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063回-衆-法務委員会-07号 1970/03/18

○松本(善)委員 法務大臣に伺いたいのであります。昨日の予算委員会の第一分科会でもこの問題で法務大臣に伺ったのでありますが、出版妨害問題に関する検察行政、人機擁護行政のあり方について、この委員会でもお聞きしたいと思います。

この問題につきましては、公明党の竹入委員長は、事実無根だということを言われ、その後、矢野書記長の談話でも、妨害はしていないということを言っておられる。そして疑惑を抱かせて御心配をかけたことはまことに遺憾に思うということは言っておられるけれども、公明党の立場では、いままでやったことが悪かったということは一言も言っていないわけであります。したがって、出版妨害の事実が悪いことであるということを明確にいたしませんと、これが二度と繰り返されないという保障は私どもはないというふうに考えておる。当事者でいままでやったことは悪いと言っている人は一人もいないわけです。そういう状態でこのまま過ごすわけにはいかないというふうに考えております。この問題を取り上げますのは、出版妨害問題、そういうものが二度とこの日本で起こらないように、言論の自由が確実に保障されるようにということを願うからでありますので、法務大臣もその趣旨で明確にお答えいただきたいと思いますし、法務省の当局者も、そういう日本の人権の擁護、それから言論の自由を擁護をするという立場から、それぞれの立場でどういう努力をしなければならないかという観点からお答えいただきたいというふうに思うわけであります。

昨日の出版妨害真相究明議員集会におきましても、いろいろな事実が出てまいりました。その中で出たことを若干申し上げてお聞きしたいのでありますが、藤原弘達氏の場合には、黒ワクつきのはがきが来たり、いやがらせの電話があったりということが起こっております。黒ワクつきのはがきは元日に年賀状と一緒に配達されて、その中には、まさしく三流評論家でなくして何であろう、大仏の法則に照らしてその罪免れないであろう、必ず生活に現象が出るだろう、もう君の先は見えているということが書かれておる。それから電話では非常にいろんなことが言われてきているそうであります。たとえば「交通事故に気をつけろ」それから「家から火が出るかもしれぬ」それから奥さんが電話に出ると、「おまえのおやじは創価学会を批判した、学会を批判する者は早く死ぬだろう」というような電話、それから八王子にある創価学会の霊園が荒らされた事件が起こってからは、その質が変わってきたということであります。それは「殺すぞ」「抹殺するぞ」「家を爆砕する」こういうすさまじいものに変わり、警察が録音をするようになったそうであります。まだ警察庁来ておりませんね。――警察が藤原弘達さんのお宅に録音装置をつけるということになりましたあとは、電話をかけては何も言わずにがちゃんと切る、こういう電話が再三かかってくる、こういうことであります。昨日、藤原さんが議員集会に来られる朝にいたしましても、四時と五時の二回にわたって電話がかかってくる。奥さんが受話器をとると、相手はがちゃんと切る。藤原さんのことばによりますと、「きょう議員集会に出るから睡眠不足にしてやろう、こういう戦術ではないかと思う」こういう電話での妨害がずっとやられているということであります。

それから藤原氏が藤原行正都会議員に脅迫電話の話をしたときに、藤原行正都会議員は、公明党の圧力をこんな甘っちょろいものだと思ってたら大間違いだというふうに言われたということであります。それから藤原都会議員、秋谷栄之助創価学会副会長の話の随所に、「もし言うことを聞かないのなら」ということばがよく出たという話であります。

それから日新報道の綿秡氏、これは藤原さんの本を出した書店の社長でありますが、この人が藤原行正都議、秋谷栄之助理事からは、交通事故に気をつけろ、幹部はわかっていても学会員は言うことを聞かない、なだめるのがたいへんだということを言う。それから皆川編集長、これも日新報道の編集長ですが、交通事故に気をつけろということを言われた。

それから「これが創価学会だ」の著者の植村左内氏は、「月夜の晩ばかりではない」「家族全部を奴隷市場に売り飛ばすぞ」「おまえは将来苦しみから抜け切れないほどのばちを受けるぞ」こういう電話もあった。それからある学会の婦人幹部に会ったときに、あなたはまだ生きていたのと言われた。びっくりして聞いてみると、植村氏はまっ黒焦げになって死ぬんだと聞かされていた、こういう話を聞いたというような話もあります。

それから福島泰照氏、これは昨日の分科会でもお話しいたしましたように、西日本新聞の東京支社論説委員で隈部大蔵という人でありますが、この人については最初の「日蓮正宗・創価学会・公明党の破滅」という本を出そうとしていたときに、出版社に正体不明の者から、暴力団を向けるぞという話があった。実際に身辺につきまとうようになって、そこの社長は恐怖症になってしまったということであります。

こういうようなことはもちろんそのときの状況でありますとか、それから相手がわかっていれば相手からも事情を聞かなければ正確にはわかりませんけれども、被害者の訴えだけをとって考えてみましても、これは容易ならないことではないかと思うわけであります。こういうことは一般的にいいますならば、脅迫ということになろうかと思いますけれども、このことについて刑事局長の見解を聞きたいというふうに思います。

○辻政府委員 ただいまお話しの事実関係をもって直ちに脅迫になるかという御質問でございますけれども、私ども仮定といいますか、そのことを全く事実と仮定いたしまして、これは脅迫になるかと言われましても、やはりその事実をよく調べてみないと、この段階で直ちに脅迫になるとかならないとかいうことはお答えしにくいんじゃないかと思うわけでございます。全く法律論として御質問になっておるのかどうか、その点わからないのでございますが……。

○松本(善)委員 それは、もちろん脅迫罪として起訴をするとかいうことになりますれば、ここでの私の話だけでどうこうというわけにいかないと思います。これが捜査の端緒になるとかそういうことであれば、これは重大な問題である。しかし、検察行政の対象になる、少なくも脅迫の疑いがある、そういうようなことは当然にこういう場所でも言うことのできる性質ではないか。もしそれすらも言わないということになりますならば、国会におきまして検察行政を論議をすることはできないと私は思います。そういう程度の、疑いがある、それとも検察行政の対象になる、そういうような観点からのお答えでけっこうであります。

○辻政府委員 御承知のように、検察官も捜査機関の一つでございます。ただ警察と若干性格が違います点は、検察官は犯罪があると思量いたしましても、検察官としては、必要があるというときに検事としての捜査を開始するというように検察庁法の規定になっております。この点は、司法警察職員が犯罪ありと思量するならば捜査を開始しなければならないということになっておるのとは、多少性格が違うわけでございます。したがいまして、検察官の場合には、いろいろな資料から犯罪の嫌疑があり、かつまた相当の資料あり、こう見ました場合に検察官としては、検察官が自分の立場で捜査をする必要があるかどうかということをもう一度判断することになろうかと思うわけでございます。

ただいま松本委員からこの席で、こういう事実があるというお話がございましたが、このお話は、かりに速記録なら速記録をあとで検察庁に送付して、こういうお話があったということを連絡することは、もちろんこれはいたすべきことかとも思いますけれども、検察官はその上で検察官の立場において捜査を開始するかどうかを判断すべきものと考えておるわけでございます。

○松本(善)委員 検察庁のお立場というのはわかりましたが、私がいま申しましたようなことは、法律論といたしまして脅迫罪に該当するおそれがあるかどうか、この点についての御見解を聞きたいと思います。

○辻政府委員 この点は、先ほども申し上げましたように、ただうるさく電話で言ってこられるとか、あるいは電話の中に、月夜の晩ばかりではないぞというお話もあったわけでありますが、これが刑法二百二十二条の脅迫罪になるかどうかは、やはり背後の具体的事情その他も勘案しないと、一がいになるとかならぬとかいうことは論断できないのじゃないかと思うわけでございます。

○松本(善)委員 刑事局長、殺すぞとか家を爆砕するぞとかいう電話をかけてもいいんですかね。そういうことが国会で論議になっても、それが脅迫になるかどうかということも答え切れない。そんなことで一体法務省はいいんだろうか。私、ここの議論を聞いていたら、なるほどそんな程度のことを電話をかけてもそれはかまわぬもんだ、場合によっては脅迫にならぬもんだ、こういうふうに思う人も出ると思いますよ、あなたの答弁によりましては。ここは公式の場ですから、あなたの答弁のいかんによっては、国民はそれを見て、なるほどそうか、その程度のことならよろしいかということになるのです。そういうことになってもかまわぬという性質の電話だろうか、このことについてお答えいただきたい。

○小林国務大臣 いまのようなものは一般的に考えてこれは脅迫ととって差しつかえありません。しかし、これについてはいろいろ証明とか証拠とかあります。しかもだいぶ過去の問題をいまあなたがここで御披露なさっている。われわれはそういうことを何も知っておらない、また通告も受けておらない。だから、そういうことがあったら当然警察にも申し出になるべきであるし、いまごろ御披露されているのも少し私はおかしいと思う。そういうものがあったら直後に当然警察にも調べてもらいあるいは保護を頼むということは、一つの常識としてあたりまえじゃないですか。だから、いまのようなことは現実にあればこれはやはり脅迫だといわざるを得ないと思うのであるが、しかし、脅迫の疑いがあるということになり、それじゃそれを捜査するということになれば、もうだいぶ過去の問題になる。そうしてこれらについてはいろいろな話を総合しなければ判断できない。

ことに、私は申し上げておきたいことは、何か検察がもっと出るべきだと言うが、検察が予断や見込みでもって捜査したら、なおあなた方は大問題になさるのじゃないか、こういうふうに思いまして、私どもとしては、やはり確かな端緒がなければそういうところへ介入すべきでない。それがやはり検察の態度でなければならぬ。まずもって、そういう場合には警察に保護を求めるなり通報されるなりするのが筋じゃないか、かように考えます。

私は重ねて申しますが、検察の行動というものはふだんでもいろいろの批判を受けるのであるから、できるだけ慎重にしなければならぬ。したがって、ただ、こういうことがあるから、あるいはありそうな見込みだなんということで検察が発動ずるということは厳に慎むべきことである、かように考えます。

○松本(善)委員 検察庁がどういうふうに動くかということは、それぞれまた個別のケースによってそれぞれの判断が起こるであろうということは当然のことであろうと思います。

同時に、いま法務大臣、昔のことだと言われましたけれども、昔のことではないのです。その創価学会の霊園が荒らされたというのは一月であります。一月以降、その殺すぞとか爆砕するぞとか、そういうような直接的な言い方に変わってきたということを藤原さんは言われておる。ごく近いことであります。きのうでも、電話がかかってきて、一言も言わないのに、出たらがちゃんと切ってしまうという電話が二回もかかってくるということなんです。決して過去のことではない。現在のごく近いことであるということを法務大臣は認識しておいていただきたいというふうに思うわけであります。

さらに、日新報道のほうをもうちょっとやっておきます。藤原弘達さんの本を出しました日新報道の皆川編集長のことばによりますと、昨年の十一月四日に、藤原弘達氏の著書を印刷していた印刷所に皆川編集長と名乗る男があらわれ、「創価学会を斬る」の九八ページの刷りが悪いということで刷り直しを命ずるという事件が起こりました。九八ページにどういうことが書いてあったかと申しますと、池田会長のことが書いてあったわけです。

ここのところをちょっと読みますと、「この池田大作のカリスマ的性格――カリスマについては、マックス・ウェーバーの、支配の正当性の三類型のなかで、もっとも人間的要素の強いものとしてとりあげられており、宗教の教祖とか、予言者とか、大衆的トップ・リーダーとか、扇動政治家とか、こういうものの持つ非日常的魔術的魅力というものがカリスマという表現で現わされていることは周知の通りてあるが――とでもいえるものを、それなりによく現わしているものとして、一九六七年の総選挙直後の幹部会の模様をみると、一人の出席者は次のように語ってくれている。」こういうことで池田会長への批判がずっと続いている場所であります。

こういうふうに、編集長の名をかたって刷り直しを命ずる、こういうことは偽計を用いて業務を妨害するということになるのではないかと思いますが、刑事局長の見解をお聞きしたいと思います。

○辻政府委員 ただいまの御質問も一つの仮定の事実のようなことになりますので、すべて犯罪が成立するかどうかという点につきましては、やはり具体的な事実関係というものを権限ある捜査機関において調べまして、具体的な証拠との関係でこの成否の問題をお答えすべきが筋じゃないかと思うのでございます。

○松本(善)委員 刑事局長、新任で非常に慎重に失言をしないようにということで答弁をしておるのはわかりますけれども、もしあなたの言うとおりでいきますならば、その捜査当局が一つ一つの事実を調べる、そういう段階に入ったら、大臣の答弁はみな、捜査中であるからこれはお答えできません、こういう答弁が出てくる。いま、かかる前に話をすれば、これは全部事情を知らなければ答弁ができない、こういうことになりますと、法務委員会では法務委員が、各国会議員が、これは犯罪になるのじゃないだろうか、検察なり捜査当局は動き出すべきではないだろうか、こういう問題について論議ができないということになります。それでは、捜査当局としては何の価値もないとこういうふうに私は思う。それのみではなくて、そういう編集長の名をかたって印刷所に出かけていくというようなことも、法務省の刑事局長はいいとも悪いとも言えないのだ、こういう先ほどの議論と同じことになるのですよ。これでは、そういうことであっても悪いとも言えないものか。私は、法務省の検察行政に対する信頼はもう一挙になくなると思います。なるほど公明党をかばっているということはわかる。創価学会をかばっているのじゃないか、こう思う人は出るだろうと思います。しかし厳正に、だれがやろうとも、公明党の議員であろうとそれから創価学会であろうと、だれであろうとも、これは法のもとに平等であります。そして偽計を用いて業務が妨害をされるとか、威力を用いて業務が妨害されるとか、そういう場合には厳正な態度をとるということの態度がここで表明をされなければ、国民は絶対に納得しないと思います。その点につきまして、法務大臣の見解を伺いたいと思います。

○小林国務大臣 この検察というものは不偏不党ですね。厳正公平でなければならぬということはわかり切ったことでありまして、これがどういう方が関係されようが、われわれのほうにおいては区別はいたしません。したがって、いまここで問題になっているのは創価学会というもの、こういうものをこれについて答弁すればこれをかばっている、こういうことをあなた方言われるかもしれませんが、ほかの問題が出てくればまたほかの関係者についてもかばっていると言われるかもしれません。要するに、私どもはそういうふうな区別の観念は何もなしで、全く不偏不党で、ただ事実をもとにして考えておる、こういう態度であります。

○畑委員 関連。いま松本君とお二人との間の問答を聞いておったのですが、非常に警戒心旺盛過ぎて、それじゃ答弁にならぬですよ。もっと松本君が言われた設例を、証拠その他が整いますれば、設例のとおりといたしますならば、それは脅迫罪になります、あるいは何々の罪になります、こういう答えでいいのじゃないですか。それをばかにいろいろなことを配慮し過ぎて答弁が変なものになる。そうでなくて、設例のとおりでありますならば、そうであります、こう答えたらいいのじゃないか。証拠があるかないか別なんだから、それでいいと思う。そうでないから、もたもた同じことを繰り返している。ひとつはっきりやってください。

○小林国務大臣 たとえば、殺すぞ、家へ火をつけるぞ、こういうふうなことが事実とすれば脅迫の疑いがある。はっきり申し上げておきます。

○辻政府委員 私はどうも、一つの抽象的な刑法なら刑法の議論としての問題ならば、それは刑法上、法学上こういう説がある、あるいは判例がこういうことになっているということをお答えするのは少しもやぶさかではないと思うのでございます。ただ、いまの御指摘の問題は、やはりそこに具体的事実というものがその背景になっておりまして、これについてこれはどうかということになってまいりますと、これは本来捜査のルートに乗せていただいて、被害者であられると思われる方が警察に親告して、その場でその犯罪の成否を決定づけていただくということが筋だろうと思います。その意味におきまして、私はやはりこれは単なる刑法上の議論がここで行なわれておるとは理解しないものでございますから、かような答弁になっておるわけでございます。

それともう一つは、先ほど申しましたように、この場における御論議の模様は、これこそ参考として速記録を検察庁なら検察庁のほうに連絡するということは、これは当然すべきことだろうと思っておるわけでございます。

○松本(善)委員 あなたが、お答えしやすいようにお聞きいたしましょう。

編集長の名をかたって印刷所に行って本の刷り直しを命ずるというようなことは、偽計を用いて威力をもって業務を妨害するということにならないだろうか。一般的なお答えでけっこうです。

○辻政府委員 これは具体的な事実関係と全く関係ないということで……。

○松本(善)委員 そういう前提でけっこうです。

○辻政府委員 そういう場合ならば、私は偽計による威力妨害になる場合が多いだろうと思います。

○松本(善)委員 それから東京堂という書店がありますが、小売り書店の場合を少しお聞きしたいのですが、ここの労働組合の佐藤委員長という人が言っておられることによりますと、内藤国夫さんの「公明党の素顔」を昨年五月に発売をされたときに、東京堂でも店頭の新刊台に並べた。ところが、六月の下旬に聖教新聞社の出版局の書籍部の肩書きを持つ山室豊と名のる人が店に来て、この本を返品してほしいということを言ったということであります。そして、近くの三省堂さんにも返品するということについて話がついている、だから東京堂さんも返品をしてほしい、こう執拗に食い下がったということであります。そして、返品をすればそれに見合った補償をする、返品しないんならうちにも覚悟があるということを言ったということであります。そしてこの間三十分ほど続いて、居合わせた店の職員だとかお客さんも足をとめてこれを見ていたほどだ、そういうようなこともあったということであります。

こういう設例は――私は、この速記録をそれぞれ必要な部門にお回しいただきたいと思いますけれども、あなたに対しては、要するにこういう小売り店に行って、この本を売るな、あるいは返品をしてくれ、返品をしてくれるならばそれに見合った利益を与えよう、返品をしなければそれなりの覚悟がある、こういう返品あるいは売るなということの関係で利益を与えるあるいは不利益を与える、こういうことを言って本を売らせないようにするということは業務妨害ということになる。出版社の本を売らせないという業務妨害ということになるのではないかと思いますが、いかがでしょう。

○辻政府委員 これまた全くの抽象的な一般論として申し上げるわけでございますが、これはやはり場合によりましてむしろ刑法二百三十四条の威力業務妨害の威力に当たるかどうかという点の問題であろうと思います。

○松本(善)委員 小売り書店での妨害事実は、昨日の議員集会で日新報道の皆川編集長――藤原弘達さんの本を出したところでありますが、この皆川編集長の発言によりますと、日新報道の編集部員が全国の書店を千五百軒ないし二千軒回ったということであります。出版物小売業組合全国連合会というのが約八千五百を組織しているということでありますが、そうすると千五百ないし二千は相当の部分であります。その千五百ないし二千を回った。八割は何らかの形の妨害を受けている。売るなということを言われた。これがもし事実としますならば、非常に明らかな組織的な妨害ではないか。これまた設例としてあなたにお聞きするのは抽象的な例としてお話しするわけですが、こういう大がかりに全国的に小売り店に働きかけて一つの本を売るなということで動いた場合、これは総体としてやはりその本に対して威力業務妨害ということになるのではないかと思いますが、その点の見解を伺いたいというふうに思います。

○辻政府委員 これも全く抽象論でございますけれども、松本委員御案内のとおり、業務妨害罪は刑法の二百三十三条と二百三十四条でございますが、要件といたしまして、虚偽の風説を流布するという行為か、あるいは偽計を用いるという行為か、威力を用いる、この三つの行為の類型がございます。このうちどれに当たるかという問題になろうかと思うのでございますが、いまお話しのように、多数のところへ行ったということだけではたして威力といえるかどうか、私はむしろこれは疑問の余地が多いのじゃないかというふうに感じるわけでございます。

○松本(善)委員 もちろん、一つ一つの行為については検討しなければならないのでありますが、全国的に、とにかく一つの本を売るなということで動かれた場合、これは著者やその出版社としてはたいへんな苦労をしなければならない。これはもう明らかなんです。その一つ一つの例が非常に穏やかに話をしたとか、あるいはあるところでは非常に強い話であったといういろいろな違いはあるかもしれませんけれども、これは全体として見なければ、著書を全国的に販売をするという出版社とかあるいは著者とかそういう立場の保護をするということはできないのじゃないか、私はそういうふうに思うので、そういう観点からその一人一人の行為とか、あるいはどこで犯罪が成立するとか、あるいはそれを総括して握っている人がいるとかいないとか、そういう事実関係はもちろん調べた上でないと的確に言うことはできないということは明らかだと思いますけれども、それを全体で一つに握ってやったとすれば、全国的に握って指令をして組織的にやったとすれば、これは総体として威力業務妨害もしくは偽計、虚偽の風説を流布した妨害ということに当たる場合も出てくるのじゃないか、こう思うわけです。その点についての御見解を聞きたいわけであります。

○辻政府委員 ただいまの多数の人が組織的に動いたという場合には、威力という場合の威力を認定し得る一つの資料になろうかと存じます。

○松本(善)委員 全国小売書店の大部分を占めております日本出版物小売組合全国連合会は、次のような声明書を出しております。

すでに朝日新聞その他の新聞雑誌が報道しているところであるが、このたび、藤原弘達著『創価学会を斬る』に加えられた創価学会(公明党)の圧力は、われわれ業界人として黙視することのできない重大問題である

この事件は、われわれが憲法によって保障されている言論・出版・表現の自由にたいする圧迫というだけでなく、出版物の流通過程にまで干渉することによって出版文化の一翼をになうわれわれ販売業者の自由をまで阻害せんとしたものである。

言論出版のうえに加えられた迫害事件は、過去において一再でないが流通面に加えられた干渉は出版史上はじめてのケースである。

小売全連制定の「出版販売倫理綱領」は、その第三条において、「われわれ書店人は、言論出版の自由を尊重するが故に、販売面を通じて行われる制圧・干渉に対してはあくまで反対する」と謳っている。

今般、創価学会によって取次および書店に加えられた圧力は、まさしくこの第三条に該当するものであって、われわれはあくまでその真相を糾明し、弾圧に反対するとともに、出版販売ならびに営業の自由を擁護するという書店人としての態度を闡明しなければならない。」

こういう声明を発表をしておるわけであります。これは全国の小売り店の実情、全国的に組織をしておる団体の声明であるだけに、非常に重視をして、この小売り書店でどういうことが行なわれたかということを見る上において非常に重要なことであるというふうに考えますが、これは捜査に当たる人たちも考えなければならない重大な事実ではないかと思う。その点についての刑事局長の見解をお聞きしたいと思います。

○辻政府委員 先ほど来申し上げておりますように、捜査を開始いたしますのは、この種事件の場合にはおおむね警察がまず第一次的におやりになることだろうと思います。警察がみずからの御判断で、資料もあり犯罪の嫌疑があるというふうに御認定になれば、捜査が開始されると思いますが、その場合にいまの御指摘のような事実、これはやはり一つの資料として活用されるべきものだろう。これは抽象論として申し上げるわけでございます。

○松本(善)委員 それから、先ほど業務妨害についての威力についてお話がありましたが、これは法律論としてお聞きしたいわけでありますが、威力というのは、人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることをいう、暴行、脅迫はもちろん地位、権勢を利用する場合も含む、こういう趣旨の判例が幾つも出ておりますが、暴行、脅迫に至らない場合のような、脅迫というところまで至らないけれども、人の意思を制圧するに足りるような勢力を使った場合に、これは威力業務妨害になるというふうに私は考えますが、刑事局長の見解を聞きたいと思います。

○辻政府委員 ただいま御指摘のように、この刑法二百三十四条にいっております威力でございますが、これは人の自由意思を制圧する勢力だ、こういうようにいわれております。したがって、ただいま御指摘のように、暴行、脅迫までには至らないが威力には当たるという場合も、場合によってはあり得ると思います。

○松本(善)委員 脅迫罪について伺いますが、脅迫というのは、第三者の行為によるところの害悪の告知であってもよいが、行為者が左右することのできる、第三者によって害悪が実現されることを告知する場合に脅迫になる、これは判例があります。この点についても御異論はないかと思いますが、一応念のために伺っておきたいと思います。

○辻政府委員 御指摘のとおり、判例があろうかと思います。

○松本(善)委員 これは一般論としてお聞きするわけでありますが、一つの団体の力を組織として使って出版を妨害するというようなことを著者や出版社に告知をする、これはそういうことが理解されるような形で告知をする、これは脅迫罪あるいは強要罪等に当たるいわゆる脅迫ということになり得る可能性を持っておるというふうに考えますが、それについて刑事局長の見解を聞きたいと思います。

○辻政府委員 その点は、やはり具体的な事実関係によることが多いと思います。要は、先ほど来申し上げておりますように、威力に当たるか、虚偽の風説を流布したか、偽計を用いたか、このいずれかに当たるという認定がされなければならないと思います。

○松本(善)委員 昨日、私は予算委員会の第一分科会で、西日本新聞東京支社の論説委員の隈部大蔵氏の場合をあげて御質問をしたわけでありますが、このときに、「現代のさまよえる魂」という原稿を隈部氏が書いて、それが印刷にならないで断念せざるを得なくなったその経過におきまして、公明党の参議院議員であります北条浩氏と面会をせざるを得ないということが起こったことを昨日申し上げました。私、昨日も申し上げましたけれども、同僚議員の名前を出しますのはたいへん遺憾でありますけれども、しかし、この点につきましてもやはり法のもとにおいて平等であります。国会議員であるからといって、そういうことをしてもいいとか、あるいはそういうことをやった場合にそれが論じられなくてもいいという性質の問題ではないと私どもは確信いたしますのでお聞きをするわけであります。

このときに強調されたものは、一つは、私が問題だと思いますのは、創価学会青年部の確信と情熱ということを繰り返されたということであります。青年部といいますのは、これは御存じと思いますが、聖教新聞などでも大きく報道されましたタヌキ祭り事件という日蓮正宗大石寺の坊さんに対する事件があります。そういうようなことも知られておりますが、青年部の確信と情熱を繰り返し主張されるというのは一つの意味を持っておると思います。それからその次に、象はアリを全力をもって踏みつぶすというふうに言われたということであります。象という創価学会はアリでも見のがさないという趣旨のことを言われた。そして隈部氏は、そのあとこの出版を続けるためには身辺や家族への危害、会社での地位の変化が起こるかもしれぬということを心配をし、そしてそういう対策ができなかったこと、それから出版社との契約が最終的にできなかったということで断念をせざるを得なくなったということでありました。

こういうことになると、現実に隈部氏はこのことを北条氏の発言だけと――総合的な全体の動きということも含まっておると思いますけれども、現実に畏怖をして出版を断念をしておるわけであります。この結果のほうを見ました場合に、明らかに著者というのはもちろん自分の書を世に問うて自分の意見を発表したいわけです。それを断念せざるを得ないということは、これは何らかの威力業務妨害による威力といいますかあるいは強要罪による脅迫というか、それはどれに当たるかはともかくとして、そしてどこの部分に当たるかはともかくとして、そういう犯罪になるかもしれない可能性を持っておるというふうに思うわけであります。

これについても抽象的にお聞きするわけでありますが、そういうことばの内容によりまして、直接、おまえは要求を受け入れなければどうするぞというようなことを言わなくても、相手に畏怖を与えるようなことばを使いますならば、脅迫あるいは威力ということになるのではないか。この点についての刑事局長の見解を聞きたいと思います。

○辻政府委員 刑法二百三十四条にいいます威力、あるいは先ほど来御指摘の刑法二百二十三条の強要罪の場合の脅迫というようなことの内容でございますが、この内容につきましては、いろいろ先ほど来お話が出ておるような判例その他ございます。いまの場合に具体的にこれはなるんじゃないかという御質問になりますと、やはり抽象論として、これらの条文に掲げております内容のことをもってお答えせざるを得ないと思うのでございます。

ただ一点、先ほど来御指摘のことにつきまして、業務妨害であるとかあるいは理由なきことを行なったというようなことは、これは脅迫であるとか威力であるとか、これとの因果関係を必要とすることは申すまでもないことでございますので、こういう結果があったから威力に当たるとかあるいは脅迫に当たるとかいうふうには直ちに言いがたいのではないかと思うわけでございます。

○松本(善)委員 もちろんそのとおりでございますが、そういう結果があったということは、どこかで何か問題が起こったのではないかということを推測させる事実ではないか。現実に著者が畏怖をし、出版を断念をしているという事実があるわけです。これは何にもしなければ普通に出版をするわけです。おそれもしないわけです。もちろん、あなたの言うように刑法上からいうならば、あるいは捜査上からいうならば、一つの行為、どの行為が当たるかということを考えるわけですから、現実に畏怖が生じているかどうかということは、直接犯罪行為であるかどうかということを判断する資料にはなりませんけれども、現実に結果が起こっているということは、やはりこれは異常な事態がないかどうかということを考えるきっかけにならざるを得ないのではないか、こういう点であります。いかがでしょうか。

○辻政府委員 その点は、異常な事態があったともいえると思いますが、全くの話し合いで事が運んだという場合も間々あり得る。これは具体的事実関係によってでないと何ともお答えいたしかねるのではないかと思うわけであります。

○松本(善)委員 刑事局長にその点をはっきり言っておきたいのですけれども、著者というのはその本を世に出したいわけです。これを断念するということはたいへんなことなんです。きのうの議員集会で藤原さんは、話がついた場合に一体どうなんだと言ったら、それはもう一生、公明党、創価学会の奴隷になることなんだ、とんでもない自殺行為なんだ、そういうことだということをわかってもらいたいということを言っていました。著者はどんなに金を積まれても、自分の本が焼かれたり、やみに葬られたりするということはいやなことなんです。だから言論買収ということがありましても、ほんとうの意味の話がつくということはないのです。もし話がつかなければどうなるぞということが背景にあって、初めてその話が進むわけです。そうでなければ店頭で買えばいいのです。あなたの本が世の目に触れないようにするために買おうという話が出るわけですから、だからその背景を知ってもらわなければならないのではないか、この点については私の意見に御異論がございますか。

○辻政府委員 一般論として、著者は本を出すという意欲に燃えてものをお書きになるのだろうと思いますし、それが何らかの事情でおやめになる、書物をお書きになることをおやめになるということは、やはり異常なことであろうと思います。

○松本(善)委員 それでは、次に人権擁護局長に伺いたいのでありますが、私は昨日の予算委員会の第一分科会でたいへん異なことを承った。時間がありませんのできょうに延ばしたわけでありますが、これは同僚の法務委員の諸君にもお聞きいただきたいと思いますが、人権侵犯事件処理規程第二条によりますと、「事件の調査は、書面若しくは口頭による申告、人権擁護委員若しくは関係官公署の通報又は新聞等の出版物の記事若しくは放送その他の情報によって開始するものとする。」こういうふうに書かれてあります。これは新聞等の出版物の記事やその他に情報があれば、人権擁護をするために動かなければならないという趣旨ではないかということをお聞をしたところが、これは申告なしに調査を開始するのはよほどのときである、これが慣例になっている、こういう話を伺ったのであります。私は、もしそれが事実であるならば、このような人権侵犯事件処理規程はやめればよろしい。何のためにあるのか、わざわざ有名無実のものを何のために置いてあるのか、本来そういう趣旨であってはならないのではないか。

法務大臣も就任のたびごとに、人権擁護には力を尽くすと言われる。言わなければやらないというようなことを就任のあいさつに言われる法務大臣は一人もない。人権の擁護というのはきわめて重要なことである、こうあいさつをされるのです。

一体、人権擁護行政というものがそういう消極的なものであって、そして申告をしない限りは動かないのだ――いまでも人権擁護局というのは役に立たぬところだ、持ち込んでもあまりやってくれぬところだという評判が一ぱい立っております。それであそこへ持っていこうかという相談があっても、いや、あそこへ持っていっても話にならぬぞ、やめておいたほうがいい、弁護士会の人権擁護委員会にでも行ったほうがいいぞ、こういう話が幾らでも出ております。そういう事態について、人権擁護局長として遺憾だと思いませんか。その点を伺いたいと思います。

○川島(一)政府委員 昨日、私がお答え申し上げた趣旨が十分徹底しなかったかと存じますが、私は、全体的にこういうことを申し上げたつもりでございます。人権侵犯事件を人権擁護局が取り扱うのは、これは被害者の救済をはかることに主眼がある。したがって、人権擁護機関から見まして、この事件は被害者の救済のために放置することができないというような場合には、これは当然その職務として人権侵犯事件としての調査を行なうべきである。ただ、この人権侵犯事件処理規程の第二条というのは、どういう場合に人権侵犯事件としての調査を行なうかというその開始原因を定めたものであって、現実に人権侵犯事件としての調査を行なうかどうかはその事件ごとによりまして、その被害者の救済をはかる必要があるかどうか、そういった観点から必要性があると認める場合にこの規程によって調査をする、こういうふうに申し上げたつもりでございます。

○松本(善)委員 まあきのうよりは一歩前進をした答弁になったようでありますが、そうとするならば、いま新聞でほとんど毎日のようにこの出版妨害事件というものが報道されておる。週刊誌でもこのごろこれが扱われた週刊誌は飛ぶように売れるということであります。いかに国民がこの問題について関心を持っておるかということについての何よりの証拠だと思うわけであります。一体これほど問題になっており、これは単に著者や出版社の権利の問題にとどまらず、国民の知る権利に関する問題なのですね。だから、民主主義の基礎だというふうにいわれておる、国民全体の人権に関する問題なんです。

一体、この問題について人権擁護局は何にも動かなくていいんですかね。それで人権擁護局としての責務を果たすことができるのだろうか。この点について局長の見解を聞きたいと思います。

○川島(一)政府委員 人権擁護局といたしましては、今回の事件は人権に関係のある事件である、そういう意味でもちろん深い関心を持って注視しておるわけでございます。その意味で新聞、雑誌などにあらわれました資料は収集いたしております。

しかしながら、積極的にこの事件を調査するかどうかという点につきましては、現在までの成り行きから見まして、はたして人権擁護機関が被害者救済の見地からこの事件を扱うことが適当であるかどうかという点について確信を得ませんものですから、現在のところは先ほど申し上げた情報収集の段階にとどめておる、こういうことでございます。

○畑委員 この問題につきましては、私のほうもちょっと聞きたいことがある。

それは、この問題が出始めたころに、今国会になってからだけれども、社会党では正式に法務省のほうに申し入れをしたはずです。法務省の人権擁護という立場から申し入れをしました。そしていま言いました人権擁護規程、その第二条に照らして、申告等がなくてもいろんな情報、雑誌、新聞その他のそういう端緒をつかまえて、職権で調査を開始するというふうな規定になっておるから、その規定に基づいて、積極的に法務省では人権擁護の立場から調査を進めて、人権の侵害がないようにすることが本来のつとめであろう。したがって、そのとおりやるべきであるということを、創価学会の例の選挙のときの大衆移籍等のうわさもあるから、それとあわしてその問題を二つわれわれ社会党では法務省に申し入れた。ところが、その返事が来ない。しかもその申し入れをして幾ばくもなくして、私は朝のテレビで見ました。法務省の統一見解として、この問題は政党間の問題であるから調査は開始をしない。社会党からそういう申し入れがあったけれども、調査はしないというふうな統一見解をまとめたという意味のテレビニュースを、私は偶然朝の七時のニュースだったかに見ました。よく覚えています。

それで、いずれ機会がありましたら法務省の見解を問いたいと思っておったのでありますが、たまたま松本君が問題を提起をされ、しかも分科会でもこの質問もした。そういう点で、われわれも非常に大きな重大関心を持っておるのでありますが、先ほども実はいろいろ話が出ましたけれども、きのうのいわゆる議員集会で私もいろいろ聞きました。被害者の藤原弘達、それから植村左内、福島泰照、これはペンネームですが、その三人の著者の話、それから出版社の話等、非常によく実態が出ておりましたけれども、それを聞きまして、ますますもってこれは人権問題でもあり、かつまた刑事問題としても大きな組織的なものではないか。したがって、公明党の問題だ、政党間の問題だというふうに捨てておくべきものではない。これは避けて通るわけにはいかない問題になっておる、かように私ども考えております。

いまの松本君と人権擁護局長とのやりとりをもってみましても、きのうよりもちょっと前進だという話がありましたけれども、まだまだ私はそれでは承知はできないのでありまして、これだけ世論がやかましくなり、しかもとうとう、いままでの段階におきましては証人喚問というものは正式に国会で行なわれない。やむを得ないので有志議員の主催できのうの催しがございました。そのいろいろ証言からいたしましても、事実とあまり違いはないんじゃないかというような印象を私は深刻に受けたのでありまして、したがって、そういう点からも、人権擁護の点からもぜひ前向きにひとつ調査をしてもらいたい。ただ資料を集めている、印刷物を集めている程度じゃなくて、もう少し突っ込んだ積極的な人権擁護の立場での法務省の職権の発動を願いたい、かように要望いたします。

同時にまた、もう一つ刑事問題の関係といたしましても、先ほど松本君からいろいろ昨日の質疑応答等の結果からいたしましての質問だと思いますが、私も聞いておりましたけれども、問題が刑事問題としてもいろんな場合が非常にたくさんあるようでありまして、これをこのまま放置しておくということはまかりならぬと思う。したがって、積極的に法務省や検察庁のほうでも、警察がやるだろうというようなことではなくて、こういう問題は検察庁が乗り出さなければ、こういう組織的な大がかりなものは、しかも先ほど言うたようにことば自体は非常にやわらかくても、非常にドスのきいたおどかし方もあるのでありまして、えてして暴力団の親分などは、自身は手荒な発言はしない、やんわり穏やかなことばでおどかす、こういうようなこともあるのでありまして、そういう点でむしろ非常に組織的大がかりなものじゃないか、私はかように思う。したがって、警察にまかせるという態度ではなくて、やはり検察庁自身が動き出すべきだ、かように思うのであります。この点、人権擁護のほうとそれから刑事部のほうからひとつ御答弁を願いたい。

○川島(一)政府委員 私から先にお答え申し上げます。

先生御指摘になりました社会党からの申し入れ書、これは私も当時拝見しております。それを見た当時におきましても、この事件の処理をどうしようかということは多少考えもいたしましたし、相談もしたわけでございます。しかしながら、非常に大きな問題でありますのと、それから関係者が多数おる、そして被害者の救済をはかる見地からの介入ということが、この事件が非常に大きな問題となりましただけにどういうふうに考えていいかというようなこともございまして、いましばらく成り行きを見るべきであろうということで、先ほど申しましたように、とりあえずは情報収集の程度にとどめるということにいたしたわけでございます。

それから、その後先生のおっしゃいました統一見解でございますが、これは私、全然存じませんので、法務省といたしましてそういう点についての統一見解というものはきめたことがなかったのではないかというふうに考えております。

もう少し積極的にやったらどうかというお話でございますが、同じことを繰り返すことになりますが、人権擁護機関としての立場ということもありますので、現在のところはその程度でやむを得ないというふうに考えております。

○辻政府委員 ただいまの畑委員の検察庁に対する御要望、御要望は御要望といたしまして、御承知のとおり、検察庁はみずから必要と認めるときはみずから犯罪の捜査をすることができるという規定になっておりますから、これは検察庁が検察庁の自主的な態度で事を処理することだろうと思います。

○畑委員 一言だけ。いまの人権擁護局長の御返事ですけれども、確かに私、テレビで見たので印象によくあるのですが、これはあなたのほうで、別にそういった公式な態度をきめてない――ではないかと思いますと、ちょっと語尾がおかしかったけれどもね。ともかくNHKがニュースをキャッチしたので全然無根のことは書かぬと思う。そういう法務省当局の態度をキャッチして書かれたんだと思うけれども、ともかくそういうふうにはっきり、そういうような調査は開始をしないということにした、政党間の問題でもあり調査を開始しないことにしたとニュースで出ている。私、見たのですから間違いない。ただ、そういうことをきめたことはないということですけれども、結局それだけ法務省のほうの人権擁護のほうが消極的であったということだと思う。しかし、ここまで問題が大きく拡大してまいりますと、そう言ってはいられないということだと思う。ともかく積極的な調査をひとつやってもらいたいということをお願いしておきます。

同時に、刑事部のほう、確かにあなたのおっしゃるとおり、法務省のほうでどうしろこうしろと言うわけにはまいらぬことにはなっておりますが、私が言うておりますことは、単に警察などではちょっと処理しにくい問題ではないか、むしろ検察庁でやるべき問題ではないかというふうにすら思っておりますので、そのことを申し上げておきます。ひとつ要望しておきます。

○小林国務大臣 何か法務省が統一的な意見をきめた、そういうようなこと、もしNHKでそういう放送があったとすれば全くこれは誤報でございます。いやしくも私が責任を持っておる、私は何も知りません。だから、そういうものがあれば誤報と、こう私は断言いたします。

もう一つ、私は、この問題についてこの委員会における答弁等についても何も指示いたしておりません。それから人権擁護関係についても何らの指示をいたしておりません。全くそれぞれの責任においておやりになるように私からは指示も何もいたしておらぬ。このことだけは特にはっきり申し上げておきます。したがって、われわれの省において何らかのこれについての態度をきめたというような事実は全くございません。

○松本(善)委員 人権擁護局長、人権事件ということで資料を収集しているということでありますが、先ほど来申し上げましたように、小売り店の全国の組合でも決議をしている。これは全国的な調査というようなことになると私人では非常にむずかしい。また日本の歴史でも、始まって以来という事件なわけです。私は人権侵犯事件として人権擁護局が動き出すというのは、捜査当局が動くよりもはるかに容易な、その疑いがあるだけで動き出すという点では非常に容易な立場にあるのではないか、こういうときにこそ人権擁護局は動かなければ動くときがないのじゃないかと思います。そういう点で人権擁護局長、人権侵犯事件の疑いがあるということで考えてはいるということであるけれども、いまだに動いていないということではいまの事態にはもう適さないんじゃないか。この時点でもう一歩積極的に人権擁護行政ということについて真剣に考えて動き出すべきではなかろうかというふうに思いますが、いかがでしょう。

○川島(一)政府委員 人権擁護局があまり仕事をしないのではないかというお話でございますが、毎年一万件程度の人権侵犯事件というものを処分いたしております。本件のような大きな事件というのは従来もほとんど扱ったことございませんけれども、非常に貧しくて困っている、そういう人が人権侵害を受けたというような事件はかなり数多く手がけております。

それから、こういう問題について人権擁護局が率先してやるべきではないかということでございますが、これは人権侵犯事件というからには、だれのどういう人権が侵犯されたかということを中心に考えるべきであろうと思います。したがいまして、本件の場合、いろいろ複雑な関係があるわけでございますので、その点を明らかにして、なおかつ、その被害者を人権擁護局として救済するために何らかの手を打たなければならない、こういう場合に初めて調査を開始すべきものであるというふうに思います。

○松本(善)委員 そうすると、局長にちょっと確かめておきますが、これは出版社とそれから著者の権利が害されるという性質の事件である、これは確かめるまでもない。私があなたに確かめておきたいのは、これは単にそれにとどまらないで、国民全体の知る権利ですね。これは基本的人権の一つです。だから、出版・言論の自由というのは非常に重要なものとして、政治的事件と同じように出版販売の問題は公開ということを憲法できめているというようなぐあいでしょう。それは国民全体の知る権利という基本的人権にかかわる問題だということを認識しておるかどうか、それをまず聞きたいと思います。

○川島(一)政府委員 その点は重々認識しております。

○松本(善)委員 それでは具体的にお聞きしますが、村八分事件が起こったというような報道がある場合に、一体人権擁護局は動きますか。

○川島(一)政府委員 新聞の記事で非常に断定的に人権侵犯の事実が起こって、その結果として悲惨な状況にいる者がいるということがはっきりしております場合には積極的に動き出す、こういう場合もございます。

○松本(善)委員 通産省から来ていますね。それで伺いたいのですけれども、新刊書が取り次ぎ店で新刊委託扱いにならないという場合、これは一体どのくらいの比率であるかということについて通産省は知っておられるかどうか。

○小山説明員 特に私どもは存じておりません。

○松本(善)委員 それは通産省といたしましても、これだけ問題になっておるのに、非常に不勉強なことではないかと思うのです。当然取り次ぎを通じての出版妨害というものが問題になっておるならば、一体この実情はどうなんだろうかということを調べておかなければならない。国会に出てくる場合には、その程度のことは――通産省に聞かれるのはどういう問題であろうかということを考えて出てこなければならないと私は思う。私が調べました範囲で申しますならば、これは特に取り次ぎ店の名前を言うことをやめますが、ある大きな取り次ぎ店では、新刊委託扱いにならないのは百のうち二%ということであります。それからある取り次ぎ店の場合には、三千のうちに十二、三冊ということです。こうなると、あとのほうの場合二%以下、〇・何%である。ほんとにわずかなんです。新刊委託扱いにならないということは村八分どころの騒ぎではない。通産省は知らないと言うから私もお聞きしませんけれども、人権擁護局長、こういうことになっておるということがもし事実とすれば、この問題について、通産省はもちろん別の観点から動かなければならないかもしれないけれども、人権擁護局も考えなければならないと思いませんか。

○川島(一)政府委員 場合によれば考えなければならない事態もあろうと思います。ただ本件の場合、いろいろ申し上げましたけれども、藤原弘達氏のたとえば表現の自由、出版の権利というものを中心に考えました場合に、一応いろいろな曲折はあったようでございますけれども、著書がもうすでに発刊されておるという事実があるわけでございます。こういう場合に人権擁護局としてしいてその問題に関与しなければならないかどうかということは、一つ問題になってくるのではなかろうかというふうに思うわけです。

それからもう一つは、被害者が救済を欲しているかどうか、現在いろいろな立場で人権擁護局にどういうことをしてもらいたいかということが、われわれとしては必ずしもはっきりしないわけであります。被害者が申告をしてくる事件もありますけれども、本件については別にそういったこともございません。

そういうことで、われわれといたしましては、情報収集の程度で成り行きを見ておるということでございます。

○松本(善)委員 いま売れているじゃないかということは、理屈にならないのです。二度とこういうことが起こらないようにという保障を求めて、いまみんな問題にしておるわけでしょう。昨日の話によれば、藤原さんの本は七十万部ということであります。たいへんなベストセラーでしょう。その問題はもう論じなくていいのか、そういう性質のものではない。日本にもう言論の自由を侵す、出版妨害をするということはあり得てはならぬのだということを、この際はっきりさせなければならぬということで、みんなが問題にしておるのです。人権擁護局長がいまこの時点でそんなことを言っているようでは、私は期待をほんとうに裏切ることになるだろうと思う。国民が、人権擁護局というのはそういうところかということになるんじゃないかというふうに思うのです。私はあなたをここでとっちめようとかいうつもりではありません。むしろやはり人権擁護という行政がどんなに重要なものであるかということを、この論議を通じてあらためて認識をしていただき、国会議員やその他の意見も聞いてやっていただきたいと思うわけです。あらためて決意を聞きたいのですけれども、いかがでしょうか。

○川島(一)政府委員 おっしゃる趣旨は十分わかります。私といたしましても、人権擁護のためには全力を尽くさなければならないと思っております。ただ、人権擁護局あるいは人権擁護機関の立場といたしまして、救済活動、それから啓発活動というのが主眼になっております。現在、人権擁護行政の仕事に従事している職員というのは、人権擁護委員を除きますと、法務局の職員わずか二百数十名という勢力でございます。したがいまして、われわれといたしましては、非常に広い範囲に起こっております人権侵犯事件に対して、一々調査して、そしてその解決をはかっていくという困難な仕事をしておりますので、その辺の事情も十分御了解いただきたい、このように存じます。

○松本(善)委員 実はそこが該心であろうかというふうに私は思うわけでありますが、法務大臣、伺いたいのですけれども、いまの人権擁護局長の答弁でもわかりますように、人権擁護をする立場の者が少ないということなんですね。法務大臣も人権擁護の仕事はどうでもいいものだ、つけたりのものだというふうには少なくとも思っておられなかろうと思うのですけれども、いまのような実情で全国的に人権侵犯事件についてそう簡単に手が回らないという実情についてのお話がここであった。法務大臣としてはどうお考えになりますか。

○小林国務大臣 人権を擁護しなければならぬということは、関係者はその熱意に燃えてやっております。しかし、事実上なかなか手が回りかねるというのもそのとおりでございまして、私は、きょうのこういう議論も大蔵省によく聞いておいてもらいたいというふうに思うのでございますが、何ぶんにも人員の増加というものが非常に困難な事情にいまあることは御承知のとおりでございます。しかし、手が回りかねるでは済みませんので、われわれとしてはやはり手の回るように、増員等についても考えなければならぬというふうに思っております。

それから、いままでいろいろお話がありましたが、今度の問題等は、これだけ国会であらゆる面から論議をされておるわけで、これはこれでもっていわゆる世論に聞く、世評に訴える、こういうふうなことに私は非常な何かがあったと思うのでありまして、実は私どもの人権擁護というのは、そう申してはどうかと思いますが、非常に小乗的と申しますか、各個人が人権を侵犯されて、これを救済する、こういうふうな点に非常に大きな重点が置かれておる、このこともひとつお考え置きを願いたいのであります。

しかも、御承知のように、こういうことについては侵犯されたと称する人はもうあらゆる機会に陳述をされておるのでありますが、したといわれる方については、われわれには、松本委員も御承知のように、強制調査権がありません。あるいは面会を謝絶されたりあるいは発言を拒否されたりすればわれわれは手が出ない、こういうこともひとつお考え願いたいのであります。

したがって、私どもは国会等でこれくらい言われたことが――われわれいまのような強制調査権がない者の限界というものはもう知れておる。たとえばいろいろの方に聞いたって会ってくださらぬ、あるいは全然回答もしてくださらぬ、それでも私どもの人権擁護の人たちはどうすることもできない、こういうふうないまの制度、このこともひとつよくお考えくださいまして、かような事件における人権擁護当局の効果というものもひとつ御勘考を願っておきたい。それで、言い方を変えれば、われわれの小さい手で調べる、しかも強制権がないこの手で調べるということと、それから国会で、あるいはいろいろな機会、あらゆる方がいまこの問題について、事実だか、とにかくいろいろな報道をされておる。こういうことを比べてごらんになって、どうも人権擁護局はこれをやらないのはどうかというふうな御批判もあるが、私はそういう効果とかそういうこともやはりお考えを願いたい、こういうふうに思います。やはり個個の役人が行ってこういうことを小さくやったって、なかなか動きのとれない問題である。

したがって、私は、ここでこういうふうにあらゆる機会におやりになっていることは、世間がいろいろの判断をされるんじゃないか、われわれ自身としては、もう人権擁護というものはどうしてもこれを貫徹しなければならぬ、こういう決意に燃えておるのでございます。その点は、もう誤りのないように、ひとつ御理解を願いたいと思います。

○松本(善)委員 はからずも、法務大臣のいまのお話によって――やはり私どもは、国会で、被害者それから加害者というふうにいわれている人も、両方証人として呼んで、弁明をするところは弁明をしてもらう、こういうことは国会にこそその権限があるわけなんです。これはどうしても実現をしなければならないものであるということは、法務大臣のただいまの答弁でも裏づけられたものであろうというふうに思うわけでありますが、この点についてはまたあらためてということにいたします。

せっかく警察庁が見えておりますので、ちょっと聞いておきたいのですが、法務省の刑事局長とのやりとりは聞いてましたか。――先ほとの刑事局長の答弁でおわかりと思いますが、この出版妨害事件の経過では業務妨害に当たる場合もある、あるいは強要、あるいは脅迫というようなことに当たる場合もある、もちろん、こういう抽象的な答弁でありますが、警察といたしましては、犯罪ありと思量するならば動かなければならない立場にあるわけであります。それについての警察庁の立場、考え方といままでの態度、これについて伺いたいと思います。

○高松政府委員 先ほど途中から御意見を伺っておりましたが、執筆者あるいは出版社、取り次ぎ店、書店、こういうものに対する行為が、業務妨害罪なりあるいは脅迫罪なり、いろいろな御議論がございました。私ども、この点につきましては直ちに判断しがたいものがあるということ、これが一点であります。

それからもう一つは、事柄が何と申しましても言論・出版の自由ということに関する問題で、そういう事柄の性質上から考えまして、しばらく慎重に事態の推移を見守って、その上で判断してまいりたい、こういうふうに考えておるようなわけであります。

○松本(善)委員 一番典型的な例は、あなたがいたときかどうかわかりませんが、法務大臣がお答えになったけれども、殺すぞとか、家を爆砕するぞとかいう電話がかかってくる、これは明らかに脅迫だと言われたわけなんです。そういうことが起こっているのに、慎重にやっていくということですか。その論議は聞いてませんでしたか。

○高松政府委員 その論議はちょっと私、伺っておりませんでした。ただ、たとえば一月の十何日でしたか、爆破するとか、あるいはもうおまえの命もあとしばらくだとかいうような電話がかかったということは届け出がありまして、私どももその点については警戒をし、犯人を何とかつかまえるというふうな手だてを講じたこともございます。そういう個々の問題については一応やっております。ただ、その後、いわゆる被害者からの御連絡もございませんので、その後はさほど強い脅迫の電話はなかったのではなかろうかというふうに考えております。

○松本(善)委員 あなたのためにもう一度、先ほど来の刑事局長あるいは法務大臣とのやりとりを繰り返すこともできませんから……。少なくもきょうの議論を聞いておるならば、私はあなたのような答弁は出なかろうと思うのです。きょうの法務委員会の議事録をあとで詳細に調べまして、警察として、犯罪があると思うならばすぐに動かなければならないと思います。そういう態度で処してもらいたいということを言っておくにとどめて、法務大臣に最後にお聞きしたいのであります。

総理大臣が、今後とも言論・出版が不当に抑圧されることのないように配慮するということを国会で答弁されたのであります。この点について、もし総理大臣の言ったことがほんとうであり、これを実行していくということでありますならば、これをほんとうに守っていく、不当に抑圧されることを排除していく立場の政府のほうの所轄省というのは、法務省あるいは国家公安委員長、こういう立場ではないかと思いますが、いかがでしょう。

○小林国務大臣 言論・出版が妨害されてはいかぬということは自明の理でございまして、今後いろいろ論議されたことも、世間にはいろいろの反響を与えておるだろう、こういうふうに思いますし、一体これを役所はどうしたらいいだろう、こういうふうに私はいま思案をしておるところであります。そういうことはもうわかり切ったことでありますが、そんな声明を出すのもおかしいし、個々の人に、だれに言うていいかわからない。これは日本じゅうの人がみんな対象になる。だれもじゃましちゃいけませんよ、こういうふうな問題でありますから、どうやったらわれわれ法務省としてそういうことが周知あるいは啓発できるか。われわれ、むろん、講演会だとかパンフレットだとか、いろいろなものを出しておりますから、そういうものには当然のこととして、言論・出版などの自由を侵してはならぬ、こういうことも入れるつもりでありますし、その方法を、むしろおわかりなら教えていただきたいとさえ私は考えております。

○松本(善)委員 きょう議論を聞いておりますと、人権擁護局長にいたしましてもかなり慎重であります。警察はもっと慎重であります。私は、法務大臣が法務省の中で、言論・出版妨害事件について、いやしくも人権侵犯事件があるとか、あるいは犯罪があるというふうに考えられる場合には、これは断固としてやるべきだということを訓示をされますだけでもずいぶん変わると思う。これは間違っているならばとことんまでやるんだ、この決意を法務大臣が明らかにされるだけでも、私はたいへんな変わりがあると思う。そういうことをおやりになるお考えはないでしょうか。法務大臣が、ひとつその方法があれば教えてほしいと言われたものですから申し上げたわけですが、いかがですか。

○小林国務大臣 そういうことは、ひとつきつく訓示をいたしましょう。

○畑委員 最後に一言。私、きのう、その三人のいわゆる執筆者の話をよく聞いておったのです。藤原弘達さんはああいう人だから、これは一般にいままでも、彼の関係のことは新聞その他雑誌等でだいぶ明らかになっておる。ところが、一番最後に聞きました福島さんは、本名、隈部大蔵さんという方で、西日本新聞の東京支社の論説委員をしている。この人はペンネームを三つ持っている。なぜ三つも持っているかというと、あくまでああしなければならぬのは、それほどいままでいろいろな迫害があったということです。それをいろいろ聞きました。たとえば出版するにも、創価学会員のいる工場ではすぐその秘密がばれちゃう。すぐゲラ刷りなんかわかっちゃう。それで、出版社を選ぶにも、福岡のほうの非常に辺陬の地の小さい出版社を選んだり、いろいろ調査をしている。そうして苦心をして、最初に隅田洋という名前で書いた「日蓮正宗・創価学会・公明党の破滅」という本なども、とうとう第一版出版と同時に絶版になった。その次の書物も、一応出たのは出たのですが、それも同じような運命です。最後に、彼は原稿を持っていた。まだこれは世に出ていない。その原稿すらも――原稿用紙に不動文字で書いてありますね、その原稿用紙に書いてある字まで相手のほうではわかっておるということで、聞けば聞くほど、私はこれじゃいかぬという感じがひしひしとしたのです。その福島さんという人は非常にじみな人ですから、特に印象が深かったのでありますけれども、その人なども財政的にはえらい負担であったようです。植村さんの場合もそうだったそうですが、藤原さんの場合は、たかが五万部くらい出ればいいと思ったら、七十万部も出て、ベストセラーになりそうだということだが、福島さんの場合などは実害を受けて、財政的にも非常に苦しい。植村さんも同様だというような話を聞きました。

そういう点から申しましても、いま人権擁護局長も、藤原さんの場合は相当売れているからということだけれども、そういうように売れない人もいる。同時にまた、そういった文筆に携わる人たちというのは、人権擁護でも申し出ればいいんだろうけれども、文筆を業としているだけに、なかなかそういうことはしたくないというような心理もあるわけです。そういうこともあるんだから、やはりそういう点で、人権擁護は国のほうでそれをやる必要があると思うのです。

話がそれるけれども、人権擁護という仕事は、大体法務省で、国でやるのも少しおかしいので、あれは、私は最初の創設当時考えたんですけれども、むしろああいった予算を日弁連のほうに回して、日弁連に人権擁護をやらせるというのが本来の姿ではないかと思うのであります。そういう制度になっているからしかたがないけれども、一方では人権を侵害するおそれのあるところである国、それがまた人権を守るという立場でありますから、どうしても非常に消極的たらざるを得ないんじゃないかというような感じもするのです。これは余談でありますけれども、いずれにいたしましても、先ほど言いましたように、非常に組織的な出版妨害にあって非常に苦しんでおられる姿を私きのうの証言で聞きまして、これはもうやはり明らかにする必要があるというふうに感じたのであります。そういう際に、日大の古田会頭などは、やはり植村さんの場合にも出てくるし、また福島さんの場合にもその名前が出てくる、こういうようなことでありまして、やはりこういうことははっきりさせる必要があろうと思います。

したがって、予算委員会のほうでまだその問題についてはどうするかということについて話がついておらぬようでありますけれども、当法務委員会におきましては、やはり人権に関する問題ではあるし、法務行政に関することでもあるから、したがって、この問題はひとつじっくり真相を明らかにするというような態度で進んでもらいたいということを、この際、委員長にも要望いたしておきます。そういう点でひとつ法務省のほうでも、この点、積極的に活動を開始してもらうよう要望いたしておきます。

以上です。

○小林国務大臣 これは国会のほうでおきめになることで、われわれはこれに関知いたしません。それで私が申し上げたいことは、そういうことがあったら――どうも主張が弱過ぎるのですね。いまのどなたかのお話もだいぶ前の話で、黙っておってこのごろ急にそんなことをおっしゃるのは、たとえば脅迫電話を受けたら、すぐ警察に訴えられたらいいのです。保護を求められたらいいのです。それをしないでおいて――われわれはどこかに人権侵犯がないかなんてさがして歩いているわけじゃありません。したがって、われわれがそういうことを感知できるようにしてもらわなければやりようがありませんから、その点も私はお断わりを申し上げておきます。

○畑委員 よろしい。それはこういうふうになったからには、これだけ世間でいろいろやかましい問題になったからには、法務大臣もそのつもりで今度はやってくれると思う。いままで出なかったから、したがって、どうも人権擁護の問題がないかとさがして歩くわけにはいかない、こういう話だけれども、こう明らかになってきた以上これをもっとはっきりさせるということが必要だと思う。ひとつそれでやってもらいたい。

○松本(善)委員 終わります。

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