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小誌だけが報じてきたアンタッチャブル組織・朝鮮総聯の全悪業

(週刊文春 2002年10月10日号)

あなたがたが「拉致」を知らなかったはずはない。そして罪は「拉致」だけではない

朝鮮総連が揺れている。これまで拉致を捏造と主張し事実を認めなかった総連が、首脳会談の後、初めて機関紙に謝罪を掲載した。だが本当に総連は何も知らなかったのか。十年以上前にパチンコ疑惑や拉致被害をスクープした小誌だけが知る、朝鮮総連の「罪と罰」。

それはまさに「玉音放送」だった、と朝鮮総連の人間は言う。

日朝会談が行なわれた九月十七日。東京・干代田区にある朝鮮総連中央本部をはじめ全国の総連支部では、祝賀の記者会見、宴会、金正日への祝電を打つ予定がたてられていた。ところが、

「拉致を認める発言が報じられた途端、テレビの前に陣取っていた職員の雰囲気が、祝賀ムードから一転、葬式みたいになりました。総連中央や朝鮮大学校の電話がひっきりなしに鳴りだし、『今まで騙してきたな!』という在日同胞たちの怒りの声を浴びせられたのです」(総連関係者)

訪朝の十日後、総連機関紙は、〈これまで読者のみなさんに誤った事実を伝え、そのことによって言葉では言い尽くせないご迷惑を与えたことについて、この場を借りて率直に謝罪する次第です〉とようやく表明したが、いまだに総連幹部たちは同胞の反発に真摯に応えようとせず、「総連は当事者ではない」と言ってのける幹部もいるという。

しかし…。総連が北朝鮮の工作活動にまったく関与していない、と言い切れるだろうか。長年にわたり、小誌は朝鮮総連の諸問題を報じてきた。旧社会党との癒着である「パチンコ疑惑」や、裏部隊による工作活動、刑事事件に発展した朝銀信組事件。すべて軍事独裁政権を裏で支えてきた活動であった。

朝鮮総連が、法的に身分が不安定な在日朝鮮人の生活や人権を守るため、大きく寄与してきたことは事実である。しかしその反面、総連は自らへの批判に対してきちんと対応しようとしなかった。メディアで問題が指摘されると、集団抗議という行動をとり続けてきたのである。

工作員を支援する「土台人」

「各地区に動員人数が割り当てられ、波状攻撃と称し午前と午後にわけて集団で押しかけるのです。二度と組織のことを報道させないための作戦でした」(元総連関係者)

小誌がパチンコ疑惑を報じた平成元年当時も、のべ数百人が連日抗議に訪れ、応接すると無断で小誌デスクや編集長の写真を撮り、翌日の機関紙に載るということさえあった。しかし、彼らは本当にそれが正しい行動と思ってきたのか。本気で総連中央の「大本営発表」を真実と思ってきたのか。

かつて総連の活動家だった人々にそう問うと、彼らは一様に考え込む。ある白髪の元活動家は、悔恨の表情を浮かべてこう言った。

「薄々、矛盾に気が付いていた連中は多い。でも、組織の上から言われることを信じるしか、生きようがなかった」

在日同胞の人権を守るというスローガンのもと、朝鮮総連こそ同胞を苦しめてきたのではないか、と彼らは振り返る。昭和三十年の組織結成から四十七年。総連は何を行なってきたのか。その裏面史を辿る…。

警察庁が拉致問題について作成していた内部資料に、興味深い記述がある。平成九年五月一日、総連の実質上のトップ、許宗萬・責任副議長が元工作員・張龍雲氏(故人)に電話で話した内容だ。その中で許氏はこう言っている。

「この(拉致)事件は頭が痛い。金正日総書記に拉致した人間を解放したらどうかなどと、そんなことが言えるわけがないことくらい、お前も知っているやろ」

この半年前、張龍雲氏は『文葵春秋』誌上で田中実さん拉致事件を暴露している。許氏の発言は、拉致の事実を認識していたとしか思えない。

また、昭和五十五年の原救晃さん拉致事件を見ても、総連関係者の関与は明らかだ。北朝鮮の工作員・辛光沫と共謀して原さんを誘いだしたのは、総連の傘下団体・大阪朝鮮商工会の会長と理事長だった。

現役の総連活動家が言う。

「拉致は、金日成時代に首領様(金正日)が指揮した部隊がやったことです。当時総連には二つの戦略が打ち出されました。一つは在日同胞を擁護するための合法的活動。もう一つが、日本海を渡って上陸する工作員の支援でした」

総連の元財政局副局長・韓光煕氏の証言により、北海道泊村から鹿児島県佐多町まで全国三十八力所の工作船着岸ポイントが明らかになっている。今回、小誌が取材した関係者の中にも、「総連から佐渡島の海岸線の撮影を依頼され、実際に撮りに行った」と言う人物がいた。写真撮影は、工作員が着岸する「接線」地点をつくるためだ。

上陸した工作員は、米軍基地の飛行機発着調査や、総連の監視も行なった。

「ほかにも、メリケン粉(麻薬のこと)や偽ドルを持ち込んだり、辛光沫のような工作員を更に監視するスパイもいました」(別の元総連関係者)

工作員を手引きする日本側の人間は「土台人」と呼ばれた。土台人は、総連の非公然組織「学習組」のさらに裏の特殊任務であるため、総連でもその存在は知られていない。

元活動家の証言。

「土台人は、三十代までで度胸があり、忠誠心がある人間が選ぱれました。極秘任務であるため、土台人の中には怪しまれないように、表向きは韓国系の民団に所属している者さえいました」

この工作員支援を統括していたのが、総連の初代議長・韓徳錬だったという。しかし、”宿命的”に土台人にならざるをえない在日朝鮮人もいた。昭和三十四年から始まった「帰国事業」の犠牲者たちである。帰国事業で在日朝鮮人とその日本人配偶者約九万三千人が北朝鮮へ永住帰還した。

「その帰国者たちを人質にして、北朝鮮は献金、つまり身代金を要求しだしたのです」(玉城素・現代コリア研究所理事長)

元活動家が回想する。

「工作船で潜入したスパイが土台人に導かれて、突然帰国者の身内の家庭に現れることがあった。スーツ姿でとても工作員には見えない。工作員は北朝鮮に帰国した家族や兄弟の写真を見せ、『彼らは平壌にいない。地方で苦労している。金を出せば、平壌で職を紹介することができる』と告げる。つまりユスリです」

要求額は五千万円、一億円と高額。親戚中をまわって金を掻き集める家庭もあった。

「献金ができない場合、別の任務が与えられます。工作員の部屋探しや生活の世話、金の工面、あるいは海岸線の写真撮影。彼らを新たな土台人に仕立てるわけです。帰国者の家族は、身内が殺されることを恐れて、任務のことは一切口にしませんでした」(同前)

かの力道山も献金をした一人だ。元総連幹部の張明秀氏が証言する。

「北朝鮮にいる力道山の一人娘・金英淑を帰国船・万景峰号に乗せて新潟港まで連れてくるんです。深夜、力道山は総連の車に乗せられ、何度も船内で娘と感動の対面をしています。ひとときの再会の代償として、力道山は金日成に高級車などを貢いだのです」

人質を使った献金工作は、次第に「子供を巻き込む陰湿な謀略へ発展した」と元幹部は証言する。在日資産家の子弟が次々に一本釣りされていった。

まず、総連はどのようにして、在日同胞の資産状況を把握したのか。その方法の一つが、総連の傘下団体・在日本朝鮮人商工連合会による税務申告の代行だ。在日商工人の税務処理を代行することで、おおがかりな脱税も行なわれたという。

実際に脱税を指示していた地方幹部は、こう証言する。

「商工会の商工部長か総務部長が、税務署の実務担当者を接待するんです。ばれないように他県のゴルフ場へ出かけたり、朝鮮人参酒を祖国訪問の土産として手渡しました。

商工会はウソの申告書を作成し、税理士ではなく商工会の印鑑を捺す。それで通常はパスしますが、問題があれぱ税務調査に挙がっている名前を教えてもらうこともできた。大きな脱税で、査察が入りそうな場合は、税務署に押しかけて集団交渉です。その時も必ず手土産を持参しました」

総連中央経済局に在籍した前出の張明秀氏も、脱税は全国の商工会で行なわれていたと証言する。

朝鮮大学校生をプレゼント

だが、総連が商工人の財務状況を把握することで、悲劇が生まれた。元総連関係者が悪夢のような話を打ち明ける。

「裕福な家庭の子供を狙い、子供が祖国訪問団に参加したり、永住帰国する際、陰湿な工作を仕掛けられるんです。たとえば、朝鮮労働党から『エログロを含む、あらゆる日本の情報を持参せよ』と通達があったとし、ポルノを本国に持ち込ませる。あるいは、勝手に子供たちの荷物に忍ばせておく。するとその子供たちは本国で、『思想を汚した』として強制収容所に送られてしまうのです。子供を人質に取られた親は、指示通りに莫大な献金をするしか方法がない。その子供たちは、廃人同然になったり、病死したりと悲惨な人生を歩むことが多かったのです」

別の元総連関係者は、遠縁の子供が犠牲になったと憤る。

「北朝鮮に帰国した際、犯罪者に仕立て上げられたのです。総連幹部が何度も親元に集金に現れました。あとで知ったのですが、すでに子供は収容所で死亡していたにもかかわらず、金をむしり取られ続けていたんです」

人身御供の話は枚挙にいとまがない。昭和四十七年、金日成六十歳誕生祝賀の際、総連は金柄植副議長の号令のもと、盛んに贈り物事業を行なった。

この時、総連はなんと、二百名の朝鮮大学校生と四十名の青年オートバイ部隊を、金日成にプレゼントとして献上したのだ。

当時、この事業を知る立場にあった人物が証言する。「朝鮮大学校の教師は、教え子を何人口説いて本国に送ったかが、忠誠心のバロメーターになる。あの頃、毎晩のように学生を呼びだし、怒鳴ったり総括しながら説得した。その後、学生たちは行方不明になったり、病気になったりしたそうです。今でも莫大な送金を続ける親もいて、当時の教師たちはものすごい罪の意識に苛まれています」

前出の張明秀氏は、平成二年一月、総連新潟県本部で千葉県本部のKという幹部に、こう尋ねたことがある。

「なぜ大勢の帰国者が行方不明になっているんだ」

Kはこう答えた。

「実は二年前に祖国訪問をした時、恐ろしくて聞けることじゃないけど、俺も当局にそう聞いてみたんだ」

Kは当局者からこんな言葉を聞かされた。

「今まで『マグヂャビ』をやっていた。これからは慎重にする」

マグヂャビとは「片っ端から捕らえて粛清する」という意味を持つ。つまり”人間狩り”が行なわれていたのだ。

張氏が解説する。

「一九六五年五月に開かれた第四期第十五回秘密の中央委員会で、金正日は父親に腐敗分子の一掃を申し出ている。それからKが訪朝するまでの二十三年間、金正日によるマグヂャビの嵐が吹き荒れたのです」

人質を取られた在日にとって、今でも恐れる言葉がある。

「お前、兄弟が向こうに帰っているんだってな」

この一言で多くの者が総連に対する悔しさを噛みしめてきたという。

北朝鮮と下部組織・朝鮮総連が犯した「罪」は、帰国者や在日朝鮮人、拉致された日本人に対するだけではない。

すでに日本国民の血税が、約六千三百億円の公的資金として総連傘下の朝銀信組へ投入されているが、

「朝銀は借名口座、架空融資でウラ金をプールするなど、銀行の体をなしていない、総連の財布でした。その資金が北朝鮮へ不正送金されているのではないかという疑惑は国会でも取り上げられた」(政府関係者)

現在、朝銀関東の受け皿「ハナ信組」への公的資金投入が注目されているが、金融庁は新信組が総連の影響を受けないよう、定款に「総連関係者を役員にしない」と明記させている。

ところが、小誌は呆れ返るような総連の内部文書を多数入手した。たとえぱ、「○○○財務局○○○○局長殿申入書」という文書。これは総連が作成したフォーマットで、各信組の理事会が当該の財務局の名前を○○○部分に書き入れ、申し入れをさせるための文書である。この文書の内容は金融庁が指示した新信組の定款についての反論。新信組の理事会は「設立総会によって民主的に選出された者」と、総連が書いているのだから始末が悪い。また、こうした多数のヤラセ文書の他に、総連が新聞記者を使い、政府内部の情報を集めさせている証拠文書も存在する。総連が何としてでも朝銀支配を画策しようとする姿がはっきりわかる。

しかし、元朝銀関係者が冷ややかに言う。

「すでに預金保有高は十分の一に減り、借り手もいない。同胞から見放されているんです。今年、新たに公的資金を投入しても、再ぴ破綻して朝銀は消滅するでしょう」

見放したのは同胞だけではない。現役の活動家が言う。

「小泉訪朝を総連はまったく知らされておらず、幹部はパニック状態でした。金正日国防委員長はロシアと韓国の情報筋から朝銀問題を聞き、送金が減っていることから、総連に不信感を抱いた。つまり今回の訪朝で、本国は総連を見捨て、日本政府に援助を頼ることを決意したのです」

今、国籍を変えようとする者が後を絶たず、組織の根幹が揺らいでいる。

老練の元活動家は最後にこう語った。

「総連は我々に一生消えない贖罪意識を植え付けた。長年、欺瞞に満ちた活動を続けてきた我々は、日本の大衆にどう責任をとればよいのか」

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