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北朝鮮の影を追う3

(産経新聞朝刊 2001年12月23日)

【永田町の動き】真摯に取り組む政党なく

北朝鮮問題取材班

永田町の「日本人拉致疑惑」への関心が高い。十七日、北朝鮮が「行方不明者の捜索中止」を発表した際、政府高官は「もう日朝交渉は終わりだな!」と怒りに顔を染めて吐きすてた。ところが破(は)綻(たん)した朝銀への公的資金投入問題については反応がすこぶる鈍い。

そのなかで突出して目立つのがふたつの対照的な動きだ。

一方は「親朝人士」とも呼ばれる一部野党議員の行動だ。

十二月七日、社民党副党首の渕上貞雄参院議員と金子哲夫衆院議員の二人は、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)中央本部の副議長ら計八人で警察庁を訪れ、警察庁捜査二課課長補佐に「(朝鮮総連)中央本部に対する強制捜査は不当な政治弾圧」という決議文を手渡した。

十二月十八日にはほかの社民党衆院議員が同様の趣旨の抗議文を持って総連幹部と首相官邸を訪れている。結局、官邸には入れず内閣府に抗議文を提出していった。

他方は同十九日、自民、民主、自由、保守の四党の有志議員による議連「朝銀問題を考える超党派の会」(会長・中山利生元防衛庁長官)を立ち上げた議員に代表されるこの問題を根本から考え直そうという勢力だ。

抗議文を届けられた警察庁幹部は、「経済事件でバッジ(国会議員)が来るとは何ごと」と憤慨、警察庁は、抗議文を内容証明付きで返送した。

渕上氏は産経新聞の取材に対し「資料を捨ててしまったので、総連のどういうクラスの人と(抗議に)行ったか覚えていない。社民党と総連の日ごろの付き合いもあり無視するわけにはいかなかった。これは国際問題だから慎重に扱わないといけない。ただ、日本にある金融機関なんだから日本の法律にのっとって基準に照らして対処するのは当然」と述べた。社民党本部は取材を拒否、金子議員も「取材には応じられない」としている。

「考える会」は早速、行動を起こした。二十一日、金融庁に森昭治長官を訪ねて「資金流用事件などの捜査の行方を見守り、架空名義などの実態が明らかにならない限り公的資金は投入すべきではない」と申し入れた。森長官は「現行の預金保険機構法の下では投入せざるをえない」と答えている。

「考える会」の保守党の小池百合子衆院議員は「事件は単なる金融事件ではなく、国家の安全保障にかかわる問題であり強制捜査は当然だ」として朝銀救済策の見直しの必要性を強調する。小池氏が安保問題と指摘するのは朝銀破綻の原因に「北への不正送金疑惑」があるとの認識からだ。

「預金保険機構は金のなる木ではない。国民の血税が北朝鮮に不正送金され細菌兵器などに化けているとの疑惑がある以上、公的資金を投入する悪循環を断たねばならない」と語るのは民主党の上田清司衆院議員だ。

「考える会」の発起人でもある自由党の西村真悟衆院議員は十一月下旬、「朝銀信用組合の破綻に対する公的資金投入に関する質問趣意書」を政府に提出した。

西村氏は、破綻原因調査が完了していない時期に公的資金投入を決定する政府方針に疑問を呈し、「監査は十分だったのか」「朝鮮総連と朝銀の関係、朝銀は北朝鮮の金正日政権の支配下にあるのではないのか」−などをただした。

政府は回答書のなかで監査の適不適については全く答えていない。朝銀をあくまでも「都道府県の認可を受けた設立」としたうえで、「政府が朝銀から北朝鮮当局に資金が流れていると認めたという事実はない」としているが、根拠は示されていなかった。

「考える会」は年明けから公的資金投入を阻止するための新規立法などの準備に入る。だが、これまでのところ与野党とも党としてこの問題に取り組もうという動きはみえない。

「党幹部に積極的な姿勢がない」「触らないでおこうというムードが強い」−その理由は「地元に帰ればそれぞれ、選挙活動の支援などいろいろないきさつを抱えているという事情もある」(永田町筋)からだとされる。

しかし別の「評価」もある。「朝銀事件の捜査は、聖域を置かずに改革するという流れをつくった小泉政権だからできた。だれも何(圧力)もできなかった」というのだ。少なくとも、歴代政権が送金疑惑に取り組もうとした形跡はこれまでなかった。

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