におきまして、出版社は非常に数が多く、また小さいのも多い。一発当たれば非常にいいし、当たらなければどうかなってしまうというのが、いろいろあったわけです。また一方に、非常に小さな小売り店がたくさんある。その中で、これも需給調整なり金融的な機能を果たしてきたという点があると思います。一方、小売り店の側も、書籍のチェーンストアと申しますか、大型書籍店が一つの企業で非常にたくさん店を持つという動きも出ております。こういうような形から、いろいろな動きが出てくるのではなかろうか。私どもといたしましては、出版物が消費者にできるだけ安価に、便利に渡るような流通機構ができていくことを、側面的にお手伝いをしていくということを考えております。こういう見地から今後とも力を入れてまいりたい、こういうふうに考えております。

〔河野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

○麻生委員 通産省のほうも、流通機構にあらためて改善策を考えていきたい、こういう御意見でございますから、私はそれは賛意を表します。いまのような日販、東販が君臨をしている状態の中では、私のアンケートの意見の中にも、出版業からも、小売り店からも、いまの取り次ぎのあり方について相当の苦情が述べられておる意見が非常に多いのであります。だから、ぜひこれはひとつ改善策を講じていただきたい、こういうふうに思います。

最後に、大臣、この資料の中のこの二つをごらんいただきたいんです、あとの二つを。この文教委員会としては、健全な出版文化のあり方ということを究極の目標にしていることは当然であります。ところで、この問題に関して日本出版物小売業組合全国連合会理事会の名前におきまして、この写しに出ておる声明書を発表しております。これは読むことはないと思います。ぜひごらんをいただきたいんです。それから次のページには、社団法人日本書籍出版協会の名前で、同じく声明書が出ております。この二つの声明書は、ともに出版業界における二つの有力な団体が出しておるものです。と同時に、この声明書の中にありますように、言論・出版妨害というものがやはり事実上あったという認識の上に立って、今後こういうことが起こらないように出版業界のあり方を自粛したい、こういう内容の声明になっておるわけですね。だから、この二つの有力な団体が、やはり出版妨害の事実はあったという認定の上に立たざるを得なくなってきている。また事実あった。ところで、ここで一つだけ落ちているのが、取次協会。この取次協会というのを認可しているのは文部省ですね、次長。

○安達政府委員 文部省が認可しております社団法人でございます。

○麻生委員 だから、これは文部大臣、取次協会のほうを認可しているのは文部省なんです。私は大臣にお願いをしたい。東販、日販等を主力とする取次協会に対して、大臣として、こういう二つの声明書が他の業界から出ているのであるから、取次協会としても今後このような事件が再び起こらないように、公正な書物の配給を行なってもらいたい旨を、私は大臣の責任において勧告する、とまでは言いません、機会があればこの協会の代表を呼んでいただいて、事実の調査はもうけっこうですから、自粛をしてもらいたい旨を伝達をしてほしい。これは私の要望でありますが、大臣の答弁を……。

○坂田国務大臣 とにかく言論の自由また出版の自由ということは、自由社会における非常に大事なことであります。文化の発展というものは、まさにこれによると言えるかと思うのでございます。したがいまして、出版が自由に、そしてまた公正に消費者に与えられるということでなければならないわけでございまして、出版取り次ぎ業及び取り次ぎ業者というものにつきまして――取り次ぎ業は私のほうの一つの所管になっております。小売り業のほうは通産省ということではございますけれども、したがいまして、私のほうにも一定の限界はあろうかと思います。しかしながら、いま申しましたような事柄は非常に大事なことでございますので、私といたしましては、日本出版取次協会あるいは日本書籍出版協会ともよく相談をして、できるだけ指導をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

○麻生委員 それは私は、いつとは申し上げません、しかるべき機会に、大臣がお招きをして自粛を要望してもらいたい、重ねて要望いたします。

私は、本来いま大臣に御要望申し上げたような決議をこの委員会でしていただきたかった。これははなはだ恐縮でありますが、この中に創価学会関係の名称が出てくることは、はなはだ遺憾であります。しかし、これは一つの事実として私は申し上げておる。やはり今後こういうことが起こらないようにということについては、創価学会の会長さんも過日言明されておるし、また公明党の委員長も言明されておる。したがって、私は今後こういうことが起こらないように、文教委員会としては、特に健全な文化行政のあり方を根拠として、いま大臣に御要望したような決議を採択していただきたかった。理事会に私の原案を提出いたしました。しかし、はなはだ残念なことでありますが、各党の合意が得られなかったので、私はその決議は撤回をいたしました。そしていま御質問をしたわけでありますが、そういう事情をなお大臣におきましてもまた公取においても御了承の上で、いま私が御要望申し上げたことだけはしかるべき機会に実行をしていただくように、また実行されたなら、非公式でけっこうでございますから、私のほうにも伝達をしていただきたい旨を要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

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