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メディアの解体−ワールドカップと北朝鮮報道の正体を暴く、メディアリテラシーの新しい波。

(「現代コリア」1・2月号/第428号)

西村幸祐

日韓共同開催と日朝国交正常化の幻想を越えて

グループリーグ最終日となった六月十四日、日本はチュニジアを破って決勝トーナメント進出を決めたが、韓国は絶体絶命のピンチを迎えていた。相手のポルトガルが優勝候補にも挙げられていたチームだったからだ。韓国不利という下馬評で始まった試合は予想通りポルトガルが試合を支配した。しかし、ポルトガルは退場者を二人出し韓国に敗退、韓国は決勝トーナメントに進出した。もちろん、日本の多くのサッカーファンは韓国のグループリーグ突破を共催国として祝福するのに吝かではなかった。だが、ポルトガルが敗退し決勝トーナメントに進出できなくなったことを嘆くファンも数多く、韓国、ポルトガル両国の突破を予定調和として望んでいたファンが多数派だった。二人も微妙な判定で退場させられたにも拘わらず、ポルトガルは互角に戦った。0−0のまま試合が終了すれば両チームとも決勝トーナメントに進出できたのだが、韓国が1−0で優秀候補ポルトガルを地獄の底に叩き落としたのだ。

大会前から日本メディアはこぞって韓国を応援するスタンスで報道をしていたが、サッカーの理解が殆ど無い出演者が闇雲に韓国を持ち上げる発言をしたり、ポルトガル戦での韓国のプレーを客観的に解析せず、ただ褒め讃えるだけの報道にサッカーファンが苛立ち始めたのも事実だった。これは後の北朝鮮報道で、歴史知識のないコメンテーターがありもしなかった日本の「強制連行」や「従軍慰安婦」を拉致事件と同列に並べてコメントするのと同じ現象だった。

じつは、韓国対アメリカ戦で韓国のアン・ジョンファンがゴール後にスケートの滑走シーンのパフォーマンスをした時、かなりの日本人が嫌悪感を覚えたらしい。韓国の激しいナショナリズムに驚いた事より、必要以上の粘着さに異質なものを感じたからだろう。ソルトレーク冬季オリンピックのショートトラックで、韓国人選手が日系(!)アメリカ人選手に妨害を受け金メダルを逃したことに韓国は国民的な怒りを燃やしていたからだ。この時も、日本のメディアは、韓国の愚直なナショナリズムと日本の素朴なナショナリズムを比較することさえできなかった。どちらかの優劣を問うのではなく、差異を論うことが重要なのだ。

W杯の1年前から韓国に滞在していたTVのフリーディレクター、大久保文雄はこのシーンを回想し、ソウルで会った時、私を笑わせてくれた。

「今一番嫌われているのはアメリカで、日本は二番手に落ちました」

隣国は仲が悪いという国際社会の常識や両国の差異に言及せず、さらに、韓国の反日政策と反日感情を殆ど論じるることなく上辺だけのチープな友好ムードを飾り立てたメディアは、必然的にその後の韓国戦の報道に客観性を著しく欠いてしまう。二〇〇二年秋からの韓国での日本文化解禁や、日本での韓国のTVドラマ放送などビジネス面のみを考慮した、およそ報道とは懸け離れた空疎なスローガンの連呼が日本列島を覆っていたのだ。

そして、韓国対イタリア戦。この試合でも疑惑の判定が続出した。まず、いきなり韓国にPKが与えられたのは驚きだった。一点を先制したイタリアは試合をほとんど支配していたが韓国のラフプレーは見逃され同点になる。韓国のヒディング監督がFWを次々と投入する特攻作戦を採った事もあったが、延長に入ってからイタリアはエースのトッティが驚くような判定で二枚目のイエローカードを受け退場、十人のまま韓国に敗れ去った。この試合を担当したエクアドル人のバイロン・モレノ主審は十月にエクアドルで疑惑の判定を理由に審判資格を停止され、十一月には遂に審判を廃業するという後日談を生んでいる。サッカーファンなら目を背けたくなるような試合だったが、日本人サッカーファンの怒りがさらに急上昇したのは、テレビ中継の解説者は誰一人として判定に疑問を差し挟む者はなく、新聞でも判定への言及がなかったからだ。

そして、準々決勝の韓国対スペイン戦。選手一人ひとりの技術、チーム力と全てが上回るスペインが試合を支配したのは当然だった。とにかくパススピードが全く違う。ポルトガル戦は別としてもイタリア戦は「買われた」試合だったことが私には明白だったので、韓国もいよいよここまでかと思えたのだが、この日は主審でなく副審の判定が明らかに偏っていた。じつは、トリニダード・トバゴ人の副審はなぜか急にこの試合の笛を吹くことが決まった。審判団のスケジュールを急遽変更したのはFIFA審判委員会だが、審判委員長に強い影響力のあるトリニダード・トバゴ人のFIFA理事、ジャック・ワーナーの意向によるものだった。

ジャック・ワーナーは日韓共催の立て役者である鄭夢準FIFA副会長とは共催決定前の九五年から様々な利権で結ばれていた。彼らが何度も大会中に密会していることをある新聞記者が私に証言してくれた。スペインのゴールが取り消された上で試合は延長戦に入り、延長戦でも決定的なゴールが取り消され、直後の一本のスルーパスから生まれた得点機もオフサイド。疑惑の副審≠フ判定でスペインは計三ゴールを失った。PK戦では韓国GKがキッカーの蹴る前に飛び出すファールも無視され、韓国はベスト4に進出した。

それでも日本メディアは疑惑の判定には目をつぶり、「韓国を応援しよう」というスローガンを発信し続けた。サッカーファンはそれに対抗して様々なサイトを作り、インターネットで誤審問題や不正疑惑の追及を始めた。準決勝が行われた六月二十五日に公明党の主導で韓国を応援しようというパブリックビューイングのイベントが企画されたのだが、ネットで情報交換をしていたサッカーファンは強く反撥した。

公明党や「ワールドカップ推進国会議員連盟」には抗議が殺到し、韓国のゴールの時に花火を上げるという企画を断念させてしまった。ドイツを応援してもいいというスタンスで抗議のサイトを作ったTNはこう書いている。「今回の報道は、『偏向報道』というより『マインドコントロール』に近い。フジテレビでは、テーハミングの練習までやる始末。明らかな国民感情との温度差。(略)まるで戦時中である。(略)テレビから吐かれる言葉をすべて信用できなくなってしまった。」

主催者側の「日韓のサポーターが感動を共有できる場になれば」という意図は、完全に日本サポーターの心から懸け離れたものになっていた。そもそも日本サッカーの聖地とも言える国立競技場をライバル国の応援会場にしようという発想自体がサッカーファンから非難されて当然のものだった。

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