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国際犯罪との戦争を繰り広げるインターポール24時:「ヒロポン原料の北朝鮮行きを防げ」

(月刊「新東亜」 2002年6月号)

ベルギー警察庁から緊急電文が飛びこんできた。そこには北朝鮮が年間消費量の10倍を越えるエフェドリンをベルギーから輸入しているとの内容が記されていた。国境の内側でのみ権限を行使する警察力の限界を抜け出すために作られたインターポールに、韓国は積極的に協調しているのか。

イ・ジョンファン(警察隊教官、前インターポール派遣警察官) ・Vladimir

chongwaleefr@hanmail.net

筆者は1998年2月26日から最近まで、フランスのリヨンに位置するインターポール本部の麻薬課に勤務した。勤務の初日、筆者の机にベルギー警察庁が送った緊急電文が到着した。電文には、北朝鮮の朝鮮製薬総会社が北朝鮮保健部から発行された推薦状を貼付し、ベルギーのある化学会社からヒロポンの製造に使われることができるエフェドリン20tを購入しようとしている、という内容が記されていた。ベルギー警察庁はインターポールに、北朝鮮の注文に応じなければならないのかを尋ねていた。

エフェドリンは通常、鎮痛剤の製造に使われるが、合成麻薬であるヒロポンの製造にも使われることができる。それゆえUN麻薬統制機構ではエフェドリンの製造と販売を厳格に統制している。北朝鮮の人口や産業規模をみたとき、北朝鮮は年間に2tのエフェドリンを輸入すれば、北朝鮮内で必要とされる鎮痛剤の1年分を生産できる。ところが年間必要量の10倍に達する量を注文してきたので、ベルギー警察庁はインターポールに意見を尋ねたのである。

インターポール麻薬課職員たちは緊急会議を開いた。その結果、北朝鮮の注文量があまり多いので、ベルギー警察庁に関連会社の輸出を中断するよう要請するようにした。この内容の電文を送ると、ベルギー警察庁は即刻、インターポールの意見を取りまとめるという答弁を送ってきた。ベルギー警察庁はベルギー保健省に、エフェドリンが麻薬製造に使われる統制化学薬品であるため、北朝鮮への輸出を禁止するという公式文書を送った。

インターポール勤務の初日に体験したこの事件は、のちに筆者が経験することとなった、インターポールが繰り広げる国際犯罪との戦争の序幕であった。インターポールと戦争を繰り広げる国際犯罪勢力の中には、北朝鮮も有力な候補として上がってきている。

世界化と国際犯罪

年間で韓国の国際空港と港を通過する出入国者は1000万名に達する。それほど韓国も世界化したということである。世界化は1990年代末、IMF経済危機を体験しながら、国際化だけが生きる道であることを経験した後、よりいっそう急速に進行した。世界化に向かう不断な努力で経済危機は克服したものの、韓国は国際犯罪の流入という副作用を抱き合わせることになった。年間に国民10人中1名が海外へ出入りする現在、韓国人は国際犯罪から自由ではないのである。

東南アジアでショッピングし、クレジットカードで計算したところ、帰国後に国内で請求されたのは、使用内訳に買った覚えのない物品を購入したという根拠のない記録と一緒に、とほうもない代金が請求された事例が発見される。反対に外国人が偽造クレジットカードを持って韓国にやってきて、2、3日のあいだ最高級の商品を大量に購入して出国することもたびたび行われている。久しく芸能人たちの麻薬服用が社会問題になったが、麻薬犯罪こそが国際犯罪と密接に関連している。

多様な形態の国際犯罪と戦う指令塔がインターポールである。筆者の経験を土台として、インターポールの内側をのぞいてみよう。

モナコ王子の悲恋が契機

インターポールは1914年に創設されたのだが、創設の動機は突飛なものだった。1914年当時、61歳だったモナコのアルバート一世大公は、モナコ王宮でドイツ人の恋人との密愛を楽しんでいた。ところがこのドイツ人の恋人が心変わりし、こっそりとモナコの宝物を盗んでイタリアへ逃走した。

「老いた」モナコ大公は恋人の背信にとても傷心し、即刻イタリア警察に対し、逃走した恋人の所在を把握し、逮捕することを要求した。しかしイタリア警察は、ドイツ人の恋人はイタリアの国内法を破った事実がないため逮捕する根拠が不足しているという国際法学者の忠告を聞き、これをアルバート一世に通報した。このことを契機として、両国は国際協調捜査のための装置の用意に共感するようになった。

アルバート一世は国家間の警察協力のための機構の創設を主張し、1914年4月14日、24ケ国が参加した中で第一回国際警察会議が開催されたのだが、これがインターポール創設の基礎となったのだ。心変わりした恋人に対する復讐心が、179ヶ国の警察を会員国としたインターポールの創設理由になったのである。インターポール本部はオーストリアのウィーンに作られた。しかし第二次世界大戦の最中、ドイツの秘密警察であるゲシュタポがインターポール本部に保管されていた犯罪者の資料と情報を利用して、ユダヤ人と反体制人士を索出し逮捕した事実が判明した。それゆえ第二次大戦が終わると、戦勝国であるフランスはインターポール本部をパリに移転することを主張し、これを貫徹させたのだ。

だがパリのインターポール本部はあまり狭かった。このとき積極的な国際機構誘致政策を繰り広げたリヨン市場がインターポールを誘致したことで、インターポールはフランス中心に位置する、フランス第二の都市リヨンに収まることになったのである。

インターポール本部は50ヶ国から派遣された120名以上の警察官と、200名以上の行政職員で構成されている。インターポールの最高意志決定機構は総会だ。非常任機構として執行委員会があり、執行委員会のアジア地域副総裁は現在、忠南地方警察庁長官であるキム・ジュンキョン治安監が担当している。しかし総会と執行委員会は常設機構ではないので、実質的には事務総長がインターポールを率いている。

現在、インターポール事務総長はアメリカ財務省次官を経たロナルド・ノーブル(Ronald Noble)が担当している。彼はアメリカ人で最初にインターポール事務総長となった。2001年9月11日のニューヨークテロは、彼にも相当の影響を及ぼした。彼はアメリカ政府が繰り広げる反テロ戦争に賛同するため、大々的にインターポール組織を改編した。

インターポールの核心活動部署は、犯罪局と支援局・地域協力局だ。このうちでも核心は犯罪局であり、犯罪局は麻薬および組織犯罪課・財政経済犯罪課・一般犯罪およびテロ課から構成されている。彼らがまさに、インターポールが繰り広げる「国際犯罪との戦争」の尖兵である。

インターポールでもっとも多くの捜査官が勤める場所が麻薬および組織犯罪課だ。インターポールが麻薬犯罪に多くの人材を投入するのは、麻薬犯罪が全地球的でもっとも大きな犯罪であるためだ。

麻薬は生産地の価格と消費地の価格差がおびただしい。例をあげれば、産地であるミャンマーでは700gあたり2500ドルのヘロインが、消費地のニューヨークでは28万ドルで売れる。消費地価格は産地価格の100倍を超えるため、国際犯罪組織は目を血走らせて麻薬取引に飛込むのである。

「麻薬生産のデパート」コロンビア

インターポールは麻薬取引を遮断するために、アメリカのFBI、イギリスのNCIS(警察庁犯罪情報局)、ロシア警察庁とともに「ミレニアムプロジェクト」を推進している。麻薬との戦争を指揮するインターポールの麻薬および組織犯罪課課長はアメリカFBI出身の女性だ。麻薬取引による被害が最も深刻な国はアメリカである。アメリカで取引される麻薬の金額は一年だけで620億ドルに達する。

科学技術が発展し、消費者の嗜好が多様化することにより、麻薬もやはり多様な種類に変わってきた。麻薬の代名詞であるアヘン(ヘロイン)は自ら「伝統と歴史を誇る」麻薬の代表だ。アメリカの反テロ戦争の舞台となったアフガニスタンは、代表的なアヘン生産国だ。アフガニスタンでは全世界のヘロインの70%が生産されている。一時、ミャンマーとラオス・タイの国境地帯であるゴールデン・トライアングル(Golden Triangle)も世界的なヘロイン生産地であったが、タイ軍部の持続的な取り締まりにより、現在は一位の座を譲りわたしている。

アフガニスタンで生産されたヘロインは、周辺のパキスタンとインド〜タジキスタン〜イランをたどり、ヨーロッパの関門であるバルカン半島に上陸する。反面、ゴールデン・トライアングルで生産されたヘロインは東南アジア国家を経由し、アメリカとカナダ市場に流入する。韓国はトライアングルで生産されたヘロインの重要経由国として利用されることもある。南アメリカではコロンビアでおもにヘロインが生産されており、コロンビア産ヘロインも大部分がアメリカに流入する。コロンビアは「麻薬生産のデパート」と呼ばれるほど、あらゆる種類の麻薬が生産されている。コロンビアで生産される主要な麻薬のひとつがコカインであり、コロンビアでは世界中で生産されるコカインの60%を製造している。ほかの南アメリカ国家でもコカインが生産されるため、南米は世界のコカインの80%を製造している。

アフガンを中心にした西南アジアの国家と南米の国家は、政情が不安だという共通点がある。このような国の軍閥は軍資金を用意するため、組織的に麻薬を製造する。

カナビスは大麻草との名前でいっそう知られた麻薬だ。裁培が非常にやさしいため、国内でも少量生産されている。大麻草は1960〜70年代、韓国での麻薬取引の主流をなしたが、現在はもう少し強力な麻薬を探す消費者が増えたことにより、韓国では生産と取引がだいぶ減った。

オランダのような一部の国家では、中毒性が弱い大麻草の取引を合法化することもある。オランダは、大麻草の服用者を検挙すると法律違反者が量産され、また大麻草の取引を取り締まれば大麻草の価格が上昇し、大麻草の購買費用を用意するために二次犯罪を繰り広げる者が増加するため、特別に許可されたカフェなどで少量のカナビス取引を合法化した。しかし最近、このようなカフェ周辺で中毒性が強いヘロインとコカインのディーラーたちまでが集まり、このおかげでその地域が虞犯地帯になる、と地域住民たちが大麻草取引の合法化に反発しており、オランダは頭を悩ましている。

次に注視するのが、北朝鮮がベルギーから輸入しようとした合成麻薬の分野である。鎮痛効果をもつ医薬品と化学製品は、すべてに麻薬成分があると言っても言い過ぎではない。このような麻薬には最近、芸能人の間で服用されていた事実が明るみになって注目を浴びた、エクスタシーとメスアンフェタミン系列のヒロポンがある。韓国ではヒロポンが多いが、世界的にはエクスタシーの取引量が多い。

先進国、おとり捜査を合法化

麻薬問題で頭を悩ませるアメリカとカナダ、ヨーロッパの捜査機関は、麻薬取引組織に捜査官と情報部員を投入したり、捜査官を麻薬取引者に偽装して捜査する、いわゆる「おとり捜査」を合法化している。先進国の捜査機関は、おとり捜査でなくては麻薬犯罪を防止できないという現実を認め、これを合法化したのである。しかし韓国ではおとり捜査を展開するためには法的な困難が多い。それゆえ犯罪組織の上部は検挙できず、下手人だけを検挙する実情に留まっている。インターポールでは韓国もおとり捜査を合法化し、麻薬犯罪を未然に取り締まることがアメリカやヨーロッパの轍を踏まない道と判断している。

麻薬および組織犯罪課が活動型組織ならば、財政経済犯罪とは知能型捜査機関だ。財政経済犯罪とは高度な専門性を必要とする偽装紙幣分野の従事者と、マネーローンダリング分野の専門家が集まっている。筆者が勤めていた当時、財政犯罪は新しくスタートするユーロ貨の偽造を防ぐために苦心していた。

財政経済犯罪課の偽装紙幣パートの責任者は、アメリカ大統領に対する警護業務をも担当するアメリカ財務省特殊捜査局(Secret Service)出身だ。米財務省特殊捜査局は、偽装紙幣犯罪に関しては世界最高という賛辞を受けており、ここの出身がインターポールの偽装紙幣分野責任者という事実は、それほど偽装紙幣問題が深刻だという意味である。

偽装紙幣は世界貨幣であるドル紙幣が特に深刻で、ドルと等価としてスタートしたユーロ紙幣でも問題が起きるものと推定される。興味深いのは、ドル偽造と麻薬取引が不可分の関係にある、ということだ。

アメリカの対麻薬政策は大きく三種類の流れで発展してきた。最初の流れはアメリカ国内での麻薬消費者を検挙する「消費者抑制中心の政策」だ。しかしこのような政策では雪崩れ現象で押し寄せてくる麻薬を防止できず、1990年代にアメリカは「供給者抑制中心の政策」に転換した。

アメリカに麻薬を供給する南米国家の政府も、麻薬を製造する反乱軍勢力や軍閥に頭を悩ませている。アメリカは1990年代、南米国家を支援し、麻薬を製造する反乱軍や軍閥勢力を取り締まるようにしたのだが、これがまさに「供給者抑制中心の政策」だった。しかしこうした措置も大きな成功を収められなかった。そこで、三番目に採択したのが、後に説明するマネーローンダリング遮断だ。

中国、北朝鮮も偽装紙幣製造国

アメリカが供給者抑制政策を繰り広げるとき、南米の麻薬製造勢力はアメリカの抑制措置に対する報復と、麻薬事業を代える新しい事業として、偽造ドル製造に目を向けた。麻薬売買をつうじて稼いた金で技術者を養成し、印刷機械を購入して本格的に偽造ドル製作を開始したのである。そのおかげで、アメリカで流通する偽造ドルの70%が、コカイン生産大国であるコロンビアから出ている。

ヨーロッパでは、政情が不安なチェチェンやコソボ、ユーゴスラビア地域の犯罪組織が偽装紙幣を製造・流通させている。アジアでは中国が「偽装紙幣製造廠」だ。特に中国の南東部海岸地方が偽装紙幣製作の中心地となっている。2001年、中国は朱鎔基総理主導で6ケ月間「偽札との戦争」を繰り広げ、1万663件を摘発して1万3866人を逮捕した。当時、中国公安が押収した偽造ドルの額面価は何と2600万ドルに達した。

北朝鮮も偽装紙幣の製造が疑われている。米財務省特殊捜査局では、最も精巧なドル偽装紙幣を「スーパーノート」と呼んでいる。スーパーノートは専門家でさえも識別するのが困難なほど精巧に偽造されたドルだ。世界のほとんどあらゆる国は、偽装紙幣を防ぐために非常に精密な印刷機を使用している。このような印刷機は、フランスのデラルエ(DE LA RUE)社だけが製作し、全世界の中央銀行に供給している。韓国の造幣公社もこの会社の印刷機を導入して紙幣を印刷している。北朝鮮の中央銀行もやはり、この会社の印刷機を導入した。

印刷機械は持続的に修理を受けなければならない。このためにはデラルエ社の技術チームがその国を訪問してアフターサービスをするのだが、アフターサービスをすることでその国がどれほど多くの紙幣を刷ったのかが分かる。デラルエ社の技術担当首席理事によれば、北朝鮮はイランとともにアフターサービスを拒否した唯二の国という。デラルエ社の首席理事は、インターポールとの会合で「イランと北朝鮮は自力で機械を補修するとして、消耗品だけを輸入している」と明らかにしたことがある。

北朝鮮、スーパーノートを製作?

スーパーノートとは、デラルエ社が作る印刷機水準の、精巧な印刷機で刷った偽装紙幣をいう。ゆえにスーパーノートの製作は各国の中央銀行や造幣公社の次元でこそ製作されうるため、アメリカとインターポールは北朝鮮とイランが政府レベルでスーパーノートを製作していないか疑っている。米財務省特殊捜査局はインターポールとの会議で、過去に北朝鮮外交官がスーパーノートを所持していた事例を挙論し、「北朝鮮が政府次元でスーパーノートを製作していたということを、既定事実として見ている」と明らかにしたことがある。

2001年、ユーロ貨がドルと同じ価値としてスタートし、新たな偽装紙幣の対象として浮び上がっている。ユーロ貨はアメリカの人口よりも多い3億人が使用し、世界GDPの19%を生産する地域で使われる。それゆえドルとともに世界機軸通貨に浮上することが自明なので、国際犯罪組織がユーロ貨の偽造を開始するのは陽を見るより明らかなことだ。

サッカーは典型的なヨーロッパのスポーツだ。2002年韓日ワールドカップを前後し、韓国には多くのヨーロッパ人が訪問するはずであり、彼らは相当量のユーロ貨をもたらすはずだ。ワールドカップを前後する時点での突然のユーロ貨の流入は、韓国を偽造ユーロ貨天国にする可能性がある。韓国は偽装紙幣犯罪から決して自由な国ではないのだ。

スペインのGDPとつりあうマネーローンダリング

財政経済犯罪課が力を注ぐ二番目の業務はマネーローンダリングの取り締まりだ。マネーローンダリングは偽装紙幣の鑑別とは異なる専門知識を必要とする。あらゆる犯罪者は、不法で稼いた金を合法的な資金に変えて消費しようという心理を持っている。マネーローンダリングは直接的な犯罪行為ではないものの、洗濯された合法資金がもう一つの犯罪に投入されるという点で、マネーローンダリングは犯罪を産む温床となっている。

特にマネーローンダリングに尽力するのが麻薬取引組織だ。マネーローンダリングは、お金を洗おうとする需要者と、お金を洗ってあげることによってお金を儲けようとする供給者の存在によって行われる。世界のさまざまな国の中には、資源と産業が貧弱であるため、マネーローンダリングでお金を儲ける国がある。ヨーロッパではリヒテンシュタイン・アンドラ・モナコなど小さな国が、そういった仕事をしている。カリブ海の小さな島国でもたくさん行われている。

アメリカとインターポールは、マネーローンダリングを禁止させることが麻薬取引をはじめとする国際犯罪組織を暴き出す近道であると認識する。しかし各国にはその国の主権があり、租税収入レベルでのマネーローンダリングを取り締まることができずにいる。そういう隙間を利用し、国際犯罪組織はマネーローンダリングを行っている。

世界的なマネーローンダリング規模は、世界総生産の2〜5%と推算され、金額では6000億〜1兆5000億ドルに達するもの推算される。6000億ドルとは、スペインのGDP(国内総生産)とつりあう金額だ。このようにマネーローンダリング規模が大きくなれば、マネーローンダリング自体が重要な国際犯罪事業として浮上してくる。

9・11アメリカテロ事件以後、インターポールで最も注目される部署となったのが、一般犯罪およびテロ課である。いま突如としてテロ分野が重要になったものの、この課の伝統的な任務は国際人身売買を防ぐことだった。人身売買を防ごうとするインターポールに、さまざまな国の人権団体とスローガン機関が広範囲に協力している。

人身売買には不法な人材取引が含まれるのだが、これは麻薬取引以上に隠密になされている。米財務省はアメリカ国内だけで年間5万名の人身売買が行われているものと推定する。西ヨーロッパでは年間50万名ほどの人身売買が行われており、全世界的には年間400万名ほどが、犯罪組織により労働力搾取や売春のために人身売買されているものと推定される。

人身売買は大陸別に特性がある。東南アジアと中東ではおもに労働力搾取のための人身売買が行われている。売春のための人身売買も少なくない。ヨーロッパでは売春のための、ロシアと東ヨーロッパの女性たちの人身売買が多い。韓国も売春のためのロシア女性がやってくる国のひとつだ。反対に中国では、脱出した北朝鮮人たちの労働力を搾取したり、売春させる人身売買が行われている。

中国内で脱北者を対象とする人身売買の様態は、想像しがたいほどに険悪になっている。韓国のNGOはこのような現実に注目し、脱北者の人権保護を叫んでいるものの、まだ南北関係に至るほど注目されることができずにいる。韓国と中国は、脱北者を北朝鮮へ送還することを防ぐ政治的問題だけでなく、中国内の脱北者たちの人権を保護する問題にも関心を傾けるべきである。

人身売買で苦痛を味わう脱北者たち

人間を奴隷のように扱う人身売買は、必ずしも低開発国家だけで行われているのではない。アメリカの一部の公務員やUNをはじめとする国際機構の高級公務員たちも、不法入国者を家政婦として雇用している。人身売買は経済的な理由で触発されるので、総じて後進国から先進国に向けて行われる。

人身売買の出発国はアフガニスタン・アルバニア・バングラディッシュ・ベロルシア・ブルガリア・カンボジア・中国・クロアチア・ハンガリー・インド・インドネシア・コソボ・メキシコ・ミャンマー・パキスタン・フィリピン・ポーランド・ロシア・ルーマニア・タイ・ベトナムなど大部分が後進国だ。反面、目的地はオーストリア・オーストラリア・ベルギー・カナダ・中国の香港とマカオ・ドバイ・ユーゴ・ギリシャ・ドイツ・イスラエル・イタリア・日本・オランダ・サウジアラビア・シンガポール・スイス・イギリス・アメリカなど先進国が主流をなしている。

インターポールの対テロチームは9・11テロ以後、最も多忙な日々を過ごしている。アメリカのクリントン前大統領の警護員として勤めた財務省特殊捜査局要員がチーム長となり、安全および対テロ情報の収集業務を遂行している。対テロ部署が力を注ぐのは、オサマ・ビン・ラディンのアル・カイダ組織の情報を収集するものだ。このため対テロチームはアメリカのFBI、財務省特殊捜査局、CIAと情報を共有している。そのほかにも各国の対テロ専門担当部署とも協力している。

対テロチームは2002年の韓日ワールドカップの安全にも相当な関心を傾けている。86アジア競技大会を控えて、韓国の金浦空港で爆発物事故があった(死傷者なし)。最近、日本は東シナ海で沈没した不審船(北朝鮮の工作船と推定される)引揚げを推進しており、北朝鮮との関係が悪くなった。それゆえインターポールは、ワールドカップ期間を前後して韓国と日本に対テロ要員を派遣し、北朝鮮などからのテロの脅威に対処する予定だ。

犯罪者たちは国境を自由に行き来するものの、警察は国境を抜け出すことができずにいる。一つの国の刑罰権は、その国の主権事項だ。

したがって他国の警察が国境の内側に入ってきて司法権を行使すれば、深刻な主権の対立がおきざるをえない。このような対立を減らしつつ犯罪者を捕まえるためには、インターポールのような国際警察が存在しなければならない。

だがインターポールには捜査権がない。犯罪情報を交換する窓口の役割を果たし、犯罪情報を分析して各国の警察に提供することにより、犯罪者の検挙を間接的に助けているだけである。制限された範囲ではあるものの、インターポールは国境の外に逃走した犯罪者を捕まえるために自ら努力している。

代表的な事例が「赤色手配書」だ。赤色手配書は金宇中・前大宇グループ会長が出国した後に発動されて有名になった。赤色手配書が発動されると、インターポールの通信網を通じて2〜3分以内に、全世界の警察に逃走した人物に関する関連情報が配布され、それに沿って各国の警察は該当者を手配し、追放するなどの措置を行なうことになる。インターポールは現在、7000人ほどの赤色手配犯を追跡している。

二番目は犯罪データベースを通じての協調だ。インターポールは1年に250万件の犯罪情報を会員国に配布している。このデータベースには、20万名の全世界の犯罪者名簿が収録されている。そのほかに盗難自動車と美術品目録もあり、各国の警察はインターポール通信網を通じて24時間、情報を照会することができる。

インターポールの通信網は179ヶ国の会員国の警察を一つにまとめる、重要なネットワークである。この通信網のおかげで、赤色手配対象の人物はわずか2〜3分で全世界の警察の追跡対象となる。だが韓国はインターポールの赤色手配書に対し、逮捕令状と同等には扱っていない。

たとえばインターポールの赤色手配犯人であるテロリスト、オサマ・ビン・ラディンが韓国で逮捕しようとしても、韓国はインターポール赤色手配書を認定していないので、オサマ・ビン・ラディンを逮捕できない。その反面、国際犯罪の深刻性を認識しているアメリカやヨーロッパなど先進国は、インターポールの赤色手配書の効力を自国の法律に明記したり犯罪者引き渡し条約に明示し、国内法とまったく同じ効力を発揮するようにしている。

インターポールへの派遣人材を増やすべきだ

インターポールを通じた捜査協調は決して他人事ではない。やや以前、イギリスに遊びに行った韓国留学生が殺された事件があった。このような事件 の追跡は、イギリス警察の協調なしでは不可能であり、イギリス警察の協調を得るためにはインターポールの協調が絶対に必要だ。

もちろん政府は、在外国民を保護するために警察官を領事として派遣しているものの、警察領事派遣国は数国に過ぎない。結局、韓国はその国の警察に韓国民の保護を任せざるをえない境遇なのだが、そのためにもインターポールを通じた協調が切実である。

麻薬と偽装紙幣を製造していると推定される北朝鮮と向き合っているうえ、世界化によって国際犯罪に露出される韓国人が増えている現実は、わが国の警察に世界とネットワーク化することを要求する。韓国が世界化すれば韓国警察も世界化しなければならず、韓国警察を世界化するためにはさらに多くの要員をインターポールに派遣し、インターポールとの協調を緊密にしなければならないのである。

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