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広島と岡山の少年院は韓国人でいっぱい

(Book review)

ハードロマンチッカー(グ・スーヨン著 角川春樹事務所)の書評

日韓W杯があることだし、韓国、さらには日本で生まれ育った「在日韓国人」に目を向けてみようかと、「ハードロマンチッカー」を手に取った。昨年、直木賞を受賞した「GO」と同じく「在日」である16歳の主人公の日常を綴った物語だ。著者のグ・スーヨンは、CF界の鬼才だそう(作品を知りたいところだが)で、これが小説デビュー作。舞台は、韓国人が4%以上いるという山口県下関。主人公は、学校へはあまり行かず、昼間からパチンコで稼いだり、ケンカをしたりの、つまり不良だ。進学校に通うなど頭のよい彼は、「日本で在日韓国人が生きていくのは、とっても大変だから。とっても大変だと、ついつい楽なやり方を選択してしまう。その楽なやり方ってのは、大抵の場合、悪いやり方とよく似てる」と、分析めいたことを口にする。これは、広島と岡山の少年院に入っている少年の約半分が下関の人間で、そのほとんどが韓国人であることが証明しているそうだ。罪は、殺人、恐喝、障害、婦女暴行、集団暴走行為など、タチの悪いものばかりとのこと。この本を読むと、「在日」であることはかなり厳しいものだ、ということが実感として迫ってくる。

先日、朝日新聞を読んでいて、驚いたことがある。松田優作が在日韓国人であると、書かれていたのだ。89年の映画「ブラックレイン」が遺作の、今も人気のあの松田優作だ。この事実は、3年ほど前に公表されたようだが、私は知らなかった。目の整形手術をしてまでヒーロー像を追求したこと、ガンに冒されながらも映画の撮影に臨んだことなどは知っていたので、成功しても成功しても上を目指す、そして無理までする、彼の貪欲さを、少し不思議に思っていた。でもこの記事を読んで、「彼のがんばりの根底には、日本人から偏見をもたれがちな在日韓国人だからこそ、“俺はこんなにすごいんだぞ”と示したい側面があったんだなぁ」と、合点がいった。また、以前聞いた「才能がなければやっていけない世界、例えば芸能界などに、在日韓国人が多い」という話の、マイノリティ(少数派)は、マジョリティ(多数派)に比べて野心旺盛だから成功しやすいとの理由にも、納得がいく思いだった。

最近、「ハードロマンチッカー」のように「在日」であることを語る小説が出てきたり、本名の韓国名でデビューする芸能人も出てきたりと、偏見が薄らいだ印象がある。しかし、「若い世代に偏見がないのは、単に無知だからだ」という耳の痛い意見もあるのだ。この本を読み終えて、在日韓国人を理解することはできなくても、その存在に関心を持つことが大事だと痛感した。

(N.K)

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