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赤旗まつり講演に見る不破氏の中国賛美3

(『さざ波通信』第29号2002.11.18)

3、中国の過渡期経済の現実

まず1番目と2番目の基準についてはどうか? 現実は、中国当局が社会主義部門を強化しているどころか、ますます民営化、市場化を推し進め、国営企業を次々と閉鎖し、そこで働く労働者を容赦なくリストラして路頭に迷わせ、外国資本に人民の財産を格安の値段で売り払い、あるいは貸与していることである。社会主義部門の強化はいったいどこに行ったのか? ある研究によれば、中国の国有経済が総工業生産額に占める割合は、1990年の50%以上から、1999年の30%にまで低下し、今ではインドよりも低いとのことである。そしてこの傾向は年々強まりつつある。

また中国がWTOに加盟したことは、中国における資本主義部門の強化に著しく寄与した。今では中国は、国内の資本主義勢力(外資を含む)だけでなく、資本主義世界市場の巨大な圧力をもろに受けている。社会主義部門と資本主義部門との秤において、資本主義部門の皿に世界市場の巨大な重みが加わった。

もちろん、われわれは、この事実だけで中国がすでに資本主義国になったとまで言うつもりはない。なぜなら、共産党による権力独占という歪曲された形での政治的「歯止め」がなおも存在するからである。だがこの歯止めは永遠ではないし、また中国共産党自身も資本家の入党を認めるという形でますます資本の代弁者となりつつある。

不破氏は、先に挙げた基準の3つ目に関して、次のように実にやんわりと述べている。

「現在の中国やベトナムは、市場経済を復活させたばかりで、社会的な歯止め装置が十分にできあがっていないまま、市場経済の道に進んでいる、という状況があります。それだけに、この分野での努力がとりわけ大事になっています」。

この講演においてかろうじて「批判的」といえるのはこの部分だけである(もっとも「批判的」という形容詞を使うことが適切かどうか判断に迷うところだが)。しかし、現在、中国労働者が直面しているのは、このような生易しいものではない。そもそも、市場経済が復活したばかりというが、すでに中国当局が改革開放路線に転換してから20年が経過している。問題は、中国当局の善意にもかかわらず、歯止め装置が不十分なことにあるのではなく、中国の支配層自身が積極的に、労働者を抑圧し、彼らを自由に解雇し、解雇反対に立ち上がる労働者を容赦なく弾圧しているということにある。これは、歯止め装置が不十分なまま市場経済に入ったというレベルの問題ではなく、支配層による意識的・目的的な労働者抑圧政策の問題である。

さらに中国政府当局は、外資導入をいっそう容易に推し進めるためにも、労働者の運動の抑圧、その抵抗力の剥奪を系統的に推進している。もちろん、過渡期経済の建設事業において外資の導入は不可欠である。経済というものは一国だけで完結しうるものではない。それは中国のような巨大な領土を持った国でさえそうである。とりわけ、経済がなお後進的な水準にある中国においては、先進資本主義国の技術や資本やノウハウを入手することは、その経済発展において必要である。だが、その一方で、そこで働く労働者が、労働者としての尊厳と権利と自治を奪われてはならない。社会主義政権というのならば、当然、外資導入された分野において、その政権は労働者の権利や地位を何よりも保護しなければならない。だが中国当局がやっているのはそれとは反対のことである。

ちなみに、中国当局が労働者の地位の低いままで外資導入を闇雲に進めたことは、日本を筆頭とする進出国自身の国民経済の空洞化、失業の増大、労働者の地位低下をもたらしている。進出先が中国「社会主義」であっても、多国籍資本に対する民主的規制を加えることは必須であり、その一環として外国資本ないし外資合弁会社のもとで働く中国労働者の権利擁護と地位向上、および、中国共産党に従属した御用組合ではなく独立した闘う組合への組織化が不可欠である。

市場経済の悪弊の最たるものである環境問題についても、中国の現状はきわめて深刻である。たとえば、中国の各工場では経費削減のため安価な集塵装置しか設置されておらず、また急速に増える自動車の排気ガスの影響もあって、1990年代半ばにはすでに都市部で日本の高度経済成長期よりもひどい大気汚染が広がっていた。また、中国は食料の自給自足体制をあまりに急速に進めたために、食糧増産のため多くの森林を切り開き、生態系を破壊し、大規模な環境問題や洪水を招来した。周知のように、今日では環境問題はグローバル化し、中国一国だけの問題ではない。それゆえ、この中国の環境問題は国際的にも大きな関心の的になっている。たとえば1999年8月に国際環境団体グリンピースは北京で記者会見し、中国当局が環境や資源の保護よりも経済発展を優先させていると厳しく批判している。

同じく、市場経済の悪弊の最たるものである貧富の格差の増大についても、中国当局によって優遇された各種の私企業や形ばかりの集団所有制企業や外資合弁企業の躍進と裏腹に、ますます深刻はものになっている。内陸部と沿海部との巨大な格差のみならず、都市部でも一部の富裕層と一般労働者のあいだでの貧富の格差は著しく進んでいる。また中国では、年金生活者やレイオフ労働者の扶養を国家ではなく各種の国有企業が行なうという特異な体制をとっているため(単位制)、その恩恵を被らない人々(農民や都市失業者)が増えるにつれ、貧困問題は深刻の度合いを増している。他方で、本物の資産家(中国のネップマン)のみならず、一部の特権官僚も各種の不正行為を通じて蓄財につとめている。

しかしながら、不破講演は、そうした深刻な諸問題には完全に目をつぶり、ほとんどもっぱら中国当局が市場経済を積極的に利用して経済発展を実現しているという面ばかりを強調し、それを賛美しているのである。

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