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金正日の独白録ー朝鮮総連最高幹部を前に極秘指令

(月刊現代 2003年1月号)

これほど長時間、内容に富んだ肉声が流出するのは前代未聞のことである。日本政界工作、対米戦略、日本人妻問題。知られざる暴動についても言及する。暴言、誤認もある発言から独裁者の性向を浮き彫りにする。

現在日朝間で進められている国交正常化交渉で、日本側がもっとも注視しているのが、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の万事を「鶴の一声」で決める金正日キムジヨンイル総書記の動向である。

小誌は、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)許宗萬ホジヨンマン責任副議長、徐萬述ソマンスル第一副議長(現議長)との会見(98年4月25日〜26日)、及び許宗萬、南昇祐ナムスンウ副議長との会見(2000年3月1日〜3日)で、長時間にわたり最高幹部を前にして金正日が大演説した内容を極秘に入手した。2度の会見では重複する内容もあるのでテーマ別に整理・編集し、一部事実誤認はそのまま掲載し必要な箇所には注釈を加えた。以下、厚いベールに包まれた最高指導者の平安道訛り丸出しの「本音」を世界初公開する。

対日戦略

アジアにおいて日本を無視してはならない。歴史的に中国も日本との関係を重視してきた。毛沢東は抗日戦争後、日本に背を向けるよりは、「親善」を画策して交流するポーズをとるほうが得策だと考え、日本を抱き込む戦術に出た。当時の周恩来総理は、廖承志(中日友好協会初代会長)をピエロに仕立てて、対日関係を巧みにコントロールした。胡耀邦や趙紫陽も中日友好を掲げて対日関係を改善していった。さらに、抗日将軍と呼ばれたトウ小平までもが日本の天皇に会いに行った。

しかし今日の中国の対日外交政策を見ると、過去との変化が顕著となった。アメリカを牽制しながら、(アメリカ以外は)日本までも無視している。もう少し見守る必要があるが、中国のようなやり方は間違っていると思う。いまの中国人は(経済不況の)日本をあまりに近視眼的に見ている。

現在、アメリカや日本、南朝鮮(韓国)を見ると、われわれが「先軍政治」(軍事優先政策)を前面に掲げ強く主張した時点から、われわれに対してより一層、低姿勢になって擦り寄ってきた。アメリカの奴らが腰を屈めて近寄ってきたので、日本や南朝鮮の奴らもわれわれに対して、どんな物資でもすぐに提供しましょうと申し出てきている。特に南朝鮮が一番焦っている。

われわれは以前、ここにもあそこにも手を出すという平均主義的な外交戦術を取ってきた。それを近年は、国内外で蓄積された主観・客観情勢を総合的に分析し、「先米日・後南(朝鮮)」という戦略路線に変えた。その結果、もっとも慌てふためいたのが南朝鮮の奴らである。われわれが、日本との関係を修復した後で南朝鮮問題に取り組むという姿勢を示したら、南朝鮮の奴らはわれわれに全身全霊、媚びを売るようになってきた。

金大中は、来る総選挙(00年4月13日)を前に、われわれとなんとかして友好関係を保って、国会で(与党)民主党が過半数を占めようともくろんでいる。それで最近は、「こちらの事情を少し考えてほしい」と連日われわれに懇願している。昨日も報告を受けた資料を見たらそんな内容だった。

日本の奴らも同様である。日本はわれわれに平身低頭して擦り寄り、わが国が要求する食糧を無条件で提供すると言ってきている。過去にわが民族をあれほど蔑視し見下してきた日本の奴らが、いまやわれわれになんでも捧げましょうと申し出ているのだ。

それで私は部下たちに、今後日本はわが国に(過去の植民地支配の)被害補償金を提供するはずだから、それはそれで受け取り、くれぐれも食糧援助分を被害補償金の中に含めてはいけないと釘を刺しておいた。日本の奴らは元来、狡猾だから、奴らにさらりと騙される恐れがある。食糧は食糧で受け取り補償金は補償金で受け取ることだ。

先日(99年12月)、日本の元首相・村山富市がわが国を訪問したが、その時もわれわれがじっとこらえてお膳立てをしたからこそ来たわけで、そうでなければ首相まで務めた者が来るわけがない。だが村山がわが国を訪問した時も、私は少し冷遇してやった(面会しなかった)。

日本政界工作

小渕恵三(首相)は最近、以前と比べて外国の訪問者と接見しなくなったようだ。アメリカから代表団が訪日しても、相当な高位級以外は接見しないそうだが、日本を訪問したわが国の対外文化連絡委員会の副局長とは接見した。以前なら接見しなかったはずである。過去に久野忠治郵政大臣がわが国の代表団に接見したことが一度あって(73年5月)、当時大ニュースとなった。それが今回は首相が会ってくれたのだから、外交慣例を踏み越えたきわめて異例のことである。これはひとえに、わが国の権威がそれだけ高くなったからだ。小渕との会見については、日本でも大きく報道され、わが同胞たちも朝鮮民族としての矜持と自負心を誇ることができて満悦だろう。

金丸信と同じ派閥の人物では、竹下登と自民党幹事長代理の野中広務の二人が生き残っている(竹下氏は00年6月に死去)。竹下は金丸の派閥の最高実力者で、いまだ日本で政治的影響力を保持しており、次期総選挙で竹下を担ぎ出すために側近たちが猛奮闘しているというではないか。もし竹下が次回の選挙で落選すると、竹下が牽制してきた小渕との均衡が崩れ、より多数の反小渕勢力が小渕と対決姿勢に出る可能性がある。

小沢一郎はいまや、野中に比べて、相対的に影響力が落ちてきているように見える。小沢一郎が大口を叩くのは、小沢が日本の保守勢力であり、日本人もある程度、保守的傾向を持っているからである。また日本では正論を吐く政治家が稀有だから目立つのだ。

小沢一郎は悪党である。小沢は以前、朝鮮労働党創建記念日に、1日半か2日間くらいわが国を訪れた(90年10月)。マスゲームなどを観覧し、わが国の領海へ頻繁に侵入した日本の漁船(第18富士山丸)や船員たちを連れて帰った。

しかし小沢は日本に帰国後、わが国に対する態度を一変させた。小沢が心臓が悪いと言っていたので、われわれが心臓薬や人参などを持たせてやったのに、義理を欠いた奴だ。

中曽根康弘は今年(00年)83歳(数え歳)で、日本の国会議員の中では2番目の高齢者である。中曽根は以前、何度かわが国を訪問したいと表明したようだ。それをいつだかの新聞、通信記事で読んだ。最近の中曽根は、日本で唯一の元老政治家を気取って相当高慢に振る舞っているようだが、それが災いして支持者を減らしている。

中曽根は防衛庁長官も務めた。日本では権勢を振るう政治家どもで防衛庁長官を務めなかった奴はいない。軍国主義の血統は隠せないようだ。

日本では防衛庁関係の庁舎はすべて派手な造りだ。これは島国の小国が第二次世界大戦でアメリカと張り合ったという、日本独特のプライドの表れと見ることができる。敗戦こそしたが、日本は大国といわれるアメリカに対抗したことを今も自負しているのだ。

私は今後、中曽根に一度、わが国を訪問させようと考えている。金丸の派閥で元老といわれる竹下が退陣する場合は、中曽根が(日朝国交正常化交渉の道筋を開いた)金丸レベルの人物になり得る。その場合、われわれは中曽根に、生涯の最後に栄誉を飾りたいならばわが国に来い、来てなにか一つ成し遂げてみろ、それを実らせて朝日会談を進展、結実させようではないか、という具合に、中曽根と仕事してみようと考えている。

中曽根はすでにわが国に来たいと何度も発言している。自己顕示欲が強い人間だから、われわれが少し太鼓持ちしてやれば十分乗ってくると思われる。中曽根は残された人生も長くないし、これまで未解決のまま引きずってきた朝日問題を自分の手で解決したという名誉を残すためにも、必ずや来ようとするはずだ。

総連では、日本共産党の動向を注視し、彼らと二人三脚で取り組める展望的戦略を立てなければいけない。

最近、日本共産党に青年たちが多数入党し、地方選挙でも支持率が0.5〜1%上がったというから、鼻高々だろう。また、中国の胡錦濤こきんとうが訪日し(98年4月)、中日両共産党の関係を修復させようと提起した。中日両党間の関係修復(同年6月)で、わが朝鮮労働党も日本共産党との関係を再検討する必要があるだろう。

日本共産党の策動はいまだに悪辣で、総連を敵視しているが、片意地を張っているのも、宮本顕治(前名誉議長)があの世に行くときまでだろう。だが、不破哲三(議長)が宮本に輪をかけて意地っ張りならば問題なので、注意深く見守っていく必要がある。

日本社会分析

金丸信の業績は、日本に社会秩序を維持し、社会環境を保護する体系を打ち立てたことだ。ところが金丸亡き後、日本はもとの混乱状態に戻ってしまった。

日本では最近、不況を反映して種々雑多な事件が起こっている。中学生が刃物で先生を刺す事件が増え、昔の日本にはなかった社会的不安定な状況を招来している。

たとえば、最近の日本製品のカタログを見ると、「月払い」と銘打っているものが多いが、こんなことは昔はなかっただろう。取るに足らない商品までも「月払い可能」としているのを見ると、商品がよほど売れないようだ。

元来、日本の奴らには創造性がない。その代わり他国の製品を輸入し、真似たり改造したりして日本製品にしてしまうのに長けている。ある時、首領様(金日成)におかれては、日本の奴らを称して、「あいつらの設計で作ったのはリヤカーだけだ」と喝破されたが、至極名言だ。

いまは日本の景気が悪いので、人々がパチンコ屋に入っても金を使わない。それでもパチンコの年間売上高は30兆円というから、恐るべき産業だ。パチンコ業界の従業員の7割が朝鮮人で、その中で総連の同胞が3人に1人としても、パチンコ業界が総連同胞の商工業者たちの根幹を成しているといえるだろう。

日本の奴らのコンピュータ技術の類は、アメリカの奴らに全面的に縛りつけられている。

以前、日本の首相がアメリカへ行き、「最先端」のハイテク技術が欲しいといったが、アメリカの奴らは断固突っぱね、「一代遅れ」を持って帰って使えといった。このため現在、日本の奴らはどれほど豪華なコンピュータを生産しようと、その技術は一代遅れだから、それ以上の発展はおぼつかない。南朝鮮の奴らに至っては日本の奴らに「最先端技術」を出してほしいといっているのだから話にならない。

アメリカにある日本の会社は総崩れ状態だが、ソニーだけはアメリカで業績を伸ばしている。それはアメリカの軍需工場にソニーが付属品を提供しているからだ。

正直いって私は、(日本を含めた)アジア金融危機を歓迎している。わが国の経済部門の一部幹部たちは、それまで資本主義経済、特にアジアの経済発展に対して過大な幻想を抱き続け、自信喪失気味だった。それがいまや偉大なる首領様の自立的民族経済路線の正当性を再認識し、自信満々だ。

対米戦略

現在、朝鮮人民軍にとってアメリカの奴らは恨み骨髄の敵といえるが、対外業務を行う同務(同志)たちは、(技術立国の)アメリカの奴らを「先生」と呼んでいる。同務たちの言い分はもっともなので、外柔内剛を心がけている。われわれはどうにかしてアメリカの奴らと巧みに交流し、奴らの「最先端技術」を盗み取らねばならない。

アジアにおけるアメリカの最終目的は、中国を牽制することだ。

アメリカの奴らは中国を戦略的パートナーだと持ち上げながらも、中国を牽制するためアジアに全勢力を集中させる戦略を立て、実行に移している。

アメリカはまた、南朝鮮の実質的な統治者だ。いまや南朝鮮は政治的・経済的に混乱状態で、収拾不能の状況に陥っている。

現在、琴湖クムホ地区(北朝鮮東部)でKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の軽水炉建設に従事している南朝鮮の奴らは、現地で偉そうに振る舞っているが、建設は遅々として進捗していない。そんなにノロノロやっていれば奴らの末代の顔まで拝めるだろう。

敵どもは、われわれの社会を溶解させようという目的で、原子力発電所建設を支援しているのだ。アメリカの奴らは軽水炉建設問題を利用して(重油を毎年50万t)支援しているが、正直いっていまのこのような方法は、わが国にとって得になるところはない(アメリカは02年12月分より重油供給をストップすると発表した)。

アメリカの奴らは声を張り上げて「(軽水炉を)建設しましょう」と申し出たが、さんざん手間暇をかけながら、完全に建設不能になってしまったではないか。アメリカが約束した期間(03年まで)に原子力発電所を建設できなければ、われわれは協定を破棄することができるので、アメリカの奴らは焦りを見せ始めた。

朝鮮総連の活動

この数年間は、総連にとっても苦難の時期だったことだろう。在日同胞社会では世代交代が進み、財政事情は逼迫し、その上、日米反動勢力と南朝鮮傀儡たちが総連を殲滅しようと以前にも増して悪辣に猛り狂ったからだ。

現在、日本の反動勢力は在日同胞社会を分裂させて地盤を崩すため、南朝鮮傀儡たちと組んで、在日同胞たちに「地方参政権」を与えようとしている。日本の反動勢力は特に、新世代の同胞たちを巧妙に日本に帰化させ、同化へと誘導し、わが民族性を抹殺することで総連の愛国運動の灯火を消そうとしているのだ。

しかし、朝鮮労働党に全幅の忠誠を誓う核心メンバーと頼もしい同胞たちが健在なので、総連は揺るぎもせず組織を堅守し、あらゆる愛国的事業を力強く発展させた。

総連はこれまで同様、「群衆政治事業」(日本人を親北朝鮮化させる工作活動)を巧みに進めていかねばならない。総連は50年代から60年代にかけて群衆政治事業をうまくやった。そのおかげで日本社会では、歌舞に秀でた民族はというと、朝鮮人である。

私は以前、『男はつらいよ』を見たことがあるが、朝鮮人たちが歌ったり踊ったりする場面があった。それでその映画の制作を総連が手伝ったかと思い、わざわざ調べさせたところ、手伝ったのは「民団」(在日本大韓民国民団)だというではないか。『男はつらいよ』の山田洋次監督は中国の東北地方に長く住んでいたので(16歳で旧満州から引き揚げた)、朝鮮人の風習を熟知しているようだ。

いまの日本では、いわゆる日本の伝統映画を制作するとしながら、ストーリーは丸ごと朝鮮映画のコピーだ。これは朝鮮が偉大だからだというより、総連の同務たちが抗日パルチザンの隊員のように、悪条件下でも群衆政治事業を巧みに行った結果だ。日本の群衆の動きを見れば、総連組織の働きぶりが分かろうというものだ。

総連はまた、信用組合(朝銀)をうまく運営しなければならない。同胞の商工業者たちが日本の銀行から貸し渋りを受ける中、総連は朝銀をうまく運営して、同胞たちの商業・企業活動を積極的に支援すべきだ。それによって総連の財政問題も解決し、若手の商工業者をはじめ多数の同胞たちを引き込めるだろう。一部の朝銀が日本の経済不況や金融危機の影響で破産したというが、現在進めている朝銀の合併再編成事業は円滑に進めなければならない。

総連の事業は、許宗萬責任副議長同務が実質的に掌握して進めていかなければならない。

今日の総連を見るに、韓徳銖ハンドクス議長同志は高齢で病に伏しており(01年2月に死去)、徐萬述第一副議長同志(01年5月より議長)もいまや70歳を越えている。実際に仕事をこなせる指導者は許宗萬責任副議長同務だけだ。

南昇祐副議長同務とは今回(00年3月)初めて会ったが、印象もよく、頼もしい態度が気に入った。今後も祖国を訪問したときは、日本の事情を把握するためにも接見するつもりでいる。

今回、許宗萬責任副議長同務が祖国に帰ると、(朝銀問題などの責任を取らされて)抑留され、二度と日本へは戻れない(粛清される)という噂が日本国内で広まった。実際、祖国を訪問した総連同胞たちからも、許同務を処分すべきだという提起があった。

許宗萬責任副議長同務は、わが家族である。それがなぜ、日本へ戻れないのか。このようなデマは、万事敵どもが総連を壊滅させる目的ででっち上げ、言いふらした虚言に過ぎない。

かつてドイツのヒトラーも内務省や宣伝省とともに、ナチス党に専門的にデマを作って流す保安諜報部を設置し、数知れない悪行を働いた。現在ではアメリカ中央情報局(CIA)と南朝鮮の国家情報院の奴らが同様の悪事を働いている。

許責任副議長同務に対する流言飛語は、まるでピンポン玉のように日本と祖国の間を行き来しているため、私は責任副議長同務と二人で撮った写真を『労働新聞』に大きく載せるようにさせた。これであれこれ邪推していた敵どもに衝撃を与えたことだろう。

総連では20代、30代、40代、50代別に優れた人材を約50名ずつ選抜して祖国に送ることだ。そして招待所や総連中央学院に入れて、愛国事業の実践を通して鍛錬を積ませ、総連の指導メンバーとなる準備を行わねばならない。

日本と南朝鮮の間はビザ制度がなく(実際はある)、済州島(韓国最南端の島)に限っては(朝鮮籍の在日同胞も)完全ノービザだそうではないか(実際は韓国政府発行の臨時パスポートが必要)。日本から飛行機で1〜2時間の済州島に、わが同胞たちが総連のあずかり知らないところで自由往来できるなら、それだけ同胞に対する万全な思想教育が必要だ。

在日同胞の中でも、新世代は派手で贅沢なことにばかり通じていて、困難で苦痛を伴うことには無頓着と聞く。彼らはいまは親の庇護を受けていられるが、自力で暮らせといわれたら、皆乞食になってしまうだろう。

祖国ではわが青年たちは善良な思想と健全な生活を保っており、社会主義建設に大きな役割を果たしている。最近では青年たちに平壌―南浦高速道路の建設を任せたが、機械不足の悪条件にもかかわらず、百余里(約30km)の路盤工事を立派に成し遂げた。

祖国ではいまや雌雄を決する時なので、同志に動揺や優柔不断さが表れたら無慈悲に処罰し、その同志とは永遠に訣別する。1人を厳罰に処せば100人の規律を強化する効果があるからだ。だが、海外においては逆に、1人と訣別すれば、その余波が100人、1000人に及ぶやも知れないので、同胞の心を動かす方法で仕事を進めなければならない。

総連はあくまでも敵地にある組織なので、祖国と同じ方法で事業を行おうとしてはならないのだ。愛国、愛族、愛民の海外同胞組織として、われわれ朝鮮労働党の指令を受ける同胞組織だという印象はカムフラージュしなければならない。しかしながら内側では学習組の組織活動(朝鮮労働党の学習のことで、02年8月まで続いた)を強化しながら、徹底的に同志的団結の原則を前面に掲げるべきだ。

総連では今後、同胞の商工業者たちが過剰在庫商品を安く買い、祖国の求めに応じた活動(仕送り)を増やしていかねばならない。

いまの日本は不景気のため、優秀な技術を持った多数の中小企業が破産に追い込まれている。そこで総連で同胞の商工業者たちを立てて、破産した中小企業の設備や製品を二束三文で買い叩き、祖国に送るのだ。こんなことはいくらでもできるだろう。

無論、われわれが貿易ルートを通じて必需品を取り寄せることも可能だ。しかし国家の体面もあるので、どうして日本の奴らに滞貨商品を売ってほしいと頭を下げることができようか。それで対外経済委員会の者たちは焦燥を募らせているのだ。

在日帰国者、日本人妻差別

私は在日帰国同胞や南半部(韓国)出身者を差別したりいじめたりしたことはない。それにもかかわらず、現在、在日帰国同胞や南朝鮮出身者との事業がうまくいっていない。

一部の帰国同胞たちは、せっかく祖国へ帰ったのに日本にいたときと変わらず差別を受けるので、帰国した甲斐がないという。子弟の朝鮮人民軍への入隊や朝鮮労働党への入党が許可されないという提起も受けた。そこでこれらの差別を撤廃したが、いまだに帰国者同胞との事業はうまくいっていない。

日本から祖国に戻ってきた同務たちは、平壌冷麺が食べたくて帰国したのではなく、ただただ首領様(金日成)の懐が恋しくて帰ったのだ。正直いって彼らはそのまま日本で暮らしていたほうが、豊かに暮らせただろう。しかし彼らは祖国への船路が開かれると、迷わず首領様の懐に飛び込んだのである。そんな彼らを祖国の偏狭な人々は帰国者と呼び、色眼鏡で見てきた。

もちろん弱肉強食の資本主義社会で生きてきた同務たちに欠陥がないとはいえない。暴力好きで無礼な日本の現状を見れば、そういった過ちを犯す帰国者の若者がいるのも事実だ。

それでも彼らの些細な過失を大仰にしてはいけない。誰が起こしても不良行動は問題なのに、帰国者だけを差別するから、彼らは自分たちを「移住民」、祖国の人民を「原住民」と呼んだりするのだ。

昨年(99年)、在日同胞たちの帰国実現40周年記念夜会の番組を見て、私は二世、三世にまで帰国者というレッテルを貼るのはよくないと批判した。帰国船第1号の到着後、祖国で生まれた子供はもう40歳になるが、彼らやその子供たちにまで帰国者というレッテルを貼るなどとんでもないことだ。これは朝鮮民族内部の問題だから、民族排他主義ともいえないし、なんと表現すべきか分からない。

雑多な背景を持つ庶民の場合でも、祖父が地主だったからといって、その子孫まで地主といって責め立ててはいけない。家系図をほじくり返すといった封建時代のような蛮行は慎むべきだ。今後は帰国者という言葉自体をなくすのが望ましい。

夫に付き添って離日し、共和国の懐に抱かれた(朝鮮に帰化した)日本人妻に対しても同様である。

一部の人民は日本人妻を差別し、のけ者にしている。彼女たちは日本では夫が朝鮮人だといって蔑視され、わが国に来てからは日本人ということで差別を受けている。彼女たちは日本から追放されてきたも同然なのに、なにゆえ狭隘な心で接するのか。

国内経済の悪化

わが国は過去数年間、多くの難関と試練を経なければならなかった。

旧ソ連や東欧の社会主義国が崩壊した後、アメリカをはじめとする帝国主義者や反動勢力がわれわれに攻撃の矢を集中させた。敵どもは、“主体チユチエ”という社会主義の御旗を高く掲げて進むわが国を、政治的・経済的・軍事的に孤立させ、圧殺すべく悪辣な策動を敢行した。

気候条件も非常に不利だった。われわれは「苦難の行軍」期間中(95年〜97年)、豪雨や日照りに悩まされ、数々の試練を受けた。昨年(99年)は降水不足で水力発電所を十分に稼動できず、今年(00年)の冬は電気まで不足し、さらなる苦境に立たされた。

今冬は「苦難の冬」だった。例年にない厳冬で、各世帯に電気や水、暖房を十分供給できず、人民たちに苦痛を与えてしまった。われわれは朝鮮戦争後の復興期以上の辛酸をなめたのだ。

正直いって、現在わが国は世界経済共同体から孤立した状態にあるので、経済がうまく循環していない。

わが国は原油さえ出れば経済構造が完全に変わるのにと思う。原油は原子爆弾に匹敵する唯一のもので、原油さえ出れば、それを日本の奴らに売りつけてコメを出せといえるので、農業を放棄してもよいくらいだ。

それにしても、わが国に対して敵どもが発する声(報道)は、信憑性に欠ける資料をもとに都合よく加工したもので、8割方は嘘っぱちだ。

たとえば現在、日本の奴らと南朝鮮の傀儡たちは、わが国のクーデター説を喧伝している。

理論分野では黄長ヨブホアンジヤンの野郎(国際担当書記で97年に韓国に亡命)が主体思想の冠をかぶって策動し、農業分野では徐寛煕ソグアンヒの野郎(農業担当書記で97年に処刑)が主体農業の冠をかぶって策動したのは事実だ。

徐寛煕の奴は1950年以来、党内に深く潜伏しながら、わが党の農業政策を根絶やしにしようと数々の悪行を働いてきた。この逆賊は農業担当書記として、農業問題の協議会で毎回、一言の意見も提起せず、私が組織した会議に出ても、日本に農業視察団を出すといった改善策を見出すことができなかった。誠に、地主に媚びる汚い走狗だった。

同務たちは日本で新聞やテレビ、雑誌などで噂を耳にしているだろうが、咸鏡北道の朝鮮人民軍第6軍団でクーデターが勃発したというのも、敵どもの根も葉もないデマだ。

わが国ではそんなものは起こっていない。事業過程に欠陥があって思想闘争会議を開き、責任者の職を解いただけだ。それをクーデターが起こって軍団長と政治委員が処刑されたなどといわれたのだ。

当時軍団長をしていた同務は現在、総参謀長のポストにいる。われわれは思想闘争会議の後、(粛清するどころか)むしろ軍団長同務を総参謀長に登用したのだ。そうしたら今度は政治委員が反逆行為を犯して処刑されたという偽情報が出回りだした。

黄海製鉄所事件(98年に処分)も同じことで、反乱軍が黄海製鉄所を占拠したなどという偽情報を、在中同胞たちが勝手に流したのだ。

われわれは父なる首領様の三年喪に服したり自然災害を受けたりして、その間、電気事業が困難になって黄海製鉄所に電気を十分供給できなかった。それで工場が稼働できなくなると、悪い奴らが機に乗じて集団強盗と化し、工場の設備の半分以上を持ち出して中国船に乗せ、屑鉄として売り払ってしまったのだ。しかも私がこの報告を受けたのは最近のことだった。

調べたら、盗賊団はこの1年半の間、工場に居座って悪事を働き続けていたというではないか。それも党、安全部門にいる悪い奴らを引き込んでタチが悪かったので、私は軍隊を投入したのだ。

軍隊が工場を包囲して突入し、一切の設備、資材を外部に持ち出せないようにして、個人が持ち去っていた設備、資材もすべて回収した。盗賊団が貿易会社の奴らと組んで中国に売却しようと隠匿していた資材まですべて探し出し、もとに戻した。

飢餓を演出する戦術に転換

現在、国際赤十字社はわが国に継続的に食糧支援を申し出ている。

食糧不足は徐寛煕の奴の策動で種子が退化してしまい、農業を行っても収穫量が増えなかったことが主因だ。今後改善していこうと思うが、3年間もの空白を埋め合わせる食糧が絶対的に不足しているので、支援を受けているのだ。

同務たちは食糧問題と関連して、祖国にいる家族親戚たちから送られてくる手紙を読んで驚くことがあるだろう。だが、実際はそれほど深刻な状況ではない。現在、国家戦略として、まず人民軍に食糧を保証してやっているので、農民と国家公務員には若干の制限をしているのだ。

特に首都(平壌)の住民には、故意に打撃を与えるために制限しているということもある。それは首都の住民たちは、誰もがあれこれと国家の多大な恩恵にあずかっているので、地方の住民に比べて苦労が少ないからだ。それで私は、平壌市民には食糧供給を減らし、代わりに地方人民に回してやって、地方の被害を食い止めようとしたのだ。そのような事情を知らず、家族親戚たちが、祖国には食糧があと1週間分しかない、何がないと手紙に書くのだろう。

現在、敵どもは、日々の報道を通して、北では何百万人が飢え死にしただのと誹謗中傷している。それで今回、祖国の実状をよく把握させておこうと思って、山奥の軍需工場への現地指導に同務たち(許宗萬、徐萬述の両氏)を同行させたのだ。

同務たちは車中から見ただろうが、途中の道端や山林でへたばっている人などなく、山奥の工場労働者たちは平壌市民より血色がよかっただろう。同務たちは今回の工場参観を通して、祖国の威力と労働者階級の楽観主義的な精神を再確認し、私の説くことが分かったはずだ。

同務たちには正直にいうが、私は人民たちに対する内部教育を重ねて行うことで、援助を即座に得ようともしている。

それはすなわち、以前とは戦術を変えて、対外事業を行う幹部たちや国内の人民たちに、うそ泣きをさせているのだ。この教育効果でいまや、わが国民は誰でも頻繁に泣き声を上げられる。取材に訪れた外国人に見せるのにも、何がない、何が足りないといって泣きわめくのが一番見映えもいいだろうと思い、至らないポーズばかりを取らせているのだ。

以前は外国人が訪問すれば、もっとも良いところ、もっともうまくやっているところだけを選んで見せ、わが人民たちは他国を羨ましがることなく、誰もが幸せに暮らしていると宣伝した。しかし最近は、敵どものわが国に対する孤立圧殺策動の中で、緩衝材を持ったほうがよいと判断し、“お涙作戦”を取ることにしたのだ。

さらに、わが国でも一定期間、経済問題に精通した海外同胞たちを呼び集め、対外経済部門の幹部として配置し、経済管理をさせてみる必要がある。

中国のトウ小平の功績はといえば、中国経済を資本主義式に運営しようとしたことだ。国内に人材がなかった中国は、毎年2000名ずつ外国に留学させ、卒業帰国後、各省に配置し、彼らを軸にして経済を資本主義的手法で運営していくようにしたのだ。

わが国では無知蒙昧なぼんくらどもばかり経済担当部門に配置されている。彼らはひたすらドルのことばかり考え、経済の歯車をどうやって社会主義経済法則の要求に合わせて噛み合わせていくかという打算がまったくない。

特に幹部たちは、朝鮮通貨を持たずドルばかり使っているので、朝鮮経済の収益性に対してまったく理解していない。ただ計画を立てて生産しろと命じて商品を作っているだけで、商品をどうやって売れば自分が進んで買うだろうといった考え方を少しもしない(北朝鮮は02年12月から国内のドルの流通を全面的に禁じると報じられた)。

100年以上の歴史を持つ資本主義国家の羨ましい点は、第一に全国民が法を遵守していることだが、第二は商品の中で良質の物は自分たちが使い、素悪な物を人様に売るということだ。わが国では逆に良質の物は人様に売り、素悪な物を自家用にしている。

たとえば日本では、輸出品が国内用産品より劣るのだ。タバコをはじめ、あらゆる商品がそうだ。私はフランスで売っている最新式のソニー製テープレコーダーを1台買わせ、在日同胞の商社に命じて同タイプのテープレコーダーを日本から取り寄せて比べてみたら、日本国内で売っているほうが性能が卓越していた。

今回(00年3月)、総連が私の組織としてうまく展開し、私の時代に愛国事業で新たな全盛期を作り上げるという許宗萬責任副議長の決意を再確認したので、これに感謝する。同務たちは帰国後、許宗萬責任副議長の指導のもとに一心団結して、朝鮮労働党の期待に背くことなく事業を展開していかなければならない。私は同務たちが党に忠実であり、党の信任に必ずや応えてくれると信じている。

独白録から読み取れる人物像

この独白録から透けて見える金正日の人物像は、冷徹、独善的、干渉的、無責任といったものであろう。同時に、一時期日本でいわれていたような放蕩息子ではなく、頭脳明晰で、合理的判断に基づき即断即決するタイプの知日派指導者であることもうかがい知れる。

韓国政府で北朝鮮研究を行う統一部の丁世鉉チヨンセヒヨン長官に金正日像を聞いた。

「金日成亡き後10年近くにわたって、苦難の続く北朝鮮を完全掌握していることや、金大中大統領と3日間ぶっ通しの交渉をやり遂げたことなどを勘案しても、相当の能力を持った人物だと認識しています」

この隣国の特異な独裁者といかに対峙していくのか、いまこそ日本の外交が問われている。

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